このページでは、私の好きな「デンオン・アリアーレ・シリーズ」を紹介します。もともとデンオン・アリアーレ・シリーズは、フルートの有田正広を中心としたバロック作品を紹介するというコンセプトでスタートしたシリーズでしたが、2013年現在までに、有田氏を中心とする日本の演奏家たちによるバロック音楽と、古典派の作曲家たちのカタログが多数リリースされるようになり、「バロック」にこだわることのない作品集をリリースています。 そして、このシリーズのユニークな点は、様々なアーティストの魅力あるアルバムが、私の好きな画家である有元利夫(1946-1985)の作品をジャケットに使用していることです。有元氏の作品は、自身もリコーダーなどのバロック音楽を奏でるだけあって、タイトルにも音楽用語や作曲家の名前が登場します。なので、音楽のコンセプトに見事調和しているのではないでしょうか。このおかげでビジュアル的にも統一感のあるシリーズとなり、ジャケットを飾って眺めながら音楽を楽しむことができるのです。 |
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あってもよさそうだったバッハのチェロのための無伴奏組曲。鈴木秀美さんあたりがレコーディングをしていてもなんら不思議のない名曲です。レーベルが誕生して約20年近い歳月を経てレコーディングされたのは、なんと「チェロ」ではなく「ヴィオロン・チェロ・ダ・スッパラ」という幻の楽器。簡単に言うと肩掛けチェロです。音色は楽器の大きさからも推測できるようにヴィオラとチェロの間の音域。なんでもバッハが生きていた時代には実際に演奏されていた楽器です。しかし、今ではそれをどうやって演奏方法するかがわからない、だから演奏するアーティストがいなくなってしまった。それが「幻」になってしまった原因なのでしょう。 というわけで初めて耳にするスッパラ。なんとも言えない軽妙な音で、確かにチェロのようなヴィオラのようなという音。最近では寺神戸氏の師匠であるシギスヴァルド・クイケンが、自身のコンサートやレコーディングで、通奏低音にスッパラを用いています。ブランデンブルグ協奏曲や四季などで聴くことができますが、バロックらしい軽さが際立っているような感じがします。そして新鮮。 SACDというフォーマットは、まるで録音した空気までもパッケージしているのではないかと思えるぐらいの臨場感が伝わってきます。このアリアーレ・シリーズはそれでなくとも音が素晴らしいのに、さらにSACDでの録音は嬉しい企画です。できることならば、最初の一枚に戻ってもらって、全作品SACD化してもらいたいと思います! |
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