星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

20時南中:5月28日

 都会に近くなくても近頃の星空では、春霞のかかる宵の時期に、この星座が目にとまることはほとんどなくなってしまいました。それは「霞」だけのせいでは無いのかもしれません。
 しかし、ひとたび郊外に出てみると、しし座はデネボラの東、直角三角形を形作る長い辺の近く、あるいはりょうけん座のすぐ南と言った方が見つけ易いかもしれませんが、なんとなく雲のようなかたまりを目にすることができます。

 郊外に出られれば、それほど苦労して見つけ出す存在ではなく、ぼんやりと星空を眺めていると、晴れ渡っているはずの星空にひとかたまりの雲のような姿が気になって仕方ない、という感じになります。そこで双眼鏡を向けたり、目をそらし加減にして見てみると、そこにはひとかたまりの星の群がアルファベットのYという字を形作っていることが分かります。

  この星の群はMel.111という散開星団で、40個ほどの星が群れている姿なのです。

 星座になった星々を結びつけたところで、星座の形が浮かび上がるわけではなく、この散開星団自体をベレニケの琥珀色をした髪の毛のイメージとして捉えた方が良いでしょう。

 歴史は古く、もともとは“ベレニケの髪の毛座”と呼ばれ、プトレマイオスの48の古代星座はより以前のヒッパルコスの中に存在していました。にもかかわらずプトレマイオスはこの星座を外してしまったのです。それが1602年になってティコ・ブラーエが再びかみのけ座として独立させたため、一般的には新興星座として分類されてしまったという(今風にいえば)「残念な」歴史を持っているのかもしれません。


かみのけ座の伝説…





2023年2月22日 00h03m
Canon EOS 6D



2023年2月22日 00h09m
明るい3つの星に守られて
アルクトゥルス(左下:麦星)、デネボラ(右下:しし座β星)、コル・カロリ(上中央:りょうけん座α星)

Canon EOS 6D


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