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01. Remedios 02. Processional 03. The Impending Death of the Virgin Spirit 04. Pacific I 05. The Bricklayer's Beautiful Daughter 06. Hawk Circle 07. Anne's Song 08. Passage |
ウィルにとっては4作目、日本ではジョージ・ウィンストン『オータム』と並んでこれがデビュー作(1983年11月28日発売)となったアルバムです。当時のウィンダム・ヒルを象徴していた白地に風景写真というスタイルの中でも、全アルバムを通して1、2を争うほどの美しさではないでしょうか(個人的には3rdのジャケットが内容といいタイトルといい一番のお気に入りです)。 初めてこのジャケットを見たときの衝撃は、今もって忘れることのできない感覚です。霧に包まれた森が、アッカーマンの音楽に対する私の期待のベールのように見えたものです。そしてその期待を裏切らなかった美しい楽曲の数々。 アルバム中4曲が既存曲のリ・レコーディング(2、3、5、7)で残りの半分が新曲なので、日本のファンにとってはウィルの音楽を知る意味でちょうど良いデビューになったのかもしれません。かくいう私もそのうち1人です。その結果、多くの人の心に、今までにないけれど、どこか懐かしくも新しい響きとして刻まました。 スタイル的にはギター・ソロだった今までの作品集とは異なり、ソロとデュオが半々になっています。これは、後のウィルのスタイルを語る上では欠かすことの出来ないアルバムになっているのです。 1.ではダロール・アンガーのむせび泣くようなヴァイオリンとのコラヴォレーションで始まり、名曲中の名曲である3ではダン・レイターに亡き母の面影をチェロという人の声に近い楽器で語らせています。4の瞑想的なイングリッシュ・ホルンはロバート・ハッバード、そして7では、これまでで唯一の共演となるピアニストのジョージ・ウィンストンと感情的なユニゾンを奏でています。これらのアンサンブルでは、共演者のパートは、それぞれのアーティストが作曲したメロディです(共作ということ)。 どの曲にも共通しているのは、ウィルのフィンガー・ピッキングの優しいぬくもりがリスナーの気持ちをリラックスさせてくれるということでしょう。今の日本では考えられないことですがが、このアルバムから“ブリックレイヤー家の美しい娘”(5)がシングルカットされるという、異常なほどブレイクていました、当時の日本では。 音が風景になった、風景が音になった というキャッチコピー通りのアルバムなのです。 ヴァイオリンやチェロが加わったからといって、決してクラシックなスタイルではなく、当時のレコード屋が悩んでいたとおり、ユニークなスタイルが全アルバムに浸透しています。クラシックでもなくジャズでもない。まさにウィンダム・ヒルというひとつのジャンルといっていいほどの瞬間(時代)に私は出会い、立ち会うことができたのです。その第一弾がこの『PASSAGE』とジョージ・ウィンストンの『DECEMBER』だったのです。 |
〜Discography(Amazon へリンクします)、♪(レビュー)〜 IN SEARCH OF THE TURTLE'S NAVEL (1976) IT TAKES A YEAR(1977)♪ CHILDHOOD AND MEMORY (1979)♪ PASSAGE (1981) PAST LIGHT(1983)♪ CONFERRING WITH THE MOON(1986)♪ IMAGINARY ROADS (1988)♪ THE OPENING OF DOORS(1992)♪ WILL ACKERMAN / A WINDHAM HILL RETROSPECTIVE(1993) SOUND OF WIND DRIVEN RAIN (1998)♪ HEARING VOICES(2001)♪ RETURNING(2004/Mary's Tree)♪ PURE(2006) MEDITATIONS(2008)♪ NEW ENGLAND ROADS(2010) ♪ FLOW(2017)♪ WAS IT THIS LIFETIME -Pieces for Guitar 1995-2011(2019) ♪ FOUR GUITARS(2019)♪ PROMISE / FLOW(2019)♪ BROTHERS(2021)♪ POSITANO SONG(2022) |