特に女声ヴォーカルを意識して聴くようになったのは、バーバラ・ボニーの1stアルバムです。そこで取り上げられていたのはヴォルフとリヒャルト・シュトラウスのリーダー作品。ボニーのソロ・リサイタルにも足を運びました(新宿オペラシティ)。その後、女声ヴォーカルを求めるようになった動機はいたって単純で、「美しい女声の声は美しい」という不純なモノ。ただし、ジャケ買いやオペラ物には手を出さないようにしています。
ヴォルフ&Rシュトラウス歌曲集
 女声ヴォーカル(特にソプラノ)に最初に興味を持ったのが、このボニーのデビューアルバムでした。同時にアンネ・ゾフィー・フォン・オッターのアルバムも購入。なんとなくジャケットの体裁が似ていたという、いたって単純な動機ではありましたが、共通はヴォルフでしょうか。オッターの方はマーラーを歌っているし、そのマーラーと仲の良かったリヒャルト・シュトラウスをボニーは歌っているしでセットで買ったような気がします。
 現在はこのジャケット版(国内盤)は廃盤のようで、最近の表情によるジャケットに差し替わっています。
モーツァルト歌曲集

 ボニーのアルバムは何枚か持っていますが、その中で唯一好きなジャケットがこのモーツァルト。あとは・・・

 素が美しい女性なのに、な〜んか、こう、どぎついお化粧を施して、妙な仕草して。きっとアートディレクターが悪いのであろう(と思うようにしています) このアルバムも、レーベルは変わっていますが(グラモフォンからテラーク)、伴奏は大ベテランのジェフリー・パーソンズ。このほかにもメンデルスゾーンなどと共演してます。

出会い
 女声ヴォーカル(特にソプラノ・・・)によるデュエットの絡みが好きで、ヘンデルのデュエットアルバムを聴いてからいろいろ探して聴いていました。そんな中、もっともお気に入りのボニーが、アルトのアンゲリカ・キルヒシュラーガーと共演。もう、ゾクゾクしながら聞いてます。やはり、もっとも聴く率の高いアルバム。 この二人は小澤征爾の『ミサ曲 ロ短調』(2000年松本)でも共演し美しいハーモニーを聴かせてくれました。
 ボニーが参加しているアルバムであれば、なるべく(オペラ以外)聴くようにしていますが、オペラではフンパーティングの『ヘンゼルとグレーテル』では、フォン・オッターとのデュオが楽しめます。ガーディナーとの『マタイ受難曲』、「ソルヴェイグの歌」目当てにグリーグの『ペールギュント』、クルト・マズアとのメンデルスゾーンの交響曲第2番、シャイーとマーラーの交響曲第4番と『子供の不思議な角笛』あたりが良く聴くアルバムです。
 当時のボニー(1990年頃)は、過小評価どころか、なんかぼろくそに言われていました。線の細さがどうのこうのと。私にとってはそんなことどうでも良く、かえってそれがボニーの良さだと思って耳を傾けていました。「がんばれボニ〜」みたいな。それがいつの間にか、あれよあれよという間に手の裏をひっくり返したかのように絶賛されるようになりました。 


ヴォルフ&マーラー歌曲集
 ボニーのソロと併せて冒険で購入しましたが、当たりの一枚でした。以後、オッターの安定感に外れはなく、アルトを代表するソリストになりました。
1192年製のフォルテピアノを伴奏に、シュポアの曲では1722年製のストラディヴァリウスと共にオッターの声を楽しめます。また、私にとって嬉しい発見だったのは、マイアベーアの「子供たちの祈り」におけるソプラノ1、アルト2という三声のハーモニーを楽しめた事でした。わずか2分という短い曲でしたが、こういう曲が聴けただけでも心が癒やされるようです。
 グラモフォンが大プッシュした4人(男声2、女声2)のうちの一人で、バーバラ・ボニーと同時期にソロ・デビューしました。共通はヴォルフ。声もアルトだし、その風格といいオッターの方が姉御的でしょうか(笑)。二人の共演は結構多く、バッハやガーディナーとのバッハ『マタイ受難曲』モーツァルトの『レクイエム』、テイトとのフンパーディンクの『ヘンゼルとグレーテル』では、イメージ通り兄と妹を演じています。ここ数年では、もっとも安定のある歌唱表現を見せてくれるので、あちこちでも引っ張りだこのようです。面白いのはボニーとオッターの曲目が結構重なることでしょうか?


