星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)



 『COSMOS』のはアメリカの天文学者カール・セーガン(Carl Sagan, 1933-1997)の著作を元に、映像化された科学番組です。日本でも朝日放送(当時は10chで放送)開局30周年記念で放送されました。初回放送時、私はまだ中学生でしたが、これほど視覚的な天文番組を見たことが無く、そしてなんとなく「むつかしい専門用語」などもわかるようになってきた多感な年頃だったので、毎回の放送を没頭して見ていました。おりしも、高校の地学で授業の教材として先生が視聴してくれたお陰で、日本語版(横内正)の台詞を、音楽に合わせてしゃべれるぐらいまで覚えました。

 2021年に出版されたジム・ベル(Jim Bell, 2011年に米国天文学会から惑星科学に関する啓蒙活動でカール・セーガン・メダルを授与される。現惑星協会会長) の『星間空間の時代THE INTERSTELLAR AGE)』の中で

私自身はカール・セーガンの初期のコスモステレビや書籍・雑誌に影響を受けたので、勝手に弟子だと名乗っている

 と綴っていますが、私もその一人。そして世界中に多くいるのではないでしょうか?

 そんな思い入れのある番組も、放送直後にLD、VHSなどで発売されましたが高嶺の花。レンタル屋に置かれるようになる頃には、番組のアップ・デートが各回の終わりに新規で収録されました(セーガン博士の老けっぷりには驚きました)。それから何年の月日が経ったか覚えていませんが、海外でDVD版が発売されました。その時はまだAmazonも品数が少なく、日本のAmazonでは扱っていませんでした。多少の不安もありましたが、米国のAmazonにて購入。リージョンフリー仕様ということはわかっていましたが、再生してみるまでは不安で不安で仕方が無かったのを思い出します。そして無事視聴可能であることを確認。一刻も早くAmazonにレビューを書かなければ、と書きなぐりました(笑)。日本国内でも問題なく視聴することができます。

  日本語の字幕が入っているので、この番組をもう一度みたい、と思っていたファンにとっては、またとない贈り物となりました。残念なのは横内正氏がセーガン博士の吹き替え版は、未だに製品化されていません。2017年には待望のブルー・レイ仕様でのリリースがありましたが、字幕の一切が無く、せっかく映像がきめ細かになってみやすくなったのに、英語がわからない人にはDVD字幕に戻ってしまいそう(笑)。

 私にとっての『COSMOS』は、まさにバイブルのようなもの。多くの人が魅了されたように、これはただの科学番組ではありませんでした。ここではその番組の魅力に迫ってみようと思います。各エピソードの個人的な印象なんかを紹介していこうと思います。読むに耐えないかもしれませんが、よろしくお付き合いください。なお、各エピソードにて、わかる範囲でB.G.M.についても触れていきます。その中でお薦めのアルバムの紹介もしていきます。 



Come with me!
(それではご一緒に!)





Cosmos Collector's Edition (7pc) (Coll Box)
The Shores of the Cosmic Ocean(宇宙の浜辺で)
One Voice in the Cosmic Fugue(宇宙の音楽)
Harmony of the Worlds(宇宙の調和)
Heaven and Hell(天国と地獄)
Blues for a Red Planet(赤い星のブルース)
Travellers Tales(旅人の物語)
The Backbone of Night(天のかがり火)
Journeys in Space and Time(時間と空間の旅)
The Lives of The Stars(星の誕生と死)
The Edge of Forever(宇宙の地平線)
The Persistence of Memory(未来への手紙)
Encyclopedia Galactica(宇宙人からの電報)
Who Speaks for Earth ?(地球の運命)



 この番組の魅力にとりつかれた方の多くは、下の表で放映された当時の編成をご覧になった方がほとんどでしょう。当時は1時間番組とは言えCMをカットして正味の時間を実測すると、わずか45分未満の番組でした。つまり、DVD版からおよそ10分近くカットされたものが放送されていたことになります。だから視聴していると、懐かしさと「初めて見るシーン」に新鮮さが加わります。

