ウィンダム・ヒルの掲示板

マイケル・マンリング(Michael Manring)

 自らを「Crazy Bassist !」と表現するマイケル・マンリングはウィンダム・ヒル初期からの屋台骨となっているベーシストで、ほとんどのアルバムに参加していると言っても過言ではないほどセッションに参加しています。リーダー作となると実は少ない! ウィンダム・ヒルからのリリースが、セッションの数に比べて3枚というのはあまりにも少なすぎる、と思います。もっと前に出てきてもいいぐらいなのに、それは彼の担当する楽器にもよるのかもしれませんが(性格も控え目なのかも)、この寡黙なミュージシャンはもっと檜舞台に出てきて欲しいと思います。

 彼の奏でるベースはフレットレス・ベース。先人にジャコ・パストリアスがいますが、彼の影響を受けていないベーシストはいないだろうと思います。マイケルの演奏にも彼の影響が伺えるのは当然、彼がジャコの門下生だったということが上げられます。彼のセッションについて詳細なページを作ってみたいのですが、きっと他のページを合わせたページ以上になりそうな気配がするので、今はただ、彼に関するサイトを見たりして感嘆の声を上げているに過ぎません(手を出したらと思うと、怖くて怖くて)。それでも気になるミュージシャンなので、一気にはできそうにないものの、ポツポツと持っている他のミュージシャンのアルバムからいこうかなと思っているのですが…

 また、マイケルはマルチ・ミュージシャン(ウィンダム・ヒルにはそういったアーティストが多い)で、ほとんどすべての楽器を一人でこなしています。個人的にはベースとピアノの腕前が素晴らしいと思いますが、いかがでしょう?
 ソロ以外ではダロール・アンガー、マイク・マーシャル、バーバラ・ヒグビーらとモントルーというバンドを結成したり、Cloud Chamber のメンバーだったり、とにかく忙しいベーシストであることは間違いありません。



UNUSUAL WEATHER -1985-
  記念すべき最初のリーダーアルバムで、ほとんどの楽器をプロデューサーのボブ・リードとマイケルの二人で受け持っています。アンサンブルとは言え、ほとんどが二人による演奏です。ジャケットもウィンダム・ヒルっぽくてワクワクしてしまいましたが、内容はジャズそのもの。フレットレスベースを駆使してはいても、他の楽器にリードを任せてしまうとは、マイケルはどこまで控えめなアーティストなんだろう(笑)、等と思っていると、期待通りのベースソロ(4と7)を聴くことができます。


MONTREUX / SIGN LANGUAGE -1987-
 マンドリンのマイク・マーシャル、ヴァイオリンのダロール・アンガー、ピアノのバーバラ・ヒグビーらと共に結成したバンドで、ウィンダム・ヒルからリリースした『CHIAROUSCURO』やバーバラ・ヒグビー・クインテットが発展して結成されたというバンド。楽器の組み合わせがユニークなのはウィンダム・ヒルゆえ。トロピカルともいえる、何ともいえない雰囲気を持った作品集です。
 ここでマイケルは“Sign Language”と“Circular Birds”の2曲を提供し、さすがの自作はベースが主役。


TOWARD THE CENTER OF THE NIGHT -1989-
 前作から4年たち、Montreuxとしての活動期の最中にレコーディングされた、マイケルのリーダー作第二弾。音楽的には1stアルバムの延長線上にあり、更に清涼感が増したといったところ。ジョージ・ウィンストンやウィリアム・アッカーマンのような叙情的なウィンダム・ヒル・サウンドとはひと味違ったジャズ・フュージョン系。今回はセルフ・プロデュースにより、よりマイケルらしさが前面に押し出されているようですが、Montreuxの一員としての活動が多少なりとも影響しているのかもしれません。


MONTREUX / LET THEM SAY -1989-
 再びマンドリンのマイク・マーシャル、ヴァイオリンのダロール・アンガー、ピアノのバーバラ・ヒグビーと共にレコーディング。今回はドラマーのウィリアム・ケネディをゲスト参加という形で、全面バックアップしてもらっているからか、パーカッシブな曲が多くなっています。バンドとしては2ndアルバムにあたります。
 今回は“Astronomics”のみの提供ですが“A Way With Birds”に良く似たアルバム中もっとも躍動感のある仕上がりになっています。前作のジャケットよりかよりトロピカルさを感じさせますが、実際は延長作といったところ。


DRASTIC MEASURES-1991-
 ソロ前二作と比べると、ロック色を増した作品で、演奏面でも収録曲でも、それは伺えます。ジミヘンをはじめとするベースソロも、今までのベースソロとは違い、明らかに技巧面を前面に打ち出した激しい演奏で、多くのベーシストやベース好きの耳を奪うに違いないのではないでしょうか。
 『ウィンター・コレクション』ではピアノで演奏していた“Hopeful”がアンサンブルでレコーディングし直されてりしているあたり、非常に興味深い1枚です。アルバムジャケットも、マイケルの顔が使われていて、今までの内容とは違うことをうかがわせます(しかめっ面だし)。あいかわらず低弦の響きは体を心から震わせます。


equilibré / David Cullen Michael Manring-2000-
 完全にベースだけを演奏したアルバムです(ウィンダム・ヒルからリリースされたアルバムではないのが残念)。といってもギターのDavid Cullenとのギター&ベースによるデュオ。こうした組み合わせによるレコーディングも珍しいかもしれませんが、実はこういうのを待っていました。デビッドはアッカーマンと交流があり、最近ではこのアルバムの主役とアッカーマンとトリオでのツアーも行っているようです。
 ギターの音色は普段から主役を務めるので聞き慣れていますが、絡み合うベースに関しては、普段あまり前面に出てこないので、新鮮に聞こえます。時にはリードを取り、サポートに廻り、ユニゾンで絡み合い歌を歌う。(レビュー


