星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

10月30日「父親になった」

 昨日の秋一番の冷え込みに伴う雨も朝のうちに上がり、会社のビルから外へ出ると、水溜りこそ残っているものの、明るい曇り空からは、それ以上の雨が落ちてくる心配は無さそうだった。そんな天気も夕方には快晴をもたらし、今年一番の夕空を描き出してくれた。細く明るい三日月のすぐ下にぶら下がりそこねた宵の明星が雨上がりの冷たい西の空に姿を現している。空も気持ちいいほどに澄んで雲だけが赤く染まっている。

 
 夜勤明けで寝ていると「12時33分に、無事出産しましたよ」という電話があった。最初は何を言っているのか意味がわからなかったので「ハァ?」と聞き返すと、「3410グラムの元気なお子さんです」と言い直してくれた。なんだか実感の沸かないままお義母さんを誘って(実母はニュージーランド)病院へ向かう。新生児室に行って対面させてもらった。(もちろんガラス越しで)

 「3410g、50.1cm、12時33分」というプレート。小さな生命がスヤスヤと呼吸する赤ちゃんの寝顔があった。僕は、自分の目で赤児を目の前にするまでは性別に関して知りたくなかった。だから名前も決めずにこの日を迎えたのであるが、目の前には男の子がいた。この瞬間、普通、親になった実感を抱く人が多いと聞く。僕もそうなると思っていたのに、どういうわけか、自分が小さかった頃の記憶が蘇ってきたのだ。実に不思議な気持ち。
 家に帰る車のフロントガラス越しに、昨日見た細い月がちょっとだけ大きくなって見えていた(月齢2.8)。僕が生まれた日も同じく、宵の明星が西の空に姿を見せていたという。

---星空夜話(2000)




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