ウィンダム・ヒルの掲示板

Photo by Toshiharu Minagawa.

 

WH-1069
OUT OF THE FRAME / Philip Aaberg
Produced by Dawn Atkinson and Philip Aaberg.
All composed by Philip Aaberg. except where noted.

01. Walking Through Walls
02. Out Of The Frame
03. Nevertheless, Hello
04. Swoop
05. Call and Responses
06. Elegy
07. Before Barbed Wire
08. Words Over Water
09. Full Court Pickup
10. Surround
11. Blue Horses
12. The Wedding

Produced by Dawn Atkinson and
Philippe Aaberg.

Windham Hill Records, 1988


♪    ♪    ♪    ♪    ♪    ♪

01. Walking Through Walls
Philip Aaberg ; Piano
Michel Hedges ; Guitar / Brian MacLeod ; Drums / Kenneth Nash ; Shaker

02. Out Of The Frame
Philip Aaberg; Piano

03. Nevertheless, Hello
Philip Aaberg ; Piano / David Abel ; Violin, Viola

04. Swoop
Philip Aaberg; Piano

05. Call and Responses
Philip Aaberg ; Piano
Barbara Higbie ; Voice / Kenneth Nash ; Percussion

06. Elegy (for Ina)
Philip Aaberg; Piano

07. Before Barbed Wire
Philip Aaberg ; Piano
Mike Marshall : Mandolin, Guitar

08. Words Over Water
Philip Aaberg; Piano

09. Full Court Pickup
Philip Aaberg ; Piano
Darol Anger ; Violin / Kenneth Nash ; Percussion

10. Surround
Philip Aaberg; Piano

11. Blue Horses
Philip Aaberg; Piano

12. The Wedding(Abdullah Ibrahim)
Philip Aaberg; Piano



 私が、このアルバムを入手できたのは最近の話で、かつて箱根彫刻の森美術館の、山霧煙る夕暮れのひと時に奏でられた“The Wedding”のメロディが、いつまでも、その時の情景とメロディが余韻として残っています。

 しかし、ベストアルバムなどに入っていたこともあってアルバムを手にすることはありませんでした。アーバーグがウィンダム・ヒルを離れ、自身のレーベルSweetgrassにて購入したのですが、すでに廃盤となっており、購入時に「プロモーション用のコピー盤(つまりCD-R)なら送れるがどうする?」といった回答があり、「ジャケットだのなんだのがちゃんとしていれば問題ありません」と、返事を返すと1週間でアルバムが届きました。
 アーバーグにとって、ウィンダム・ヒルからの2nd(植村直己物語を除く)であるにもかかわらず、送られてきたCDは新しいレーベルマークの着いた盤でした。つくづく、早いうちに買っておけばよかったと思います。

 さて、1984年の【HIGH PLAINS】に続くアルバムとして、アーバーグにとってウィンダム・ヒルでのソロ第二段となるこのアルバムでは、1stでみせたピアノ・ソロだけではなく、アンサンブル仕上げとなりました(私がリリース直後に手を出さなかったのは、それも理由のひとつです)。

 最初のアルバムや、クリスマスもの、サントラでの楽曲がすばらしかったので、このアルバムがリリースされると言う情報を知ったときは、非常に期待していたのですが、先にも書いたように「ピアノソロ」を期待してしまったために、“The Wedding”が収録されているにもかかわらず見送ってしまったのです。しかし、今になって、このアルバムを聴くにあたり、そんな考えは間違っていたということを思い知らされました。

 このアルバムにはレーベルメイトのマイケル・ヘッジス、バーバラ・ヒグビー、そしてダロール・アンガー、マイク・マーシャルらがゲスト参加しています。そのアンサンブルの曲では、アメリカに古くから伝わるトラディショナルなリズムを体感できる曲が多く(その点、1stとは異なり、それがアルバムのアクセントになっています)、ピアノソロで見せるタッチは、『HIGH PLAINS』の延長にあり、アメリカの広大な大地を感じさせる大らかな響きが印象的で、ラストに収録された“The Wedding”が、その響きの中に風景を覗かせてくれるようです。

 アルバムタイトル曲“Out Of The Frame”や、“Swoop”、“Full Court Pickup”などの、お得意のブルースで聴かせるプレイや、メロディアスなピアノソロに止まらない、バラエティーにとんだ曲作りに、ジョージ・ウィンストンが「影響を受けているピアニスト兼作曲家」として敬意をあらわしているのではないでしょうか。

 マイケル・ヘッジス参加の曲(Walking Through Walls)では、フィルの印象的なメロディにさりげなくギターの音を添えているといった感じで、控えめなのがうらめしく、逆にバーバラ・ヒグビー(Call and Responses)は透き通ったヴォイスに始まり、そのままポップスチューンとして展開しそうな勢いがありますが、異なる曲調が交差し、アルバム中、最もユニークな1曲に仕上げています。デビッド・アベルがヴァイオリンとヴィオラの二挺持ち替えている曲(Nevertheless, Hello)に繰り広げられる幽玄な世界は、ドビュッシーやラヴェルらのヴァイオリン・ソナタなどを思い浮かべてしまいそうです。



〜Discography〜
HIGH PLAINS (1985)
SHAPE OF THE LAND(1986)
OUT OF THE FRAME(1988)
UPRIGHT(1990)
MERIDIAN(1991)
WILD CHRISTMAS(1993)
CINEMA(1994)
FIELD NOTES(2000)
CHRISTMAS(2002)
THE BIG OPEN(2004)
BLUE WEST(2005)


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