フィリップ・アーバーグ(Philip Aaberg)
1949年(ジョージ・ウィンストンと同年)モンタナ州チェスター出身。幼少期のモンタナ(ウィンダム・ヒルはモンタナがキーワードです)の大自然豊かな土地で過ごしたことが、のちの彼の作曲の面や演奏に大きな影響をあたえました。
ピアニストとしての出発は7歳(!)でピアノ・ソロ・コンサートを開き、14歳からロックに目覚めバンド活動を始めていました。その頃、平行してクラシック・ピアノの習練に励み、16歳の頃にはいくつかのオーケストラと共演。ハーバード大学で音楽理論と、室内楽を専攻、レナード・バーンスタイン奨学資金を受けました。クラシックの道を歩んでいきますが、ロックやカントリーなどのバンド活動を続け、エルビン・ビショップ、ピーター・ガブリエル、トム・ジョンストン、ジュース・ニュートン、ジョン・ハイアット、そして南こうせつにいたるまで、ウィンダム・ヒル・デビューまでの間、フィル・アーバーグとして実に40枚以上にも及ぶセッション経歴を持つに至りました。 日本デビューは『翔』の中の一ピアニストとして、また『ウィンター・コレクション』でしたが、そのあと『植村直己物語』では、メインコンポーザーとして印象的な演奏を聴かせてくれました。
ウィンダム・ヒルでのフィルの存在は、日本では、ほとんどのピアニストと同じように“第二のジョージ・ウィンストン”などと紹介されることもありますが、確かに育った環境や土壌は同じでも、共通点がいくつか見つかるとはいえ両者のスタイルは全く異なります。また、ジョージが最も尊敬する作曲家としてフィルの曲を演奏しています。そして彼のアルバムの賛辞には必ずフィルの名前を見つけることができるのです。
現在はウィンダム・ヒルという存在自体が、過去のアルバムのカタログとして残っている程度で、レーベルの活動を停止しています。ただ、コンサートとしては“Summer Solstice Concert”や“Winter Solstice Concert”が続いていて、フィルは常連アーティストとして参加しています。
また、フィルはSweetgrass Musicという自身のレーベルを立ち上げ、ウィンダム・ヒルからリリースされた最後のアルバム『CINEMA』以降、コンスタントに新作を発表しています。学生時代に専攻した室内楽の経験が、ピアニストとして様々なプロジェクトに参加しています。たとえばJimmy Fox、Darol AngerとのThe Metis Projectやダロール・アンガー、Eugine FriesenとThe Prairie Trio、Newgrangeとしてのグループ活動などで活躍しています。
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