ウィンダム・ヒルの掲示板
マイケル・ヘッジス(Michael Hedges)
 1953年12月31日生まれ。ウィリアム・アッカーマンをして「こいつはマジックだ!」と言わしめた彼の常人では考えられないようなテクニックを持って1981年にウィンダム・ヒルよりデビューしました。その1stアルバムのクレジットにもThis was recorded without overdubs...と書かれているとおり、一聴しただけでは一体彼の腕は何本あるのかと疑いたくなってしまうほどのプレイが飛び出してきます。更に驚いてしまうのが彼のプレイを目の前で見ること。ウィルが「こいつはマジックだ!」と、思わず口走ってしまったのもうなずけます。

 幸い私は1986年(昭和女子大)、1989年(箱根彫刻の森美術館)、1991年(新宿ルミネホール)で体験することができた、と言うよりは、来日のたびに彼のプレイを見なければ、後々後悔すると思ったから、来日のニュースには絶えずアンテナを張っていました。


 1997年12月2日、残念なことに自動車事故により他界。彼の死は様々なギタリストに衝撃を与え、彼の死を惜しむクレジットが、それぞれのギタリスト(Pete Townsent, Bonnie Raitt, Steve Vai, Warren Hays)のアルバムの中に刻まれているのを目にすることができます。





BREAKFAST IN THE FIELD -1981-
01. Layover
02. The Happy Couple
03. Eleven Small Roaches
04. The Funky Avocado
05. Baby Toes
06. Breakfast In The Field
07. Two Days Old
08. Peg Leg Speed King
09. The Unexpected Visitor
10. Silent Anticipations
11. Lenono

 ウィンダム・ヒルのギタリストの中ではかなり遅れての登場となりましたが、この一枚でこのレーベルを、ギタリストたちの常識を覆してしまった恐るべき一枚です。看板だったデグラッシもアッカーマンも色あせてしまうほどの強力な個性を持ったギタリスト登場でした。聴きどころはやはり速い曲、ということになるのでしょうが、スローテンポの曲でも驚異的なテクニックで聴くものを圧倒します。
 11曲目に登場する“Lenono”とはジョン・レノンとヨーコ・オノのこと。フレットレス・ベースのマイケル・マンリングがImagineのフレーズを奏で、ジョージ・ウィンストンのピアノとマイケルのギターがサポートしています。エンディングにふさわしい1曲です。ウィリアム・アッカーマンがプロデュースした最初で最後のアルバム。

レビュー





AERIAL BOUNDARIES -1984-
01. Aerial Boundaries
02. Bensusan
03. Rickove's Dream
04. Ragamuffin
05. After The Gold Rush
06. Hot Type
07. Spare Change
08. Menage a Trois
09. The Magic Farmer

 マイケルの2ndアルバムは、ジャズの世界でかなり認められ知名度もグンとアップしました。前作がアッカーマンのプロデュースで、ウィンダム・ヒルという色が濃く反映された音作りになってましたが、このアルバムではスティーヴン・ミラーが加わり、よりスケールが増したようです。

レビュー



SANTABEAR'S FIRST CHRISTMAS -1986-
01. Santabear's First Christmas
02. Ready Or Not
03. The Double Planet
04. Eleven Small Cubs
05. Larry's Instrumental
06. Carol Jean

 ウィンダム・ヒルから子供のためのアルバムとして、映画俳優がナレーションを担当したお話しのレコードがあります。これもそのうちの1枚で、ここでのナレーションは女優のケリー・マクギリス。お話しも非常にかわいらしく、日本盤では大竹しのぶが担当していました(紙芝居ヴァージョンのLDもリリースされました)。
 曲目は“Eleven Small Cubs”が1stアルバムからの曲で、オリジナルが“Roaches”だったのに対して、こちれはお話しに合わせて“Cubs”に変更しているあたりが微笑ましいですね。5はのちにアルバム・タイトルとなってライヴがリリースされました。(レビュー




WATCHING MY LIFE GO BY -1987-
01. Face Yourself
02. I'm Coming Home
03. Woman Of The World
04. Waching My Life Go By
05. I Want You
06. The Streamlined Man
07. Out On The Parkway
08. Holiday
09. All Along The Watch Tower
10. Running Blind

