Photo by Toshiharu Minagawa.

 ウィンダム・ヒルの歴史はウィリアム・アッカーマンの歴史でもあります。特に彼がプロデュースした作品は、レーベル色が色濃く反映されているといってよいでしょう。というのも、やはり彼がウィンダム・ヒルそのものだからに他ありません。

  ここでは、ウィンダム・ヒル・レーベルを売却した後に立ち上げたImaginary Roadという新しいレーベルに併せて新設したウィルのスタジオ、イマジナリー・ロード・スタジオ(Imaginaru Road Studios)で制作されたウィルのプロデュース作品のうち、2020年にリリースされたアルバム、ならびに元ウィンダム・ヒルのアーティストのアルバムを紹介します。なお、オムニバスなどのエグゼクティブ作品は割愛しています。ウィンダム・ヒルの作品集はコチラをご覧下さい。

  2020年は世界中に蔓延し、現在も収まることを知らない「新型コロナウィルス」の影響により、レコーディングはままならないと思っていました。しかし、こうした逆境を跳ね返すべく、人間はそれに立ち向かうための様々な秘策を生み出しています。
  そんな中、たとえばウィルも遠隔によるパフォーマンスを活かし、スタジオにミュージシャンを集めることなくレコーディングを行う方法を駆使して、いつになく素晴らしいアルバム制作を続けてくれています。このスタイルは、ウィルが以前、理想としていた音楽の表現方法の一つでもあります。それが現実となったのが、人類を襲った悲劇からと言うのは皮肉かもしれませんが…

スタジオから新型コロナウィルスに関するメッセージ

 




MEMORIES OF WATER AND LIGHT/ Scott Cossu -2020-
 4年ぶりのニューアルバムは、ピアノ、ギター(Van Manakas)、チェロ(Holly Reeves)のトリオ。前作のウィンダム・ヒル時代のリ・レコーディングとは違って全曲が新曲。『REUNION』を思い起こさせるような作風です。




GOOD LIGHT TO GO BY/ Vin Downes -2020-
 Cloud Foundingでの制作。今回はWill Ackermanのプロデュースではなく、Tom Eatonとの共同プロデュース。(レビュー




 昨年9月から発生したオーストラリアでの火災は、年が明けて2月になった現在も被害が広がっています。オーストラリアのアーティストであるFiona Joy Hawkinsは1月からBandcampにて森林火災に関わる消防士たちを支援するための楽曲をレコーディングしています。賛同される方はぜひ支援を!
Tolling of the Fire Bell/ Fiona Joy Hawkins

Fiona Joy Hawkins; Piano
Jill Haley; English Horn
Eugene Friessen; Cello

Produced by Will Ackerman & Tom Eaton.
Mixed and Master: Tom Eaton.
Recorded by Tom Eaton at Imaginary Road Studios - Windham County, Vermont.





HIDDEN FLOWERS/ Masako -2020-
 ウィル・アッカーマンがプロデュースするImaginary Road Studiosから通算5枚目。もはや「チーム」と呼んでも差し支えないのでは?と思ってしまいます。(レビュー




SMALL MOMENTS/ Michael Manring -2020-
 ソロとしては15年ぶりとなるアルバム。そしていつものお約束(笑)、

"These are solo bass pieces, recorded live with no overdubs and minimal editing"

前作(SOLILOQUY)同様、ただただあぜんとするしかないベースソロ。残念なのは今のところダウンロードのみでのリリースしかアナウンスされていません。CDを望みますねー(笑)




 オーストラリアの大火災、コロナ渦でレコーディング(オンラインなど駆使して)されて完成されました。例年と違ったこの年に、こうしていつものようなことが行なわれると、それだけでホッとする思いです。そして、その内容も、誰もが期待するように。(レビュー





SOMETHING IN YOU REMEMBERS/ Vin Downes -2020-
 前作から間をおくことなく届けられたミニアルバム。しかもダウンロードのみで、プロデュースは本人とTom Eatonとの共同プロデュース。




THE BRIDGE/ Alex de Grassi -2020-
Alex de Grassi
 先のマイケル・マンリング同様、実にソロとしては17年ぶりとなるギター・ソロ・アルバム。オフィシャル・ビデオも




LIGHT OF THE SUN/ Paul Winter -2020-
 これまでのキャリアの中で、初めて自身のサックスをフューチャーしたコンセプト作。構想から10年目にして完成したというアルバム。日本版は独自のジャケットで「Universal Symphony」というタイトルの唐紙アート仕様でリリースされます




AERIAL VIEWS/ Todd Mosby -2020-
 コロナ渦で行なわれたレコーディング(7月Imaginary Roads Studios, 8月Dreamland Studios)。参加メンバーはWill Ackerman, Tony Levin, Jerry Marotta, Michael Manring, Jeff Haynes, Premik R Tubbs, Lola Kristine, Tom Eaton, Kristin Hoffmann, Sean Harkness(←ひさびさ!)。いつもいそうなメンバーの名前が見当たらないのは仕方ないでしょう…




CHRISTMAS MEDITATIONS/ Gary Schmidt -2020-
 思わず「おっ」とジャケットの雰囲気から、ある一枚のアルバムを連想された方もいるのではないでしょうか? 1988年にリリースされた『ウィンター・コレクション2』を。これはImaginary Road Studiosでレコーディングされたピアノ・ソロ、Gary Schmidtによるクリスマス・アルバムです。




PEACE VALLEY/ Michael Borowski -2020-
 ピアノ・ソロ。未曾有のコロナ渦にみまわれた世の中への祈りにも似た作風に心癒されます。2013年のKathryn Kaye以来、ウィルの?ブリックレイヤー家の美しい娘がカヴァーされています。(レビュー

 

Imaginary Road Studios 2019|Imaginary Road Studios 2020|Imaginary Road Studios 2021
 
 
(2023/06/03)