星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

 惑星の中で金星ほど風景と溶け込んだ姿に惚れ惚れする星はありません。その美しい姿はまさにギリシア神話の女神そのものと言って良いでしょう。昔の人々のセンスの良さが際立った星の輝きです。そんな美しい情景を見事に音楽に詰め込んだのが、英国の作曲家グスタフ・ホルストが作曲した組曲『惑星』の第2曲におかれた「金星:平和をもたらすもの」ではないでしょうか?


夕星よ
光をもたらす暁が 
散らせものを 
そなたはみなつれ戻す 
羊をかえし 
山羊をかえし
母のもとに子をつれかえす

断片95(サッフォー)

 
 


2023年の金星のこよみ
6月4日東方最大離角
7月7日最大光度(-4.5)
8月12日内合
9月19日最大光度(-4.5)
10月24日西方最大離角

*『天文年鑑2023』P137

2023年の金星


2022年の金星のこよみ
1月9日内合
2月13日最大光度(-4.6)
3月20日西方最大離角
10月21日外合

*『天文年鑑2022』P139

2022/02/12。
 昨日未明まで降り続けた雪が、まだあちこちに残っていて、ここまで来られるかなという心配が有りましたが、春の雪は水分を含んでいるから溶けるのも早かったようです。ところどこ凍結はしていましたが無事に到着。前回同様息を呑むような情景が待っていてくれました。明日最大光輝を迎える金星の右下に火星、左下には5日後に太陽から西へ最もはなれる西方最大離角になる水星を従えています。





2022/02/04。
 満月のように輝いている明けの明星。何と金星の輝きが海面にまで及ぶ光景を見るとは思っても見ませんでした。右下の明るい星は火星。





2022/01/30。
 月齢27の月、そして火星と並んだ明けの明星。湖面に奇麗に反射しています。このあと、日の出組がポツリポツリの三脚を並べるようになりました。私は退散…




2021年の金星のこよみ*
3月24日外合
10月30日東方最大離角
12月4日最大光度

*『天文年鑑2021』P139



2021/12/30。
 2022年早々東方最大離角になる水星が、同じく来年早々内合となる金星。夕方の西天に火星をのぞく四つの惑星が並びました。





2021/11/28。
 近所のため池。野鳥(主にカモ)が越冬しにくるので、バードウオッチャーに人気のスポット。ただし、この時間にやってくる人はおらず、こちらの足音に気づいてどこかに移動する鳥たちの羽音や、水面を飛び立つときの音がシャープに音を立てていきます。4年前にも同じようなショットを撮りました(撮影地が同じだしね)が、今回の金星は大きく南に姿を表しているので、南北に長いこの調整池でも、今回は北側から。以前は東側から狙いました。





2021/11/13。
 昨年暮れに木星と土星の接近があった工場地帯での金星。なんか模型のように見えているタンクの質感との対比が面白い。少し離れたところに土星と木星と月齢8.2の月。フレアスタッグの吹き出す音が強風のようになっていた。





2021/10/23。
 毎日の日課として、金星の日没後の方角を景色の中に重ねては季節の進み具合を眺めてきました。いつも見ていた場所になかなか現れないなぁと、秋の日は釣瓶落としを実感していると、彼女はグーッと南に移動していました。





2021/09/20。
 水平線には大島。金星の下には房総半島に向かって突入してくる飛行機。ここは布良港。




2020/04/02~04/05。
 金星がゆっくりとプレアデス星団の中を通過していきました。




2020/02/24(18h36m)。
 印旛沼の西岸にサンセットショアとでも呼べそうな場所があります(いつからだか…)。夕暮れ時にしか行ったことがないので、よくわかりませんが、沼遊覧用の発着場のような雰囲気。バス停のような者も経っているし。ただ、この時間はさすがに誰もおらず、打ち寄せる波がちゃぷんちゃぷんと風に合わせて音を立てているだけです。   日没後、ずいぶん時間が経ってしまったので、息を呑むような色彩の情景には間に合いませんでしたが、宵の明星はひときわ美しく輝いていました。






