|
Side A ; Side B ; Windham Hill Records, 1979 |
ウィル憧れのギタリスト、ウィンダム・ヒルから2作目となるこのアルバムでは、ガット弦によるクラシカルなギターピースが収録され、時間をさかのぼって聴いている私には、アッカーマンのルーツを聴くような思いで、いくら音源が古くても、新たな発見や、新鮮な気持ちに浸れることのできる一枚です。
ガット弦を使っているので、ギターの音色で聞き分けることは容易ですが、タッチや雰囲気など、まさにアッカーマン的。言い換えれば、どれだけアッカーマンが影響を受けていたんだろう、と言うことになるのではないでしょうか? 時々奏でられる奏法や音色の中に、時々「ハッ」とするほどアッカーマン的に聞こえることがあります。特に1stや2ndを聴いているような錯覚になることもあり、作曲や演奏の面で多大な影響を受けていたんだなぁと思う瞬間がありました。そして、それを見事に吸収し、自分のスタイルを気付きあげたアッカーマンの、アーティストとしての才能も見事だし、そのレコーディング現場に立ち会った(アッカーマンがプロデュース)彼の胸の内は、計り知れないほど興奮していたに違いありません。 1曲目では鈴の音が効果的に使われていますが、Pasha IIではロビーの歌声が堪能できます。彼の風貌といい、そのギタースタイルといい(なんかメキシカ〜ン)、ここで聴かれるロビーのヴォーカルは、今、私の知っているレーベルスタイルの、どこにも当てはまることのない異空間です。その彼のヴォーカルは、のちにブームを巻き起こすレーベルのスタイルとは、やや異にし、正直言うと、ちょっと戸惑ってしまいました。 また、レーベルでは、いち早くドビュッシーの“月の光”を取り上げ、何より嬉しく思います。また、グリーグの「ペールギュント」では、おなじみの“朝”のバリエーション。楽器の性質上、いかにもクラシックのアーティストがアレンジしたような雰囲気を持っています。他にもこのアルバムには、英国の作曲家ヴォーン・ウィリアムズ、バロックのヴィヴァルディなど、選曲にユニークな一面を持っています。 ちなみに発音しづらいBashoですが、本名はダニエル・ロビンソン・ジュニア。孤児だった彼は、ダニエル・ロビンソンに引き取られ、ジュニアと名づけられました。あるとき、山でトランス状態に陥り、自分が松尾芭蕉である(いわゆる生まれ変わり?)と理解し、以後Bashoと名乗るようになりました。読み方によっては「ベイショ」とも読めますが、ベイショと呼ばれることに対して、かなり不満だったというエピソードが残されています。 残念ながらCD化されていませんが、【WINDHAM HILL SAMPLER1981】や、1986年の【WINDHAM HILL : THE FIRST TEN YEARS】で聴くことが出来ます。ただし、両アルバム共に選曲されたのが“Variations on Clair De Lune”のみで、寂しい限り。 |
〜Discography〜 |