ウィンダム・ヒルの掲示板

Photo by Toshiharu Minagawa.


WH-1049
REUNION
/ Scott Cossu with Eugene Friesen

Dedication : This album is dedicated in fond memory to my grandmather, Sweet Rose.

Windham Hill Records, 1986

Produced by Elliot Mazer, William Ackerman,Scott Cossu and Eugene Friesen.


All compositions by Scott Cossu.


01. Sanibel
 Scott Cossu; Piano / Eugene Friesen; Cello
Jim Brock; Percussion

02. Mistico
Scott Cossu; Piano / Eugene Friesen; Cello

03. Moira
Scott Cossu; Piano / Eugene Friesen; Cello
Charles Bisharat; Violin / Jim Brock; Percussion

04. Shepherd's Song
Scott Cossu; Piano / Eugene Friesen; Cello, Cello Choir

05. Ia Paloma(Flight of the Dove)
Scott Cossu; Piano / Eugene Friesen; Cello
Charles Bisharat; Violin / Jim Brock; Percussion

06. Gwenlaise
Scott Cossu; Piano / Eugene Friesen; Cello, Cello Choir

07.Sweet Rose
Scott Cossu; Piano / Eugene Friesen; Cello 

08. Wedding At Jenny Lake
Scott Cossu; Piano / Eugene Friesen; Cello
Bob Hubbard; English Horn

09. Morning Sketches
Scott Cossu; Piano / Eugene Friesen; Cello
Alex de Grassi; Acoustic Guitar


 ピアノとチェロという組み合わせは、それこそクラシックの世界ではポピュラーな組み合わせですが、この手のジャンル(ジャズでもなくクラシックでもないウィンダム・ヒル)では、「一体、どんなハーモニーになるんだろう」という組み合わせでした。

 ウィンダム・ヒルから3枚目のアルバム(通算では5作目)は、コッスの全作品中、もっとも瞑想的な性格を持ち、【WIND DANCE】の中の“Purple Mountain”や【ISLAND】の中の“Fawn”などのクラシック的内容の叙情的な性格を彷彿とさせます。私にとってはレーベルの中でも1、2を争うほどの“ウィンダム・ヒルらしい”内容を持ったアルバムです。そしてアルバムジャケットも美しく印象的なカットが使われています。アルバムのエンディングを考えれば、これは明け方の色彩でしょうか?そんな事を想像しながら聴くのも一興です。

01. Sanibel
 雨だれのようなピアノに導かれて、いつしかチェロが歌い始めています。そして、いつのまにかピアノに寄り添うようなチェロが歌い出すあたり、このアルバム全体の内容を予感させ、なんだかゾクゾクしてしまいました。先にクラシックではポピュラーな組み合わせと書き始めましたが、やはりウィンダム・ヒルでは全く違うハーモニーを聴かせてくれるようです。

02. Mistico
 リリカルなピアノの旋律に、つぶやくようなチェロのピチカート。そして2人のしっとりとしたハーモニー。このアルバムがリリースされた直後に、日光の丸沼で聴いたので、個人的にその時の印象が強く、この曲(アルバム)を聴くたびに、その時の情景が浮かんでは消えます。霙まじりの雨が車のフロントガラスを流れてゆきます。

03. Moira
 主旋律がチェロではなくCharles Bicharatの奏でるヴァイオリンで、チェロはバックに退きます。むせび泣くヴァイオリンがコッスのピアノと絡み合い、このアルバムでは唯一の叙情的ではない、感情的な性格を持った曲です。

04. Shepherd's Song
 厳かなピアノの和音に導かれて、チェロも同じ旋律をユニゾンでなぞっていきますが、コーラスのようにだんだん膨み荘厳な雰囲気を創り出していきます。

05. Ia Paloma(Flight of the Dove)
 再び、Charles Bicharatのヴァイオリンが加わりトリオによる演奏。今回はヴァイオリンとチェロはほぼ同じ音型を辿りますが、チェロは他にもピチカートがパーカッションとリズムを分け合っています。曲想はのどかな情景の他、途中からテンポを替えて様々な表情を見せてくれます。

06. Gwenlaise
 深いチェロのコーラスがピアノを導くまでの前奏は、まるで森や山の歌声でも聞いているかのような厳かな趣がありますが、ピアノが歌い出してからはガラリと雰囲気が変わり、アルバムを通して、もっとも印象的な展開をみせる曲です。

07. Sweet Rose
 このアルバムはコッスのおばあちゃん(Groundmother)に捧げられています。Sweet Roseはおばあちゃんのニックネーム。その思い出に捧げられた曲は、感傷的ではなく、牧歌的。セピア調の写真を見ているようです。

08. Wedding At Jenny Lake
 一聴だけでは、チェロの音色だと思っていた旋律は、Bob Hubbardの吹くイングリッシュ・ホルンが受もち、ピアノ、チェロ、ホルンのトリオによる演奏になっています。

09. Morning Sketches
 Alex DeGrassiのギターが加わったトリオによる演奏で、まさに“Purple Mountain”の続編といった雰囲気の曲です。アルバムジャケットは暁の一コマでしょうか?静かなタッチは、アルバムのエンディングにふさわしく、瞑想に満ちた雰囲気を持って締めくくられます。DeGrassiとコッスの共演は多く【CROCKWORK】【WIND DANCE】に続き3作目となります。


 アッカーマンは、コッスがフリーゼンとデュオで活動していた1978年に初めて出会い、その時の印象が、その後のレーベルに迎え入れる動機として働いたようですが、実際はコッスをレーベルに引き込んだのはジョージ・ウィンストンでした。

 コッスのウィンダム・ヒル・レーベルでの1stアルバム【WIND DANCE】はジョージのプロデュースによるものです。コッスとフリーゼンは、しばらく別々の活動をしていましたが、久々の再会(Reunion)となったため、アルバムタイトルも【REUNION】となりました。彼らの友情と、このアルバムが完成する10年も前から、素晴らしい音楽が存在していたのかと、巡り合わせを感じさせるタイトルではないでしょうか。

 なお、コッスとフリーゼンは前作【ISLAND】で久々の共演を果たしており、それが直接の引き金になったのかもしれません。

〜Discography〜
STILL MOMENTS (Music Is Medicine, 1980)
WIND DANCE (Windham Hill, 1981)
SPIRALS (First American, 1982)
ISLANDS (Windham Hill, 1984)
REUNION (Windham Hill, 1985)
SHE DESCRIBES INFINITY (Windham Hill, 1987)
SWITCHBACK(Windham Hill, 1989)
STAINED GLASS MEMORIES (Windham Hill, 1992)
WHEN SPIRITS FLY(Miramar, 1998)
EMERALD PATHWAY(Miramar, 2002)
WHEN SPIRITS FLY...AGAIN(Miramar, 2004)



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