 今でこそウィンダム・ヒルからは、様々なタイプの音楽が紹介されていますが、この当時としては異例のヴォーカルアルバムが登場しました。9のみボブ・ディランのカヴァーで、それ以外はマイケルのオリジナル曲。このアルバムはオープン・エアーという別レーベルの中からのリリースとなり、多用な音楽の口火を切った一枚と言えるかもしれません。




LIVE ON THE DOUBLE PLANET -1987-
01. All Along the Watchtower
02. Because It's There
03. Silent Anticipations
04. Ready or Not
05. Love Bizarre
06. Breakfast in the Field
07. Rikki's Shuffle
08. Woman of the World
09. Double Planet
10. Funky Avocado
11. Come Together
12. Two Days Old

 前作が全曲ヴォーカル入りで驚かされましたが、今回はライヴアルバムでまたまた驚かされました。今までのウィンダム・ヒルの常識を覆さんばかりです。1がボブ・ディラン、5がプリンス、11がビートルズと、ライヴでは常に演奏している曲なので、ファンとしてはようやくアルバムに収録されたという感じです。

レビュー





TAPROTO -1990-
01. The Naked Stalk
02. The Jealous Tunnel / About Face
03. The Jade Stalk
04. Nomad Land
05. Point A
06. Chava's Song
07. Ritual Dance
08. Scenes (On The Road To Shrub 2)
09. The First Cutting
10. Point B
11. Song Of The Spirit Farmer
12. The Rootwitch
13. I Carry Your Heart

 ラストにCSN&Yのグラハム・ナッシュとデビッド・クロスビーがハーモニーヴォーカルとして参加しています。彼のミュージシャンとしての知名度が、ウィンダム・ヒルという一レーベルから脱却し、万人にも浸透していった感があります。彼のオフィシャルページのコンテンツのいくつかは、このアルバムに収録されている曲名から取られています。




THE ROAD TO RETURN -1994-
01. Prelude
02. Road To Return
03. Communicate
04. Sister Soul
05. Guardian's Trust
06. India
07. A Midwinter Night's Dream,
08. Follow Through
09. You Can Have Anything You Want
10. Road Music

 マイケルにとって2作目となるラビット・イヤーの【PRINCESS SCARGO & THE BIRTHDAY PUMPKIN】には、このアルバムから何曲かがアレンジされて収録されています。だんだん私が求めるシンプルな演奏のウィンダム・ヒル色が薄れつつある作品で、個人的にはもっとも聴く頻度の低いアルバムになってしまいました。




ORACLE -1996-
01. The 2nd Law
02. Ignition
03. Baal T'shuvah
04. Dirge
05. Jitterboogie
06. Oracle
07. Gospel
08. Tomorrow Never Knows
09. Theme From Hatari!
10. Aura Muunta
11. Jitterboogie(family version)
12. Sofa No.1
13. When I Was

 ひさびさに原点回帰といった内容で、全編アコースティックギターによる演奏。僕はこんなアルバムを待っていました。8はビートルズ(ジョンの作)のカヴァー。7は先のサントラに別トラックとして収録されています。とにかく、久々のアコギのみのアルバムだったので、今後の動向が楽しみだったのですが、不慮の事故(1997年12月1日)の知らせが入って、これが事実上のラストアルバムになってしまいました。




TOCHED -1999-
01. Torched
02. Spring Buds
03. Fusion Of The Five Elements
04. Promised Land
05. Phoenix Fire
06. Dream Beach
07. Arrowhead
08. Shell Shock Venus
09. Ursa Major
10. Free Swinging Soul
11. Rough Wind In Oklahoma
12. Sapphire
13. Gospel Of Mary/The Holy Flame
14.Java Man
15.Free Swinging Soul

 マイケルの死後、未完成のまま残されたデモ音源にマイケルの愛弟子だったマンリングやデビッド・クロスビーやグラハム・ナッシュ(CSN)などのミュージシャンが集まり完成させた作品。この手法はビートルズの“Free As A Bird”や、クイーンの“MADE IN HEAVEN”、デル・シャノンの“ROCK ON !”と同じです。


1989年8月5日/箱根彫刻の森美術館Open Air Musiam

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