星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

 このページでは、私の好きな「デンオン・アリアーレ・シリーズ」を紹介します。もともとデンオン・アリアーレ・シリーズは、フルートの有田正広を中心としたバロック作品を紹介するというコンセプトでスタートしたシリーズでしたが、2013年現在までに、有田氏を中心とする日本の演奏家たちによるバロック音楽と、古典派の作曲家たちのカタログが多数リリースされるようになり、「バロック」にこだわることのない作品集をリリースています。

 そして、このシリーズのユニークな点は、様々なアーティストの魅力あるアルバムが、私の好きな画家である有元利夫(1946-1985)の作品をジャケットに使用していることです。有元氏の作品は、自身もリコーダーなどのバロック音楽を奏でるだけあって、タイトルにも音楽用語や作曲家の名前が登場します。なので、音楽のコンセプトに見事調和しているのではないでしょうか。このおかげでビジュアル的にも統一感のあるシリーズとなり、ジャケットを飾って眺めながら音楽を楽しむことができるのです。

ここでは、1996年にリリースされた5枚を紹介します。

テレマン:6つの四重奏曲(1730年ハンブルク版)


1. コンチェルト 第1番 ト長調
2. コンチェルト 第2番 ニ長調
3. ソナタ 第1番 イ長調
4. ソナタ 第2番 ト短調
5. 組曲 第1番 ホ短調
6. 組曲 第2番 ロ短調

有田正広:フラウト・トラヴェルソ
♪Caleb Gedney, London, ca.1755
寺神戸亮:バロック・ヴァイオリン
♪Giovanni Grancino, Milano, ca.1691
上村かおり:ヴィオラ・ダ・ガンバ
♪Francois Bodart, Chastre, 1985, after Johannes Tilke
クリストフ・ルセ:チェンバロ
♪Jean Henri Hemsch, Paris, 1751
♪1995年8月24-27日、フランス、カストル近郊、聖イポリット教会

- ジャケット:浮雲 -

 



モーツァルト:弦楽五重奏曲 Vol.1


1. 弦楽五重奏曲 第3番 ハ長調 K515
2. 弦楽五重奏曲 第4番 ト短調 K516

-クイケン四重奏団-
シギスヴァルト・クイケン:バロック・ヴァイオリン
フランソワ・フェルナンデス:バロック・ヴァイオリン
マーレーン・ティアース:バロック・ヴィオラ
ヴィーラント・クイケン:バロック・チェロ

寺神戸亮:バロック・ヴィオラ

♪1995年6月5-7日、オランダ、ナイメヘン、コンセルトヘボウ

- ジャケット:幕間の再会 -

 

 



ベートーヴェン:初期クラヴィーア作品集


1. クラヴィーア・ソナタ 第8番 ハ短調「悲愴」 Op.13
2. サリエリのオペラ≪ファルスタッフ≫から、
アリア「まさにその通り」の主題による10の変奏曲WoO.73
3. クラヴィーア・ソナタ 第1番 ヘ短調 Op.2-1
4. 7つのバガテル Op.33
秩父ミューズパーク音楽堂(埼玉県)1996/02/06〜08

小島芳子:フォルテピアノ
♪Christopher Clarke, Cluny, 1994 after Anton Walter ca. 1795

- ジャケット:作曲家 -

 

 アリアーレに「クラヴィーア」としてカタログに載っていた一枚で、それまでバロックだけだったシリーズに「ベートーヴェン?」と不思議に感じていたアルバムでした。それに今までのジャケットとも異なり、人物のアップというのも異彩を放っていたのです。


 ここで初めて私はフォルテピアノを意識して聴きはじめたと思います。ベートーヴェンはそれまで敬遠していたのですが、フォルテピアノの音色にも惹かれ、このさっぱりとした感じが気に入ったのです。このアルバムにはシュローダー(ピーナッツ・ギャングの)が弾いていたメロディが何曲か収録されていたのも聴きやすいと思ったのかもしれません。一音一音がコロコロと聞き取れ、それまで自分の思い描いていたベートーヴェン像ではない、もしかしたらベートーヴェンってすごく面白いのかも、そんなきっかけを与えてくれた一枚です。

 ベートーヴェンは当時の流行りには敏感で、新しい楽器(ピアノ)ができると、さっそくそれを手に入れて、その楽器の限界に挑戦する作品を書いていました。時代ごとの新製品に興味を示しているから、鍵盤も右に左に縦横無尽に走り回るような音域を駆使しています。それはピアノの性能を試しているかのようにも聞こえます。
 小島さんのエッセイに、このレコーディングのために製作したフォルテピアノの試演会で「まるで火山が爆発するようだった」と回想する制作者クリストファー・クラーク氏のコメントはとても面白く、まさにその通りの音が聞かれます。ピアノが壊れんじゃないの?というぐらいの勢いで(笑)。ここで初めてベートーヴェンらしいイメージが湧いてきました。

 私にベートーヴェンの面白さを気づかせてくれた小島さんは、2004年に闘病に倒れ、帰らぬ人となってしまい、返す返すも残念でなりませんが、ベートーヴェン以外にも、アリアーレにはハイドンのソナタ集を残してくれました。その2枚を聴くと、両者の作品の性格がとてもよくわかります。

イタリア・バロックのフルート音楽


1. タルティーニ:フルート協奏曲 ト長調 D105
2. ロカテッリ:ソナタ ト短調 Op.2-6*
3. マルチェッロ:ソナタ ロ調 Op.2-2*
4. ヴィヴァルディ:ソナタ ハ長調 RV.48*
5. ヴェラチーニ:ソナタ イ短調 Op.1-1*
6. コレッリ:「ラ・フォリア」Op.5-12

有田正広:フラウト・トラヴェルソ
♪Friedrich Gabriel August Kirst, Potsdam, ca.1770
♪Thomas Stanesby junior, London, ca.1725*
有田千代子:チェンバロ
♪Giovanni Baptista Magnelli, Florence, 1688
中野哲也:ヴィオラ・ダ・ガンバ*
♪English, ca.1690

-東京バッハ・モーツァルト・アンサンブル-
若松夏美:バロック・ヴァイオリン
♪Giofredo Cappa, Saluzzo,1691
高田あずみ:バロック・ヴァイオリン
♪Johann George Psenner, Innsnruck, 18th century
渡邊慶子:バロック・ヴァイオリン
♪Giofredo Cappa, Saluzzo, 1690
竹嶋裕子:バロック・ヴァイオリン
♪Francesco Goffiller, Venice, 1730
森田芳子:バロック・ヴィオラ
♪Thomas Kennedy, London, mid-19th century
諸岡範澄:バロック・チェロ
♪Anonym, Bohemia, ca. 1700
西沢誠治:ヴィローネ
♪Anonym, Southern Germany, mid-18th century

1996年1月20〜23日、秋川キララホール

- ジャケット:ソナタ -

 



モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集 2


1. ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K219「トルコ風」*
2. ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K218**

寺神戸亮:バロック・ヴァイオリン*
♪Giovanni Grancico, Milano, ca.1691
シギスヴァルト・クイケン:バロック・ヴァイオリン*
♪Giovanni Grancico, Milano, ca.1700
ラ・プティット・バンド

1996年5月 メーダー、聖ラウレンティウス教会

- ジャケット:多島海の雲 -

 

 




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