「天の川(1990)」
単調なメロディラインが2つ。それを繋ぐ低音のアクセントが、ドーン。ドーン。どんどん暗闇へと誘うような不思議な感覚。そのアクセントも通常CDで聴いていても不気味な感覚なのに、マルチチャンネルともなると一音一音の衝撃的な低音が倍増し、凄味が増していきます。そうした効果を狙っての作曲なんでしょうか(1990年作曲だけど…)? 終始均一なサラウンドで、まるでグランドピアノの蓋を開けて頭つっこんで聴いているような感覚。このアルバムの中では一番のサラウンド効果が聴いてます。
「惑星(1914-1916)」
このデュオの持前が連弾だから、この曲も2台ピアノではなく、1台のピアノでの連弾。おなじみの曲、単色(スタインウェイ)のピアノの音色だけ。しかし、マルチチャンネルだと、楽譜に書かれているすべての音が聞こえてくるのはピアノだからでしょうか?よくもまぁ、こんなに音符が混雑している曲なのに、1台88鍵だけで弾けるなぁ、と感心してしまいました(特に水星、木星)。
「天体の力学(1979)」
これは『マクロコスモス』の中、第4巻におさめられた組曲で、その中からケンタウルス座α星と、はくちょう座β星(アルビレオ)が演奏されます。とはいえ、「あ〜、現代音楽だなぁ」としか感じませんでした。タイトルから想像して美しいく、ロマンチックな曲想を想像して身構えると面喰います。
「重力(2005)」
なんとも不思議な感触の曲で、どこかで聴いたことがあるぞ? と、ずっと考えながら聴いていました。思い当たったのがウルトラマンシリーズで描かれる宇宙の姿。あの時の宇宙は音がしてました。子供ごころに焼き付いてます。あの宇宙の音が。そうか、宇宙にまさにその音(メロディ)。まるで違う曲なのですが、思わず連想してしまいました。ペルトの「鏡の中の鏡」が好きな人には絶対気に入られるはずです。このアルバムの締めくくりにはぴったり。星空のお供に合います。
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