ウィンダム・ヒルの掲示板


WH-1055
THE SHAPE OF THE LAND / Windham Hill Artists
Produced by William Ackerman

01.Because It's There
02.Theme for Naomi Uemura
03.Downhill
04.When It Snows
05.The Shape of the Land
06.Kimiko
07.Processional
08.Come Back
09.Ice Bear
10.Aurora/Nevermore
11.Requiem for a Mountain Climber

Windham Hill Records, 1986

Windham Hill Music from the film "The Story of Naomi Uemura"



西田敏行主演、音楽はウィンダム・ヒル。監督は佐藤純弥(キーハンター、人間の証明、野生の証明、男たちの大和 他)

冒険とは、生きて帰ってくること


 植村公子役の賠償千恵子が記者会見の席で植村直己に対するコメントが、いつまでも記憶に残っている映画。植村がマッキンリーで消息を絶ったのが1984年2月13日。映画でも飛行機と交信する姿が上空から描かれていましたが、胸に詰まるシーンです。俳優人の豪華さもさることながら、サントラに参加しているウィンダム・ヒル・アーティストたちも、今思えば豪華なメンツが集結しています。今回は命日が今月ということで、彼の冒険魂を称え、レーベルにとって2作目となるサウンドトラック『THE SHARP OF THE LAND(植村直己物語)』を紹介します。

 映画が公開される前に、このレーベルアーティストたちのレコーディングドキュメンタリーがテレビ(毎日放送なのでTBS)で放映されました。私はそれを見逃してしまった(学校から帰ってきた直後、最後のクレジット部分だけ見ることが出来た)のですが、映画のシーンを見ながらマイケルや、フィリップたちが曲を付けていくところを、ほんの少し、見ることが出来ました。そこにはフィルム(スクリーン、もしくはモニターに映し出された映像を見ながら)マイケル・ヘッジスがハープギターを奏でる姿が映っていました。

 当時は日本でもジョージ・ウィンストンに匹敵するほどレーベル自体に人気があって、他にも軽井沢湖畔で行われたライヴ(ウィリアム・アッカーマン、アレックス・デグラッシ、リズ・ストーリー、チャック・グリーンバーグ共演の第6回ウィンダム・ヒル・イン・オリエント)など放送されたりしていました。

 ウィンダム・ヒルといったら、この頃は「自然」をテーマにした音楽の王道を走っていたレーベルでした(ほぼ独走かっ!)。だから彼らの作品を聴くと、風景画や映像が浮かび、自然に溶け込むのを感じることが出来ました。しかし、ここでは西田敏行(植村)と倍賞千恵子(公子)が初めて出会うシーンで、アッカーマンの肌をなでる柔らかな春風のようなギターが流れてきたり、当時は新曲だったから、あまり感じることがありませんでしたが、今では「なじみの曲」になったということもあり、妙な新鮮さが楽しめます。 特にアーバーグのテーマ曲などが使われるシーンなど、感無量です。思わず映画を見ながら涙がこぼれてしまいました(涙もろくなったのー)。メインテーマのメロディを聴くたびに映画のワンシーンがオーバーラップします。(なお、このテーマ曲は、アーバーグの1992年の作品『CINEMA』の中でも聴くことが出来ます)

 あるサイトのレビューにも書いたのですが、ヴァンゲリスの音楽を聴くと『南極物語』のワンシーンを思い出すように、オープニングのタイトルトラック(クレジット)で流れたマイケル・ヘッジスのハープギターによる“Because It's There”を聴くと、犬橇を操る植村がグリーンランドの上を滑走する姿を思い浮かべては毎回興奮してしまいます。なんと映像と音楽が見事に融合した作品でしょうか。

 実際の映画で流れた演奏と、サントラに収録された演奏が違うことが時々あり、なんとなくイメージが違うなーということがあります。このアルバムでもは、アナログとCDに若干の違いがあります。曲目の“Downhill”は、アナログ盤ではチャールズ・ビシャラットがヴァイオリン、マイケル・マンリングがフレットレス・ベースを弾いていますが、CDではベースはなく、ヴァイオリンにジェレミー・コーエン、パーカッションにケニース・ナッシュ、そしてアーバーグはシンセサイザー(ピアノ無し)を担当しています。そして、アルバムタイトルトラックである“The Shape of the Land”は、アナログでは“Warm Wind”というタイトルになっています。また、このアルバムに収録されているアッカーマンの曲は、このサントラよりも一足早くリリースされた自身のアルバム『CONFERRING WITH THE MOON』の中にも収録されています。


01.Because It's There
Michael Hedges ; Harp Guitar

02.Theme for Naomi Uemura
Philip Aaberg ; Piano

03.Downhill
Philip Aaberg ; Piano, Synthesizers / Jeremy Cohen ; Violin / Kenneth Nash ; Percussion
・・・
(Analog version by)
Philip Aaberg ; Synthesizers / Charles Bissharat ; Electric Violin / Michal Manring ; Fletless Bass

04.When It Snows
Philip Aaberg ; Piano, Synthesizers

05.The Shape of the Land(Warm Wind)
William Ackerman ; Guitar / Charles Bissharat ; Electric Violin

06.Kimiko
Philip Aaberg ; Piano

07.Processional
William Ackerman ; Guitar / Chuck Greenberg ; Lyricon

08.Come Back
Philip Aaberg ; Piano

09.Ice Bear
Malcolm Dalglish ; Hammer Dulcimer / Philip Aaberg ; Synthesizers

10.Aurora/Nevermore
Michael Hedges ; Harp Guitar / Philip Aaberg ; Synthesizers

11.Requiem for a Mountain Climber
Philip Aaberg ; Piano / Charles Bissharat ; Violin, Viola / Eugene Friesen ; Cellos
William Ackerman ; Guitar / Chuck Greenberg ; Lyricon
Michael Hedges ; Harp Guitar
Dawn Atkinson ; String Arrangements




キャスト

西田敏行 (植村直己)
倍賞千恵子 (植村公子(旧姓野崎)
大滝秀治(植村松太郎)
丹阿弥谷津子 (植村ハツ)
山岡久乃 (野崎秀代)
左とん平(野崎誠治)
古尾谷雅人(小川正夫)
藤木悠(小川光夫)
菅井きん(小川ヨシ)
磯部勉(広田)

ほか

 人気のあったレーベルだけに、当時はサントラからシングルカットされました。DVDもようやく2004年になってリリースされましたが、サウンドトラックのみ廃盤。再発が望まれるところです。

 

 

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