星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)





同郷のドビュッシー同様
ラヴェルに染まったのは冨田勲のシンセサイザーと
ラヴェルが編曲したムソルグスキーの『展覧会の絵』でした。


彼はオーケストラの魔術師という異名を持つぐらい、
楽器の音色や配色については他の作曲家の追従を許しません。
特に『ボレロ』の入れ替わり立ち替わりの配色が大好きで、
一日に何回聴いても飽きないほどです。

そうはいうものの
やはり好きな音楽は彼のピアノ作品。
ドビュッシーのそれと較べると作品数は少なく、
CDにしてみても枚数が少ない分
ほぼ全曲をまんべんなく良く聴いています。

ラヴェルのことではおもしろいことがあって、
学生の頃、友だちと良く福島県は吾妻小富士にある浄土平へ
星空への招待席へ参加すべく 足繁に通ったことがありました。

そのころから私の雨男は健在で、
残っている記憶は 1日を除いて夜はずっと曇りだったのです。
晴れていれば外に出て一晩中星を眺めているつもりでいたのですが、
曇りや雨の場合はテントの中で一晩中語り明かしていても時間が進まないので
退屈すると麓の福島市街へ出て
その頃はまだ飾電の残る町を徘徊して時間をつぶしました。

その時にBGMに繰り返し流していたのがラヴェルのピアノ作品で、
二人ともいちいちテープを帰るのもめんどくさかったから
ずっとそのままにして車の中から福島の町並みを眺めていました。

それが今となっては
ラヴェルを聴くとその時の情景を思い出す引き金になってしまいました。

そして、それにとどまらず
福島方面へ出かけるときはリストに必ずラヴェルを持っていくことにしたから、
ますますラヴェルといえば福島というイメージが強くなっていったのです。

いまでも『クープランの墓』の第1曲目のイントロが流れるや、
雨がフロントガラスを叩いて、
川越しに見えた福島のネオンサインが雨粒に流されて
ユラユラとする情景がありありと脳裏に浮かんでは消えた光景が鮮やかに。

先だってグループで福島に行く機会があり、
ラヴェルを持って行っても聞くことはないだろうと思って持っていきませんでした。

帰り道、カーステレオのスイッチを入れるや
「続いてはラヴェル作曲“クープランの墓”をお送りいたします」とDJ。
つくづく僕と福島とラヴェルは相性がいい。


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