柳田國男の「遠野物語」












ザシキワラシの見えるとき/川島秀一
(三弥井書店/1999)
平成11年に出版された本で、遠野物語に関して綴られているので手にした本です。ザシキワラシが「遠野物語」を通してイメージ化されたといった興味深い前書きから始まり、実は東北地方には「この手の」話が数多く残され、後世まで語り継がれているとのこと。


遠野物語の周辺/水野舟/横山茂雄編
(株式会社国書刊行会/2001)
 著者である水野葉舟は、遠野物語の作者である柳田国男に素材提供者となる佐々木鏡石を引き合わせた事で知られています。「遠野物語」にまつわる事情を仲人である水野の目から見たもうひとつの「遠野物語」といって良いでしょうか。


注釈遠野物語
 遠野物語を現代において解釈した解説書。ぼんやりと幻だったような話でさえ、ここでは聞き取りから考証し、場所を割り出し、といった注釈を読み手に提供してくれます。遠野物語に魅せられ読者なら、原本と共に並べておきたい一冊といえるかもしれません。出版元である遠野物語研究所では、のちに出版された『拾遺』の注釈本の出版を告知していますが、まだ出版されていません。
 先の木瀬氏の本の中ではコラム104(2010年8月20日)の中で「2011年1月に出版されている予定」となっていますが、2012年1月現在、まだ未出版。


遠野物語辞典(岩田書院/2003)

 “一人出版社”の異名をとる岩田書院からリリースされた限定500部の遠野物語。

 2011年に東京の八重洲ブックセンターの棚に、奇跡的にひっそりと残っているのを発見!別の本を探していましたが、そちらをやめてこちらを購入。だって500部しか出ていないし。

 出版元の岩田書院は、地方史や民俗学の書籍を数多く出版していますが、これは私にとってはバイブル的一冊になりそうです。原書である『遠野物語』から外へ出ることのない事典なので、更に深みにはまっていきそうです。



 遠野物語が完成してゆく過程や、遠野物語が民話のふるさとと呼ばれるようになっていく過程などを、過去の新聞の広告などを掲載して解説してくれます。

100年目の「遠野物語」119のはなし/木瀬公二
(有限会社荒蝦夷)
 遠野を訪れたのが1989年と1999年。どちらも遠野にとって節目とは縁もゆかりもない時期だったから、この本を読んで100年目の遠野が盛大に盛り上がっていたとは思いもしませんでした。
 1999年の再訪した時には、藁葺きが鉄の屋根に変わっていたりと、部外者にとって寂しい変化の兆候があちこちに見受けられたものでしたが、木瀬氏の新聞連載されたコラムを読んでいると、違った活気が遠野を、遠野に住む人々の間に吹き出したようで、久し振りにまた行きたくなりました。当然、ザシキワラシやカッパに会いにね。

 また、ここに収められている119のうち、ザシキワラシ(一〜九)の話や、馬の魂が抜けて家に当たった音(ヒサさんの馬)など、100年前の遠野が変わらずに人々の生活の中に息づいている様子が克明に記されていると感じました。



遠野/物語考/(有限会社荒蝦夷


遠野物語の原風景/(有限会社荒蝦夷
 1978年に新人物往来社から出版された『聞き書き遠野物語』が、1994年に筑摩書房から新装される際に『遠野物語の原風景』と改題されました。

 私がこの本を知ったのは、先の『100年目の〜』の中で2010年9月12日のコラムに復刊したと紹介されていたおかげです。



遠野昨日物語/浦田穂一著(河出書房/2009)
 1989年と1999年の二回、遠野を訪れ、気に入った風景や、遠野物語を思わせる風景にカメラを向けてシャッターを切りました。わずか二回、たった5日間の滞在で遠野の全てを見ることができるわけではなく、またその魅力の全てを肌で感じ取ってきたわけではありません。私が見たものは、ほんの僅かな表情です。そしてまた、何度訪れたところで、見ることのできない昔の遠野の原風景。たとえば大和書房から出版された遠野物語の巻頭で見ることのできる当時の遠野。そうした風景は、もう写真集で見ることしかできません。そんな欲求を満たしてくれる写真集が、2009年に出版されました。偶然にも、私が遠野を訪れた10年という間隔を思い起こさせてくれるかのように、最後に遠野を訪れてから再び10年後に出版されたのです。(まー、勝手に思っているだけですが)

 この写真集は、遠野に住む浦田穂一氏(1933-2004)が私が生まれる1年前から遠野に住み、シャッターを切り続けた集大成です。ページをめくる度に、ある種のゾクゾク感を覚えました。私も見た風景(たとえばデンデラ野)も多く収録されているので、時を超え、著者のファインダーを通して、当時の遠野に入り込めるような気がします。



注釈遠野物語拾遺

遠野物語研究所の出版情報を待ちましょう。

 

と楽しみにしていたのですが、1986年に発足した研究所も、会員の高齢化で継続することができず、2014年3月31日をもって解散となりました。今後は遠野文化研究センターが中心となって継承していくそうです。