Photo by Toshiharu Minagawa.


 ウィンダム・ヒルの歴史はウィリアム・アッカーマンの歴史でもあります。特に彼がプロデュースした作品は、レーベル色が色濃く反映されているといってよいでしょう。というのも、やはり彼がウィンダム・ヒルそのものだからに他ありません。
  ここでは、ウィンダム・ヒル・レーベルを売却した後に立ち上げたImaginary Roadという新しいレーベルに併せて新設したウィルのスタジオ、イマジナリー・ロード・スタジオで製作されたウィルのプロデュース作品のうち、2007年にリリースされたアルバムを紹介します。

なお、オムニバスなどのエグゼクティブ作品は割愛しています。ウィンダム・ヒルの作品集はコチラをご覧下さい。


THE COLOR OF LIGHT / Dana Cunningham -2007-
Dana Cunningham
 どの曲も、たえず左手が繰り返しのメロディをベースに右手がメロディを奏でる。透明感のある輝きはノクターンを思わせるのと、この感触は冬の空気を感じさせます。時折、器楽とのデュオを楽しみながら派手な旋律の登場もなく、淡々と時間が流れてゆく。私がこのアルバムに耳を傾けていた環境が「そう」思わせるのかもしれません。窓外は梅雨空の雨模様だったので、一音一音のフレーズが森の中の枝や葉をつたう雨滴の雫のように聞こえてきます。雨足が強くても葉の繁る森の中で雨滴に当たることはあまりなく、森林浴でもしているかのように心身共に新鮮な気持ちにさせてくれます。こういった感覚になったのは、スコット・コッスの【REUNION】以来です。ピアノソロとウィンダム・ヒル・メイツが参加してアンサンブルを奏でています。 凍てついた冬の空気か、雨模様の景色を眺めているような音楽。そんな風に感じたのは、スコット・コッスの【REUNION】以来です。(レビュー
 
(2007/07/04)

IT'S ABOUT THE ROSE / Karen Marie Garrett -2007-
 2005年の【ALLURE OF SANCTUARY】に続くアッカーマンの手がけた作品集。今回はスタジオを変え、ウィルのイマジナリーロード(スタインウェイ)でレコーディングされました。路線は前作の延長という感じで、おなじみの顔が参加、ウィンダム・ヒル・サウンドが堪能できます。特に“Tally's Lullaby”のEugene Friesenとの共作は佳曲です。 2007年度のNAR LifeStyle Music AwardsでBEST INSTRUMENLA ALBUM-Pianoを受賞しました。(レビュー

LANTERN / Dan Kennedy -2007-
Dan Kennedy
 基本はピアノソロですが、“Dulcimer In G”にパーカッションのGlen VelezとベースのT-Bone Wolkによるリズム隊、SamiteとNoah Wildingがヴォーカルで参加しています。アッカーマンプロデュース作品にはお馴染みのミュージたった4曲のミニアルバムですが、Jeff Osterの『RELEASED』やMatt Millecchia『SILHOUETTE OF A SEASON』のように発展してフルアルバムにならないでしょうか?(レビュー

THE LANGUAGE OF SPIRITS / Rudy Perrone -2007-
 アメリカン・プログレ・バンド、カテドラルのギタリストによるアコースティック・ギターソロ。曲によってはウィンダム・ヒル・メイツが参加しています。どういう経緯から(レコーディングスタジオの関係か)セッションになったかわかりませんが、ウィンダム・ヒル風の、牧歌的な優しいギターの音色が、初期のレーベルを髣髴とさせてくれます。(レビュー

TRUE / Jeff Oster -2007-
 2005年の『RELEASED』に続く、アッカーマンプロデュース作品で、Imaginary Roadsにてレコーディング。ほとんどの曲でウィンダム・ヒル・メイツが参加しています。アッカーマンのエレキに注目(1曲だけですが)。ウィンダム・ヒル・ファンにとっては“On One Knee”でのジェフ、アーバーグ、アッカーマンのトリオ演奏のような曲ばかりだと嬉しいのですが、全編フュージョン系でちょっと驚き。
2007年度のNAR LifeStyle Music AwardsでALBUM OF THE YEARを受賞しました。(レビュー

UNVEILED / Stanton Lanier -2007-
 2005年の【THE VOICE】に続くアッカーマンの手がけた作品集。今回はスタジオを変え、ウィルのイマジナリーロードでレコーディング(ピアノもスタインウェイ)されました。おなじみの顔が参加してくれています。
レビュー

GARDENS OF HOPE / Frank Smith -2007-
 最近のプロデュース作品で、ギターソロとなると、結構珍しく、久しぶりの制作です。とはいえ、このアルバムでも一連の作品集と同じく、ウィンダム・ヒル・メイツが参加してアンサンブルを奏でています。上で紹介しているRudy Perroneのアルバムとは姉妹作的な性格。2008秋にWill Ackeraman, David Cullenとギタートリオでのコンサートが行われます。
 2007年度のNAR LifeStyle Music AwardsでBEST INSTRUMENLA ALBUM-Acousticを受賞しました。これで2007年にアッカーマン・プロデュース作品が3枚受賞したことになります。(レビュー




FORGIVING DREAMS / Damon Buxton -2007-
 最初の一音が部屋の中で鳴り始めた瞬間からリスナーをウィンダムの丘に連れて行ってくれるようなアルバム。今回の主役はガット弦、つまりクラシックギターを奏でるDamon Buxton。フィンガーピッキングによる温もり、安らぎや安心といった心地よさ。ジャケットこそ関連はみられないものの、このギターサウンドはアッカーマンが求めていたウィンダム・ヒルそのものといった感じです。レーベルがほとんどカタログの維持をするだけの名前になってしまった現在、ウィルの一連の仕事は1970年から1980年代中頃のレーベルを思わせます。レビュー

EDEN / K Ryan Brown -2007-
K Ryan Brown
 なんと16歳の時からアッカーマンのスタジオで働いていたというプロフィールを持っています。スタジオを知り尽くしたピアニストによるソロとアンサンブル。ウィンダム・ヒル的な音空間です。(レビュー

GREY SKY AND BITTERSWEET/Ann Sweeten -2007-
 スタインウェイアーティスト(Steinway Baby Grand, Model B)7枚目のアルバムです。ここでもウィンダム・ヒル・メイツが参加して、ピアノソロとアンサンブルを楽しむことができます。透明感のあるピアノの響きの中で、ポツリポツリと登場するチェロやフルートなどの器楽の音色。そのたびに風景が目の前に現れるような気持ちになります。(レビュー




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(2024/07/14)