 ハイドンイヤーの2009年、「おおっ、これは!」と思わず手を出してしまったのがこのアルバム。正直にいいますと第一印象は清楚な感じが漂う、このアルバムの主人公であるヌリア・リアルのポートレイト。ソプラノとはいえ、もっと音域の高いコロラトゥーラ・ソプラで、容姿も声も透明感のある瑞々しい歌声にうっとりしてしまいました。購入して大正解!と膝を叩きました(実際叩いていないけど)。 

 他にも手を出した理由として、やはりハイドンが好きと言うこともあったのと、ヌリアともう一人メゾ・ソプラノが参加していて、女声デュエットが好きな私としては、てっきりデュエットしているのかと思っていたら、これは予想が外れ、それぞれソロで歌っています(ソプラノ9、メゾ4)。ちょっとがっかり。 


 バックを務めるオルフェオ・バロック・オーケストラは名前の通り、バロックを連想させるキビキビとした明るい音色で、というのも通奏低音にチェンバロが入っています。バロックから古典期の橋渡し、ともいわれるハイドンの音楽性を見事に反影した演奏です。いいです、これ。 

 それにしても「これがハイドン?」と思ってしまう曲ばかりが収録されていますが、それもそのはず、どうもこのアルバムはハイドンが他の作曲家のオペラの追加挿入アリアとして作曲したものだそうです(どういうことかわかりませんが、他人が作曲したオペラに自作のアリアを突っ込んでいるということ?)。
 しかし実際はハイドンと長く付き合っていたエステルハージ家お抱えのソプラノ歌手ルイジャ・ポルツェッリのためにハイドンが作曲した曲だとか。不倫相手だそうです。音楽の授業ではそんなこと勉強していないから、「交響曲の父」とか「パパハイドン」などと表面的なエピソードしかしるよしがないので、意外な一面をかいま見たと言う感じです。ハイドンは音楽史上でも一二を争う悪妻を娶ったことで知られているそうで、その反動がこの楽しげな曲調に表れてしまったのでしょうか。 

 まあ、ハイドンの悪妻に悩む心中をまったく感じさせない曲調はまことにすばらしく、何度聴いても疲れません、飽きません。さすがはハイドン。でもそう思わせてくれるのは、時々小鳥がさえずるような透明感のあるヌリア・リアルの歌声でしょう。オケとの絡みも、特にフルートやオーボエ、リコーダーでは森や草原で動物たちと語りあうような少女か、ギリシア神話に登場する女神に使える侍女が牧場で歌い踊ってでもいるような牧歌的、田園的な情景が浮かんで来ます。



我が母の教え給いし歌
 イエロー・レーベルのジャケットも、最近ではロゴが小さくなってジャケットが一枚の写真的なレイアウトになっていますが、ポートレイト系では一番スッキリしていていいですね。コジェナーのアルバムも、20年前に購入したボニーやオッターのジャケット同様、一緒に並べていても違和感がありません。
マダガスカル島民の歌
 声楽をピアノ伴奏ではなく、室内楽的な伴奏の曲ってあるのかなぁ、と探していたときに出会った一枚です。一番のお目当てはレスピーギ(イタリア語)でしたが、他にショスタコービッチ(ロシア語)、ブリテン(英語)、ラヴェル(フランス語)、シェルホフ(コジェナーと同じチェコ人ですがドイツ語)というように、彼女の母国であるチェコ語以外の言葉による歌を披露してくれています。すごいですね。神様は何物を与えたのでしょうか?

こういうジャケットはあまり好きじゃないです(笑)

クリスマス・ミサ
 コジェナーのアルバムを最初に購入したのが、同郷の作曲家リダの「クリスマス・ミサ」。リリースは2009年ですが、レコーディングは1998年です。なんでこんなに時間が掛かったのか?当時はまだ今ほど注目されていなかったのかもしれませんが、ミサには合唱、独唱4人、そしてカップリングされていた「牧歌」でソロを披露してくれています。その歌唱が澄み切った空気を感じさせてくれたので、今ではお気に入りの独唱者として注目しています。
パーリデとエーレナ
 冒頭ではオペラには手を出さない、と書きましたが、これだけは別(笑)。というのもジャケットにドーンとコジェナーが映し出されているとおり、全篇でコジェナーの声が楽しめるからです。しかもマクリーシュは、本来はカウンターテナーのパートであるアルトをコジェナーに託し、他3人のソリストも女声なので、私にとってはドビュッシー同様、至福の一枚なのであります。
ENCHANTMENT
 コジェナーのベスト盤で、クラシックでもこういうコトするのか、と思ったアルバム未収録(お国モノのドヴォルザーク「草刈りの女」)や、彼女の魅力を詰め込んだようなPVも入っています。ただし、私的にはベストは好きではないことや、ヴォーカルを楽しむのはピアノ伴奏だと思っているので、あまり好きではありません。ヴォーカルモノを探す場合は、まずピアノ伴奏であることを確認してから手を出しています。オケだと声がかき消されてしまったり、録音のバランスが良くないと、楽器の一部となって聞こえてくるからです。

しかし、このジャケは最高ですね(笑)

 コジェナーは、バロックモノにも参加していることもあって、室内オーケストラと美声が解け合うハーモニーを堪能できて個人的には非常に嬉しいです。マクリーシュの「マタイ受難曲」や、ゲーベルとの「バッハ・ファミリー」、クイケンとの「カンタータ集」など。

 サイモン・ラトル夫人、ことマグダレナ・コジェナー(雑誌にはスーパーカップルと表現されていましたが、ほっといてくれっ、て感じですね)。