2017/3/11(18h18m)。

  もう6年も前になってしまいますが、東日本大震災が起きました。当日は職場から家に帰ることができず、翌3/12の夕方の空に上弦前の月齢7.6の月が、この宵の明星のように西天に傾く姿を見ました。あれから時が経つとともに、特に被災地以外の人の記憶は薄れていってしまうのでしょうか? 何ごともなかったかのように、いつもと変わらぬ天界の表情を眺めていると、時として無情に近い冷たさを感じるのはなぜでしょう?
 星空を眺める時にわき起こる感情は、その人の心情に左右されると思うのですが、野尻抱影が『星三百六十五夜』の中で、原爆を体験した女性に捧げた一編の詩篇(ラロッサ)の詩を思い出します。

我々の喜び 我々の嘆きを 星は永久に聞き取りはしない
しかし 星々の輝きは 我々が喜び 嘆きに耐えうるよう
いつも優しい調子を 保っていてくれる

もう、あと2週間ほどで内合。この姿も見納めとなります。




2017/02/16(17h58m)。
 いつもの印旛沼。しんと静まり返った沼面を水鳥が着水する音が響いて驚いてみたり、連なる車の光線を眺めたり。これだけの空だから、手が冷たかった感覚を思い出します。




2017/02/11(17h53m)。
 翌日の市民講座(大和市シリウスホール『星空の芸術』)に備えて、なるべく身近な星空を見てもらいたかったので、スーパー帰りの車を寄せて。そうだ、このカットはかつての『一番星のなる木』のよう。ちなみにこのショットは、2018年2月21日の日比谷の講座『星のおわり』のチラシに使っていただいた別バージョン。




2017/02/03(18h42m)。
 20年ぶりに屋久島へ。宿(民宿ぽんかん)に向かう手前で出迎えてくれたのは、宵の明星と火星。空の色がまるで違う。このあと、カノープスが姿を見せてくれて以降、晴天に恵まれることはありませんでした。




2017/01/07(19h00m)。
 住宅地の中に輝く宵の明星は、まさに飯炊星の何ふさわしい風情をもたらせてくれます。忙しいひとときですが、こうしてホッと西天を眺める時間があることを幸せに感じます。
 この日はまだまだ正月らしさが生活の中に名残をみせる正月7日目の七草粥の日。日没(16h42m)は冬至(16h30m)と比べ早まっているとはいえ、まだまだ冬の装い。火星も明るい。

  日が沈んで、ちょっと気を許していると町の灯りが空に反映されて、美しく群青色にグラデーションが掛かって息を呑むほどに美しく染まってくれるのに、この時間だとすっかり灰色に。しかしカメラのホワイトバランスを蛍光灯モードにすると青っぽく写って、それなりに「星空」をイメージさせてくれるのですが(上の1/9がまさにソレ)、時として太陽モードで写しても、生活感が出てくれるので、それはそれなりに良かったりします。しかも下に町の風景が写り込んでくれるときは。




2016/12/31(18h09m)。
 2016年最後の宵の明星は、月齢1.3の月と仲良く並んでくれました。冬の澄んだ空は都会のシルエットもクッキリと浮かび上がらせています。母の介助の帰りに県境でパチリ。 月が消えるまで頑張って眺めてました。



2016/12/31(18h09m)。
 2016年最後の宵の明星は、月齢1.3の月と仲良く並んでくれました。冬の澄んだ空は都会のシルエットもクッキリと浮かび上がらせています。母の介助の帰りに県境でパチリ。 月が消えるまで頑張って眺めてました。




2012/08/14(04h40m)。
 1989年12月2日以来、26年ぶりとなる「金星食」が、明けの方の東天で起こりました。が、私は寝坊してしまったために月から出て来た直後の金星を見ただけで終わってしまいました。前回の1989年の時も、旅先の遠野で見られると思っていましたが、 食が起きたのが山の向こう側だったため、二回も見逃してしまったことになります(トホホ)。 次回は2063年5月31日。たぶん見ることはないでしょう… 生きてりゃ96歳頃。



2010/12/11(06h21m)。
 もしかしたらクリスマス・ツリーのてっぺんに飾ってあるベツレヘムの星って、これだったんじゃないかなぁ、と思わせる情景に出くわしました。朝っぱらの、誰もいない街路樹の上に輝く。

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