SOLILOQUY / Michael Manring -2005-
 待ってました!アルバムタイトルにあるように完全なる独演。全14曲のうち、“Selene”だけがライブ録りで、残りは全てスタジオ録音。どちらにしても、観客を前にしたステージか、観客のいないスタジオに過ぎず、3曲目を除く全てが一発録りです。
 このアルバムには、曲目の詳細を綴ったPDFファイルが入っていてマイケル本人による曲目解説と、使用楽器、キーなどが記されています。読み応えあり。またボーナストラックとしてのマイケルのパフォーマンスを映像で見ることができ、ヘッジス同様に驚異の演奏シーンで、驚きのパフォーマンスを楽しむことができます。

 ジャケットがなんだか… (レビュー
A PLACE IN TIME / Michael Manring & Cyril Achard -2008-
 世界中を旅(でもあまり日本には来てくれないですね)するベーシスト。今回はフランスのギタリストシリル・アチャードとのギターデュオ。かつてウィンダム・ヒルのレーベルメイト、デビッド・キュリンと同様のコラボをリリースしましたが、今回は相手がシリルにバトンタッチ。

 私はシリルのことははじめて知ったのですが、もの凄いテクニックの持ち主だそうです。そんなギタリストの存在をかぎ分ける能力も持ち合わせているのでしょう(笑)。ただし、ここではそうしたギタリストの凄腕を披露しているわけでもなく、マイケルとの超絶プレイを期待する向きにはちょっと肩すかしかもしれません。ここでは軽め(でも相当のプレイだ)のアコースティックという感じで、ウィンダム・ヒル風のサウンド、『equilibre』の姉妹編といった趣きです。シリルのタイプはアレックス・デ・グラッシ風。(レビュー
HOPE RETURN / Frank Smith -2012-
 ジャケットにマイケルの名前はこそフューチャーされていませんが、ギターのフランク・スミスと二人だけで演奏しているので、マイケルのソロ作品として紹介します。

 性格(音楽)的には、先にリリースされているDavid CullenやCyril Achardのアルバムと同じで、ほぼ互角に戦っているという感じに仕上がり、バンド・マンとしてのマイケルの作品より(ソロがあまり製作されないので)も、こうした性格のアルバムの方が、彼の音楽性を楽しむことができます。なんたって自称「Crazy Bassist!」と声高に叫ぶミュージシャンですから!(レビュー


IN WINTER / Michael Manring & Kevin Kastning -2012-
 今回もMichael Manringのアルバムはデュオ・アルバム。Kevin Kastning なるマイケルに負けず劣らずの変わり種のギタリスト。彼が弾き分けるギターは 36-string Double Contraguitar、30-string Contra-Alto guitar、17-string Hybrid Extended Classical guitar、15-string Extended Classical guitar、17-string Contraguitar、16-string Contraguitar Alto guitar、DKK Bass-Baritone、12-string Extended Baritone Others Strings and Tunings Artist Endorsements。そして昨年はピアノ・ソロをリリースしています。
レビュー

 

 

SMALL MOMENTS / Michael Manring -2020-
 ソロとしては15年ぶりとなるアルバム。ただし、今のところダウンロードのみでのリリースしかアナウンスされていません。CDを望みますねー(笑)

 

 

〜Discography〜
Windham Hill;
UNUSUAL WEATHER(1985)
・SIGN LANGUAGE / MONTREUX(1987)
TOWARD THE CENTER OF THE NIGHT(1989)
・LET THEM SAY / MONTREUX(1989)
・DRASTIC MEASURES (1991)

Other Label;
THONK(1994)
THE BOOK OF FLAME(1998)
・DARK MATTER / Cloud Chamber(1998)
・equilibre / David Cullen Michael Manring (2000)
・THE IDIOT KING / Attention Dificit(2001)
ADDITION BY SUBTRACTION / McGill/Stevens/Manring(2001)
CONTROLLED BY RADAR / McGill/Stevens/Manring(2001)
・SOLILOQUY(2005)
DEMANIA / DeGrassi/Manring/Garsia(2006)
・A PLACE IN TIME / Michael Manring & Cyril Achard(2008)
IN WINTER / Michael Manring & Kevin Kastning(2012)
・SMALL MOMENTS / Michael Manring(2020)
FOXING HOUR/ KoMaGa Trio(2021)

2020年現在、マンリングのディスコグラフィーです。
多数のセッションはウィンダム・ヒルレーベルのみ(冷笑)。

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