ショルティの惑星ほど過小評価されているレコードも珍しいのではないでしょうか。
同時期にレコーディングされているエルガーの交響曲全集や、威風堂々などの評価はやたらと高いのに、どういうわけか、こと惑星に関して、評価が低いようです。
特に70年代は同じ時期にレコーディングされながら、かたやグラミーを受賞しているにもかかわらず、この時期にレコーディングされている「惑星」や「英雄の生涯」が受賞していないのは、ひとえに米国のオーケストラ(つまりシカゴ)じゃないのが理由なんでしょうねぇ。わかりやすいです(笑)。
それから個人的な不満としてひとこと。CDの時代になってから、特にジャケットが変わりがちなクラシックの世界において、このショルティの「惑星」も、買い替えたい(つまりジャケ買い)と思わせるようなオリジナルでのジャケットはリリースされていません。
特に国内盤は、横尾忠則デザインによる神話をモチーフにしたようなジャケットで、飾っておきたくなるようなレコード・ジャケットだったにもかかわらず(しかも発売当時は中にポスターが封入されていた)、CD化に際して、安直に土星のジャケットに差し替えられてしまいました。
また、優秀録音だったデッカの作品だけあって、
モービル・フィディリティからアナログディスクとしてリリースされたジャケットは、これまた安っぽいジャケットではあるのですが、日本盤のアナログよりも、グッと重心を下げた迫力のある音になっています。これがCDで聴くことができたらもっと知名度のあるレコードになっていたのではないでしょうか。こちらはCD化にはなっていません。
個人的にはロンドン・フィルではなく、彼の手兵であるシカゴ響での爆演を期待していたのですが、それは約10年後のジェームズ・レヴァインに譲られました(1989年)。そしてまた、レヴァインも、期待を裏切ることなく(もしかしたら彼がショルティに望んだ姿がこれ?なんて考えると楽しい)誰もが望むような形でシカゴ交響楽団をドライブさせています。
ここでのショルティは、その後、この演奏をきっかけ(?)に行われた1978年のボールトによる演奏とは異なるアプローチでこの組曲を演奏してくれています。というか、レコーディングのアプローチが異なるのでしょう。オーソドックスさは両者とも変わらない(オケ色が強い?)のが面白いところ。特にショルティなんてゴリ押しで自分のカラーを演出していそうですが、彼は英国の作品に対して紳士な態度で臨んでいるような感じです。
ロンドン・フィルの「惑星」は、ここで取り上げたショルティとボールト以外にも多くの指揮者が振っているのですが、
同じ年にレコーディングされた、というだけでファンとしてはいろいろと勘ぐってみたくなってしまいますね(笑)。
レコーディング・データ
ショルティ(1978年2月、Kingsway Hall, Produced by James Mallinson)
ボールト(1978年5月~7月、Kingsway Hall & Abbey Road Studio, Produced by Christopher Bishop)