平成11年に出版された本で、遠野物語に関して綴られているので手にした本です。ザシキワラシが「遠野物語」を通してイメージ化されたといった興味深い前書きから始まり、実は東北地方には「この手の」話が数多く残され、後世まで語り継がれているとのこと。




 著者である水野葉舟は、遠野物語の作者である柳田国男に素材提供者となる佐々木鏡石を引き合わせた事で知られています。
「遠野物語」にまつわる事情を仲人である水野の目から見たもうひとつの「遠野物語」といって良いでしょうか。また、個人的に興味のあるところは、英文学者である野尻抱影とも新興があったこと。あえて肩書きを英文学者としましたが、私を星座の世界へ連れて行ってくれる方。そんな星の世界から入った野尻抱影が、ここ遠野物語でつながっているとは面白いと思います。自分の興味の対象が実はつながっていたということで。なお、野尻抱影の『星三百六十五日』のなかで、成田に引っ込んだ葉舟氏とのやり取りがあります。





遠野奇談
佐々木喜善(河出書房/2009)
 遠野といえば、柳田国男の『遠野物語』を指すと言ってもあながち間違いではないかもしれません。私の手元には大和書房から出版された重厚なハードカバーに収められた遠野が全てでした。しかし、それでけでは終わらないのがこの物語。実際に訪れ、その空気を自分の肌で感じることで初めて物語の扉が開ける、そんな思いがします。

 柳田国男はその後、『拾読』などを出版しました。その柳田に遠野物語の説話を誠実に提供した、佐々木喜善の編纂した『遠野奇談』が2009年に出版(上のカバーは左が2009年で右が2020年の新装版)され、また新しい風が吹き込まれたような気がします。
  しかし、柳田に素材を提供した佐々木喜善が、大正時代のあちこちの雑誌に寄稿した文章を、遠野物語研究の第一人者である石井正己氏が編纂したものですが、『遠野物語』の前では色褪せてしまいそうです。 帯には「もう一つの」と書かれていますが、文体が『遠野物語』の拾読と同じ言葉で書かれているので、こぼれ話(実際、話を聞いているにもかかわらず削除しているであろう話もあるはずだし)として読むと、遠野の奥深い世界に踏み込めるような感じがしました。




聴耳草紙
佐々木喜善(ちくま学芸文庫)
 「日本のグリム」と讃えられた佐々木喜善の集大成的な作品。柳田と同じようなことをしているにもかかわらず、ほぼ忘れ去られてしまったような存在は時代のいたずらなのでしょうか?全183話が語られてしますが、遠野物語同様朗読CD(/)も出版され、ファンとしては嬉しい限り。




 佐々木喜善の『老媼夜譚』の現代仮名遣い版。これに本の表紙にもなっているザシキワラシに関する民話集。この出版に合わせて、先の『遠野奇談』も新装版が出版されました。


 

 妖怪趣味が高じて、妖怪学なるジャンルの本を読み始めましたが、やはり最初に手を出しておきたいのが『稲生物怪録』でしょうか~ 2019年に文庫版『稲生物怪録』(東雅夫編/角川ソフィア)が出版され、いよいよ読んでみましたが、もしも自分が主人公(平四郎)と同じ立場だったら、たまらんでしょうけど… 面白い。

  いろいろ調べると絵本にまでなっているということで『平太郎のおばけやしき』も入手。これは絵本とはいっても、デフォルメされた妖怪絵などではなく、古来から伝えられている実際の絵巻を使っての絵本。なので、文庫本では小さな絵も大きくなってみやすくなりました(笑)。ちなみに絵本は14日目まで(怪異は30日間続く)、15日以降は続編『おばけの親玉』として出版予定なんだそうです。

 

 
 
平田篤が説く稲生物怪録/ 荒俣宏(角川書店)
稲生物怪録絵巻集成/ 杉本好伸編(国書刊行会)
稲生物怪録絵/ 京極夏彦訳・東雅夫編(角川ソフィア文庫)
平太郎のおばけやしき/ (ロクリン社)



柳田国男の「遠野物語」遠野物語を知る、考える本語り部

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