 また、翌年、1981年の再放送の数年後に放送された特別版では(確か夕方放映していたように思う)、大胆にBGMが差し替えられ、当時巷で話題になっていたマーラーの交響曲が多用されました。しかしDVDでは、一部を除き、もどされています。

  1980年の放送の時、番組の冒頭では【音楽;ツトムヤマシタ】というクレジットを目にすることができますが、どこで彼が関わっていたのかわかりません。 日本語版のオープニング(提供のシーン)なのか、それとも、米国オリジナルと日本語版では曲が違うので(少なくともカセットに録音してある、なつかしい横内正氏のナレーションによる当時の番組とDVDの選曲がかなり異なっています)そのあたりなのか、詳細はわかりません。


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放送日(1980)
邦題タイトル
原題
3(月) 宇宙の浜辺で-150億光年への出発-
宇宙の音楽
The Shores of the Cosmic Ocean
One Voice in the Cosmic Fugue
4(火) 宇宙の調和
天国と地獄
Harmony of the Worlds
Heaven and Hell
6(木) 赤い星の神秘
旅人の物語
Blues for a Red Planet
Travellers Tales
7(金) 天のかがり火
時間と空間の旅
The Backbone of Night
Journeys in Space and Time
8(土) 星の誕生と死 The Lives of The Stars
9(日) 宇宙の地平線 The Edge of Forever
10(月) 未来への手紙 The Persistence of Memory
11(火) 宇宙人からの電報 Encyclopedia Galactica
12(水) 地球の運命 Who Speaks for Earth ?
※1981年3月
コスモスQ&A
君たちは宇宙に何を見たか
 
※※   A Dialogue SAGAN - TURNER
A Canversation with
Carl Sagan and Ted Turner
『COSMOS』は、ボイジャー1号が土星へ大接近する時期に合わせてテレビ朝日系列で夜の10時から、最初の4回は2本ずつ以降は1本ずつ放送されました。
※は日本のみの再放送の際、特別放送された日本独自の番組で、視聴者の質問に答えるトーク番組。出演は司会声優のはせさん治(サイボーグ009の006-張々湖-や、一休さんの秀念役だった)と再放送の進行を務めていた中川由美子アナ、ゲストに小尾信彌氏、当時朝日新聞科学部長だった柴田鐵治氏2人と、途中からカール・セーガン役の声を担当した横内正氏。
※※また、二度目のビデオ化(TSUTAYAで借りることができた)では、最終章にCNN名ホスト、テッド・ターナーとのトークが楽しめます。そのビデオでは、本編終了後にup dateをセーガン博士が説明します。ただし、20年近い歳月を感じせずに入られません。




 DVDでは本編でup dateが紹介されますが、CGだった映像がハッブル望遠鏡が捉えた映像などに差し替えられています。
ビデオの時は、セーガン博士がup dateの説明を行い、あれから10年以上の年月が経っていることを、その新しく付け加えられたシーケンスで嫌でも知ることになります。「さすがに年取ったなぁ」なんて。
 今回のDVDでは、まず冒頭で奥様のアン・ドルーヤンが代役を務め、この作品がカールに捧げられたものであると告げています。これは映画『CONTACT』でもエンディングにfor Carlとクレジットされているのと同じ意味合いでしょう。誰もがセーガンの死を惜しんでいるのです。
元セーガン夫人、アン・ドルーヤン(Ann Druyan)
 
