星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

作曲:1928
初演:1928年11月22日 オペラ座、パリ


ロンドン交響楽団/ クラウディオ・アバド
 演奏に興奮した楽団員たちから自然に歓声が上がったという演奏。そのまま使用してしまったというエピソードがリリース前に報じられ期待が膨らむのは当然ではないでしょうか? 今聴けばあまりにも地味な演奏という感じがしますが、当時は楽団員と同じく聴いていて興奮したのを思い出します。アバドはこのあとピアノ協奏曲も含めラヴェルの管弦楽全集を完成させました。




 ラヴェルのボレロは、小太鼓がオープニングからエンディングに掛けて大活躍する名曲。同じメロディが楽器を変えながら終始繰り返す逸品。おそらく名盤、名演がある中で、私がいつもチョイスするのは「エンディングで楽団員が完成を挙げた」というのが話題になったクラウディオ・アバドがロンドン交響楽団とレコーディングしたレコードです。しかし、もっとも好きな演奏は、リッカルド・ムーティがウィーン・フィルと記念ツアーか何かで演奏したアンコールでの演奏(2021年にCD化されました!)。ラジオかテレビで1回した聴いたことはないのですが、テンポも音色も何もかもが衝撃的なほどの感動を与えてくれました(もしかしたら、記憶が美化されまくっているのかもしれませんが…)。その後も、異演の演奏を、時間も手頃なので聴き比べをしています。

 この曲を初めて聴いたのは1979年に制作されたダドリー・ムーア主演の映画『テン』でした。そのボレロは映画用に編曲され、5分足らずで果ててしまうのですが、まさかオリジナルがこんなに長い曲だとは思っても見ませんでした(笑)。そのあとに見たのが、友人から借りたビデオの『愛と悲しみのボレロ』です。
 当初、手にしたアバドのレコードジャケットは「なんだこれは?」でしたが、ライバルのムーティは見栄えの良い(多分この方が売れるであろうと言うレコード会社の思惑ありあり)ジャケットで、こちらの方が好きでした。アバドのジャケットは、フラメンコを踊っているダンサーの写真だと理解したのは、ずいぶんあとのことです。

 アバドとムーティの2枚は「ボレロ」以外に曲がダブることなく、好きな指揮者でラヴェルの曲がたくさん聴けて得した気分になってました。



フィラデルフィア管弦楽団/ リッカルド・ムーティ
 どういうわけか、というよりレコード会社のライバル意識はアーティストにまで影響を与えていると思いますが、古くはカラヤンとバーンスタイン(彼等の場合はカラヤンのバーンスタインへの嫉妬?が実際に会ったようですが)。イタリア人指揮者の先輩アバドと後輩ムーティも、そんなあおりを受けたのではないかと思えるような選曲が続きました。ムーティのこのアルバムもそんな選曲です。しかし、ムーティはこのあとラヴェルの管弦楽作品が続くことはなく…




ウィーン・フィル創立150周年記念コンサート
 確かNHKで放送してくれたのを見たのが強烈な印象を与えてくれましたが、両者の関係が別格だった頃の演奏会で、メンデルスゾーンなど第1楽章が終わったときに拍手が入ってきたほど。そしてお目当てのボレロはアンコール的な扱いで演奏されました。

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