このページでは、私の好きな「デンオン・アリアーレ・シリーズ」を紹介します。もともとデンオン・アリアーレ・シリーズは、フルートの有田正広を中心としたバロック作品を紹介するというコンセプトでスタートしたシリーズでしたが、2013年現在までに、有田氏を中心とする日本の演奏家たちによるバロック音楽と、古典派の作曲家たちのカタログが多数リリースされるようになり、「バロック」にこだわることのない作品集をリリースています。

 そして、このシリーズのユニークな点は、様々なアーティストの魅力あるアルバムが、私の好きな画家である有元利夫(1946-1985)の作品をジャケットに使用していることです。有元氏の作品は、自身もリコーダーなどのバロック音楽を奏でるだけあって、タイトルにも音楽用語や作曲家の名前が登場します。なので、音楽のコンセプトに見事調和しているのではないでしょうか。このおかげでビジュアル的にも統一感のあるシリーズとなり、ジャケットを飾って眺めながら音楽を楽しむことができるのです。

ここでは、2000年にリリースされた5枚を紹介します。

 

ハイドン:ロブコヴィッツ四重奏曲集


1. 弦楽四重奏曲 第81番 ト長調 Op.77-1 Hob.III-81

2. 弦楽四重奏曲 第82番 ヘ長調 Op.77-2 Hob.III-82
3. 弦楽四重奏曲 第83番 ニ短調(変ロ長調) Op.103 Hob.III-83


-クイケン四重奏団-
シギスヴァルト・クイケン:バロック・ヴァイオリン
♪Giovanni Grancino, Milano, ca. 1700
フランソワ・フェルナンデス:バロック・ヴァイオリン
♪Francois Bodart, after Stradivari. 1989
マーレーン・ティアース:バロック・ヴィオラ
♪Anonymus, North-Italy, end 17th Century
ヴィーラント・クイケン:バロック・チェロ
♪attributed to Andrea Amati, Cremona, ca. 1570


1998年5月〜11月 オランダ、ハーレム、ドープスヘジンデ教会


- ジャケット:カードゲーム -

 



バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ



1. ソナタ 第1番 ト短調 BWV1001
2. パルティータ 第1番 ロ短調 BWV1002
3. ソナタ 第2番 イ短調 BWV1003

4. パルティータ 第1番 ロ短調 BWV1004
5. ソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005
6. パルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006

寺神戸亮:バロック・ヴァイオリン
♪Francois Bodart, Beez-sur-Mewse, 1991, after Stradivarius, 1708


1998年5月〜11月 デルフト、旧カトリック教会

- ジャケット:真夜中の室内 -




モーツァルト:弦楽五重奏曲 Vol.3


1. 弦楽五重奏曲 第1番 ハ長調 K174

2. 弦楽五重奏曲 第6番 ト短調 K614

-クイケン四重奏団-
シギスヴァルト・クイケン:バロック・ヴァイオリン
フランソワ・フェルナンデス:バロック・ヴァイオリン
マーレーン・ティアース:バロック・ヴィオラ
ヴィーラント・クイケン:バロック・チェロ


寺神戸亮:バロック・ヴィオラ

♪1999年7月、ラ・ショード・フォン・ムジカ・テアトル

- ジャケット:もうひとつの空 -

 

 




J.S.バッハ:フルート・ソナタ全集 / 有田正広

1.オブリガード・チェンバロとフルートのためのソナタ ロ短調 BWV1030
2. 無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013
3. フルートと通奏低音のためのソナタ ホ長調 BWV1035
4. トリオ・ソナタト長調 BWV1038*
5. フルートと通奏低音のためのソナタ ホ長調 BWV1034
6. オブリガード・チェンバロとフルートのためのソナタ イ長調 BWV1032
7. トリオ・ソナタト長調 BWV1039**
8.オブリガード・チェンバロとフルートのためのソナタ ロ短調 BWV1030a

有田正広:フラウト・トラヴェルソ
♪BWV1013/1030/1032/0135; Johann Jachim Quantz, Dresden or Potsdam, ca.1739
♪BWV1034/1038/1039; Rudolf Tutz, Innsbruck, 1994, after Jacob Denner, Nurnberg, ca.1725
♪BWV1030a; Masahiro Arita & Koichi Sughihara, Tokyo, 2000,
after Jacob Denner, Nurnberg, ca.1707

有田千代子:チェンバロ
Anonymous, aerly Flemish school, supposedly from the Ruchers family, ca.1630,
"Grand Ravalement" ca.1700, France

中野哲也:ヴィオラ・ダ・ガンバ
♪anonym., English, ca.1690


若松夏美:バロック・ヴァイオリン*
♪Giofredo Cappa, Saluzzo,1691


菅きよみ:フラウト・トラヴェルソ**
Rudolf Tutz, Innsbruck, 1999, after Jacob Denner, Nurnberg, ca.1725

2000年5月29日〜31日、6月13〜15日、横浜みなとみらいホール

- ジャケット:花びら -

 

 小沢征爾や、テレビやメディアによく登場する日本人アーティスト以外はほとんど注目しなかった私が日本人アーティスト(それもオリジナル楽器奏者)に開眼するきっかけを作ってくれたのが、このアルバムで、しかもリリース当初は、デンオンのホームページでも回想されている様に格調高い、いかにもクラシックという感じのアルバムジャケットでした。それが1992年のセカンドプレスから、私の好きな画家の一人である有元利夫の「光る箱」という作品が使われる様になり、このデンオンのアリアーレ・シリーズの方向が決定しました(詳しくはレーベルのページにあります)。
2010年に再販されたブルースペックも見送ろうかと思っていましたが、有元のイラストをあしらったジャケット、言い換えれば有元のジャケット欲しさに購入してしまいました(笑)

 このアルバムには有田氏の奥様である千代子夫人がチェンバロ、そして鈴木秀美がバロックチェロという布陣でレコーディングされています(三人とも東京バッハ・モーツァルト・オーケストラのメンバー)。私は今までに、先の日本人アーティスト以外、ほとんど手にすることはありませんでしたが、解説には使用楽器(3本を使い分け、そのうちの1本はブリュッヘンから譲られたと言うThomas Stanesby Jr.の1730年製の銘器を使用していることでも話題になっていました)の写真なども掲載され、古楽器への興味と、古楽器を演奏する日本人アーティストがこんなにも多かったのかと驚かされました。そして古楽器への関心が増々高まった一枚となりました(もともと古楽器を聞くきっかけとなったのは、星空との関連からでした)。

 有田氏のこのアルバムを知る以前は、フランス・ブリュッヘン(1975)と、有田のアルバムとほぼ同時期にレコーディングされていたバルトルド・クイケン(1988)を良く聴いていました。



ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集2


1. モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」から
「もし伯爵様が踊るなら」の主題による12の変奏曲 WoO40

2. ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 Op.12-2
3. ヴァイオリン・ソナタ 第4番 イ短調 Op.23
4. ロンド WoO41
5. 6つのドイツ舞曲 WoO42


寺神戸亮:バロック・ヴァイオリン
♪Carlo Ferdinando Landolfi, Milano, 1772
ボヤン・ヴォデニチャロフ:フォルテピアノ
♪Rosenberger, Vienna, ca.1802, from the collction of Edwin Beunk


1999年1月18〜22日 ベルギー、ローヴェンジジョエル・カペル

- ジャケット:ガボット -




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