 2014年春、かねてから噂のあった「コスモス:時空と宇宙」が放送されることになりました。これはカール・セーガンの続編という位置づけになっていますが、実際はアップデートバージョンに近いかもしれません。というのも、毎回のエピソードで扱っている内容は、前シリーズとほぼ同じであり、番組のいたるところにオマージュ的な映像が隠れているからです。それを探しだし、「あっ、これはあの時のだ」と発見する喜びは、セーガン版を見慣れている人だけに与えられた特権かもしれません。プロデュースにはアン・ドルーヤンが一役買っています。  気になるホスト役は、この番組を子供の頃に見て天文学者にあこがれて、本当に天文学者になってしまったというニール・ドグラース・タイソン(Neil deGrasse Tyson)が務めます。 そして、もう一つ気になるのは音楽。その音楽を担当しているのはアラン・シルヴェストリ。カール・セーガン原作、ロバード・ゼメキス監督、ジョディ・フォスターとマシュー・マコノヒーのコンタクト を手掛けた作曲家です。このあたりは憎い(ファンも納得)演出ですね。また、すでにブルーレイ での発売も開始しています(国内盤は未定)。現在販売されているものには日本語字幕も吹き替えもありません。

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2014年新シリーズのタイトル
(Neil deGrasse Tyson)
1. Standing Up In The Milky Way(銀河に立つ)
2. Some Of The Things That Molecules Do(生命の流れ)
3. When Knowledge Conquered Fear(知識の栄光 )
4. A Sky Full of Ghosts(空にあふれる幻想の世界)
5. Hiding in The Light(光と影)
6. Deeper, Deeper, Deeper Still(より深い世界へ)
7. The Clean Room(クリーンルーム)
8. Sisters of the Sun(太陽の姉妹)
9. The Lost Worlds of Planet Earth(地球という世界)
10. The Electric Boy(電気に魅せられた少年)
11. The Immortals(永遠の命)
12. The World Set Free(解き放たれた世界)
13. Unafraid of the Dark(未知を楽しむ)

 

 今回の新シリーズに合わせて、セーガンがホストの「コスモス」も再放送されますが、日本語タイトルも新訳となってます(なんかほとんど直訳っぽい)。番組内の字幕も新たに施されるのであれば、ぜひ、ちゃんとした日本語訳で行われているかどうか、気になるところです。




2014年オリジナル版再放送分のタイトル
(Carl Sagan)
The Shores of the Cosmic Ocean(宇宙の浜辺で)
One Voice in the Cosmic Fugue(宇宙フーガの旋律)
Harmony of the Worlds(宇宙の調和)
Heaven and Hell(天国と地獄)
Blues for a Red Planet(赤い星のブルース)
Travellers Tales(旅人の物語)
The Backbone of Night(夜空の背骨)
Journeys in Space and Time(時間と空間の旅)
The Lives of The Stars(星の生涯)
The Edge of Forever(永遠の果て)
The Persistence of Memory(記憶の残像)
Encyclopedia Galactica(銀河百科事典)
Who Speaks for Earth ?(地球を代弁する者は?)



 2020年『コスモスーいくつもの世界(Cosmos: Possible Worlds)』が、ナショナルジオグラフィックにて放送されました。これは2014年の続編という扱いで、原作は原書となるアン・ドルーヤン。


2020年続編放送分のタイトル
(Neil deGrasse Tyson)
1. Ladder to the Stars(宇宙の星への足がかり)
2. The Fleeting Grace of the Habitable Zone(ハビタブルゾーンのはかない恩寵)
3. Lost City of Life(失われた都市)
4. Vavilov(バビロフ)
5. The Cosmic Connectome(宇宙のコネクトーム)
6. The Man of a Trillion Worlds(1兆個の世界を持つ男)
7. The Search for Intelligent Life on Earth(地球の知的生命体を探して)
8. The Sacrifice of Cassini(土星探査機カッシーニの犠牲)
9. Magic Without Lies(正真正銘の魔法)
10. A Tale of Two Atoms(2個の原子の物語)
11. Shadows of Forgotten Ancestors(おお無敵の王よ)
12. Seven Wonders of the New World(人新世の成熟期)
13. Coming of Age in the Antropocene(いくつもの世界)


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