エリック・サティと言えば「家具の音楽」。こんなエピソードがあります。 《皆さまは音楽に気をとられず、あたかも音楽などは存在しないかのように、 休憩時を過ごしていただきたいと思います。この音楽は、個人的な会話とか、飾り絵とか、皆さまの中でかけておられる方もあれば、かけておられない方もある ロビーの椅子などと同じ程度の役割しか果たしていないのですから》 ところが、サティの意図に反して観客は興味をそそられ、音楽が始まるとしーんと静まりかえってしまったのです。演奏者たちはあちこちに配置され、〈ミニヨン〉〈死の舞踏〉の主題がサティ自身の音楽にまぜこぜに用いられている短い曲を幾度も繰り返し演奏しました。 |
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インマゼールのもとでラヴェルのピアノ協奏曲でソリストを務めているクレール・シュバルベが、ラヴぇエルのレコーディングの時と同じエラールを使ってサティのアルバムを録音してくれました。すでにリリースされている楽器と比べると20世紀に入ってから制作された、わりあい新しめのピアノ、と言えるかもしれません(100年以上経ってはいますが!)。
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『VISIONS』というタイトルが付けられたアルバム。1875年製のピアノで演奏され、1曲だけソプラノが歌っています。歌い手には伴奏としてのピアノと考えると、結構きついのでしょうか。ラスリーや、インマゼールはドビュッシーのメロディを取り上げていますが、歌手に対して、そんなコメントを寄せていたような気がします。 |
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邦題が『うつろな空想』と名づけられ、解説には細野晴臣氏がコメントを寄せています。そうした音楽ファンをターゲットにしているのでしょうか。曲目がバラバラで20曲。コンサートを意識しているのか… ちょっとこういう配列は苦手。しかし1870年製作のプレイエルには惹かれます。解説に細野晴臣が意外。 |
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GLOSSAというレーベルから1998年にリリースされていたアルバムで、サティを初めて古楽で聴くことができました。今まではチッコリーニの現代ピアノの音に慣れていたので、この古風で、まろやかな感じのサティは非常に新鮮でした。しかも演奏しているピアノがサティ生前に作られたピアノ、今まで聴いてきたサティの中では最も古いピアノを使っています。しかし、柴野さつきさんのアルバムのように、組曲的な曲がバラバラに配置されているのはやっぱり苦手。 |
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鬼才と呼ばれるアレクセイ・リュビモフが「星の息子」をレコーディングしました。これまでに、この曲だけが取り上げられたことは非常にまれで、先の柴野さつきさんが(現代ピアノで)取り上げている一例ぐらいでしょうか?そんな貴重な楽曲を、1899年製のベヒシュタインで演奏しているのですから、非常に興味深いものです(2011年のドビュッシーのレコーディングでも、このレコーディングと同じ1899年製ベヒシュタインを奏しています)。 |
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生誕150周年となる2016年からレコーディングが開始されたソロ作品全曲シリーズの第一弾。1890年製のエラールが選ばれ、SACDというフォーマットでリリースされます。もう私にとっては一石二鳥のような企画!第二弾以降も同じピアノが使われるのかどうか気になるところ…(同じピアノでした!) |
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無事に届けられた第2集。「無事に」という感想は、1890年製のエラールで、ということ(笑) 。個人的に一番聴きたかった?「天国の英雄的な門」への前奏曲が早々に聴けて嬉しい。 |
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今回届けられた第3集は、なんと「苦痛、嫌がらせ、自尊心を傷つけるもの」等と言った意味を持つという名の1曲のみ。楽譜には1分程度の音符が綴られているだけの短い音楽ですが、そこにはサティらしいユーモア(?)で840回繰り返す指示が書かれている曲。このCDには収録時間ギリギリまで録音してくれていますが、1順だけレコーディングしてあとはループさせたわけではないので、ピアニストに撮ってはサティのもくろみ通り苦痛だったのではないでしょうか? |
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平均律ではなく「プリンス」というピタゴリア音律(←ピタゴラス?)とミーントーンがブレンドされた調律法をとったということ。微妙なピッチの綾が、ドビュッシーをして「今世紀に迷い込んだ中世の優しい音楽家」と言わしめたサティの音楽が持つ特別な雰囲気を自然に引き出すことに成功(メーカーの解説)。また、「ACOUSTIC REVIVE」レーベルの高音質録音でサティの細部にまでこだわったようです。録音場所がオランダのドープスヘジンデ教会というも効果があったのかもしれません。 |
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2016年に出版されたサラベール新版を用いて録音され、フランツ・リストの娘で、リヒャルト・ワーグナーの2番目の奥さんであるコジマ・ワーグナー(1877-1930)所有の1881年製エラール(model55613)を使用している興味深い全集録音が開始されました。
コジマ・ワーグナー所有という楽器を用いるという発想はどこから来たんでしょうか? |
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2016年に出版されたサラベール新版を用いて録音され、フランツ・リストの娘で、リヒャルト・ワーグナーの2番目の奥さんであるコジマ・ワーグナー(1877-1930)所有の1881年製エラール(model55613)を使用している興味深い全集録音が開始されました。
コジマ・ワーグナー所有という楽器を用いるという発想はどこから来たんでしょうか? |
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2016年に出版されたサラベール新版を用いた全集の第3弾は1892年から1897年に書かれた作品が収録されています。サティの作品は「なんだそりゃ?」という曲名があったりして、眺めているだけでも楽しめるのですが、このシリーズでは初録音なども多く聴きどころ満載です。 |
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どういうわけか、第4集目に来てピアノが変わってしまいました。それでもピリオド楽器ですが、1905年製のエラール(model90703)に変更されてのレコーディングです。収録作は1897年から 1906年に掛けての作品です。また、 裏ジャケットのアーティストポートレイトが、オジー・オズボーン(笑)から、好青年みたいなポートレイトに差し替わっていました。 |
サティとは作風は異なりますが
イタリアのロッシーニの『老いの過ち』も
サティに負けず劣らずヘンテコなタイトルの曲集を残しています。
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