|星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)|
-2023/07/17 千葉県南房総市-
(わし座)
20時南中:9月10日
(カーソルをのせると星座線、星名が表示されます)
この星座が天空高く舞い上がるのは夏も後半になってのことになりますが、日本では七夕の彦星としておなじみのアルタイルが、中心に輝いているので、ヴェガ同様初夏から見頃といえるのかもしれません。アルタイルまでの距離は16.8光年。
1等星アルタイルの名は「飛ぶ鷲」というアラビア語から来ています。その姿は紀元前1200年頃、すでにバビロニアでは天翔る鳥の姿として描かれていました。 ギリシア語で、わし座全体を“ゼウスの鳥”という名前で表現されているように、神話では大神ゼウスが化けた鷲の姿として描かれています。別の神話ではプロメテウスを苦しめた鷲であるともいわれています。 フラムスティードなどの古星図を眺めてみると、鷲が人間を掴んで羽ばたく姿に描かれています。これはギリシア神話の一部を切り取ったシーンです。 |
西の空に夏の大三角
(2015年9月13日 00h50m)
あまり知られていませんが、わし座のアルタイルに向けて1983年8月15日(この年の旧暦七夕)に、森本雅樹、平林久の二人の天文学者による日本独自のSETIを行なっていました。もしもアルタイルに知的生命が存在するなら、折り返し返事が届くのではないかという期待を込めて。 アルタイルまでの距離は約16光年とい観測されているので「すぐに」返信されれば光速の理論上32年後の2015年ぐらいには届くのでは? と考えられていました。その後、忘れ去られてしまったのか、誰も話題にすることなくゆっくりと時は過ぎていきました。 物事をいい方に考えられるなら、受け取った(?)アルタイル星系の地球外知的生命が、元の場所に向けて返事を送信してくれたとしても、その元の場所に地球かいないはずです。つまりアルタイルからのメッセージは地球に向けて送信されたにもかかわらず、実は地球の元いた場所を、受取手がいない空間を通過してしまっているのでしょう。メッセージが送信された瞬間に届くなら話しは別ですが。 宇宙に存在するすべての星は固有運動を行なっているそうで(1718年エドモンド・ハレーが発見)、返信する技術を持っているぐらいなら、そのぐらいのことは承知のことかもしれません。だからメッセージを受け取ったアルタイル星系の地球外知的生命がその方向を割り出してくれているのではないでしょうか? そう考えると、その逆の考え方もなりたってしまいます。つまり動いている物体に対して何かを投げることを考えてみれば、その理論はすぐに理解できそうです。もっと難しいのはお互いに動いているということ、そして距離が遠いこと… つまり、地球から送信されたメッセージが、アルタイルの進行方向へ電波を送信していることも重要な要素でしょう。しかも持ち時間は30分(アメリカから電波望遠鏡で送信された時間はわずか30分だけだったそうです)。アルタイルの固有運動の速度、太陽系の速度、地球の公転速度など、さまざまな要素が絡み合ってきそうです。もっと単純に考えて、まだ来ないなぁと考えるのがシンプルで良さそうです(笑)。 |
わし座に関連する芸術作品を探すなら、本人(笑)の固有名詞がないので、お決まりで、まずはギリシア神話に求めてみましょう。 |
ゼウスといえば、美しい物はなんでも自分の手元に置いておきたい性格の持ち主として描かれていますが、たぐいまれな美しさを備え、人間の中では最も美しいとまで称賛された青年ガニュメーデスを、大神ゼウスが見過ごすはずはありません。これまでゼウスの(ネクタル)お酌を勤めていた青春の女神ヘーベーや、ヘルメスの代わりの取り役を務めさせるためゼウスの象徴とされる大鷲の姿になってまで(つまり連れて行ったのはゼウスであることをわざと悟らせるため)、彼を誘拐してきました。配置的にも天の川の中にいることや、この道(ミルキーウェイ)はオリュンポスに通じる神の道であることも見事な星座ではないでしょうか? ただし、本人も知ってのことでしょうが、この乳は正妻へーラの胸元から迸り出たものなので、奥様はすでにご存知のはず(笑)。 |
文学『縛られたプロメーテウス』アイスキュロス(B.C.525-B.C.456)この作品に「解放されたプロメーテウス」「火を運ぶプロメーテウス」と併せて『プロメーテウス三部作』を構成しています。 |
絵画『縛られたプロメテウス』(ルーベンス/スナイデルス)他多数 絵画『誘拐されるガニュメーデス』(レンブラント、コレッジョ)とか『…の略奪』とか他多数 |
音楽『プロメーテウスの創造物 Op.43』(ベートーヴェン)、『交響詩 プロメテウス』(リスト)、『交響曲第5番 プロメテウス 火の詩』(スクリャービン)、『プロメテオ』(ノーノ)、『プロメテウス』『ガニュメーデス』(ゲーテ作詞、シューベルト)プロメテウスが題材のページへ |
|
||
1992年5月24日、ベルリン・フィルのの定期演奏会で、プロメテウスに基づく4人の作曲家の作品が上演されました。CDだとわかりませんが、映像に収録されたライヴ盤では、スクリャービンの「プロメテ - 火の詩」にマルタ・アルゲリッチが参加。そして、スコアに指示のある色光の照明を実践した珍しい演出を見ることができます。 |