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01.Kim's Song 02. Leave It All Behind 03. New Life Lullaby 04. A Pleasant Stay 05. Steps Then Taken 06. Will's Mountain 07.Childhood's Hymn 08. Thoughts Are Us 09. All We Are (is in this moment now) 10. Pictures 11. Stickney Brook Dance 12. The Path Ahead |
あたかもジャケットの光景が浮かんでくるようなゆったりとしたメロディが、きらめく波頭のように、押し寄せては引き、押しては引いてくるような、悠久の時を感じさせます。硬質なピアノの響きからは、サティの白い世界が見えてきます(う〜ん、Rockyのスタイルからサティを想像するのは難しいのですが…)。そして曖昧な記憶ではなく、一枚の写真を眺めているかのようにはっきりとした情景が目の前に現れてくるような調べに彩られる世界。 シンプルなピアノソロの響きの中で、Noahの時空を超えたような漂うヴォーカルが聞こえてきます。その背後にはひっそりとウッドベースが聞こえてきました(New Life Lullaby)。この浮遊感、たむらしげるのアニメ作品を思い浮かべるといいかもしれません。 Rockyのスタイルは、ピアノソロと言うよりも5、7、12といったリズミカルな曲がメインのようで、今までは今回のようなスタイルはありませんでした。楽器同士の語らいも、ユージン・フリーゼンのチェロのみ。深見のあるチェロが前曲(Thoughts Are Us)を引き継ぐようにして朗々と歌い出し、ピアノとハーモニーを奏でます。まさにウィンダム・ヒルそのもの、美しい曲です。パーカッシブな曲は、バンドとしてのアンサンブルが楽しめ、Rockyのピアノを弾き出すような組み合わせではないようです。エンディングは二部構成になっていて、ロッキーとマンリングのデュオ。ゆっくり静かに・・・。そしてパーカッションが加わると、一変し、チェロ、フュリューゲル・ホルンがサウンドに厚みを加えていきます。そのパーカッシブな曲のあとに配置された静かな曲たちは、心も体も癒されるといった効果をもたらしてくれるでしょう。 とまあ、アルバムのライナーをじっくり眺めながら聴いていたのですが、どの曲で誰が参加しているのかクレジットされていません。(誰が何を演奏しているというクレジットはある)。ネット上で3曲ほど共演者が記載されていますが、実際にCDを聴くと違っていたりと、とりあえず私の耳に聞こえてくる音楽と、クレジットを照らし合わせて上記クレジットを記載しました。 ピアノソロの歌わせ方は、リック・ウェイクマンの『エアーズ三部作』を思わせます。その一粒一粒がキラキラと輝く水晶のごとく純白なきらめきを放っているようです。フィリップ・アーバーグのような大らかさとも違い、もっと洗練された都会寄り(フィリップはニューオリンズなどのブルースを感じさせるのでもっと渇いた埃っぽいといったところでしょうか)。ウィンダム・ヒルのアーティストの中で、Rockyのスタイルに近いアーティストといったら、Scott Cossuの名前を挙げるしかないでしょう。リリカルでクラシカルなスタイル。そして、パーカッシブルナうねり、『WIND DANCE』を思い浮かべてしまいます。 私は、ウィンダム・ヒルに影響された一人であり、現職も番組制作に関わっていることもあって、映像と音楽の組み合わせにはうるさい(と思う)のですが、今回のRockyのポートレイトジャケットは、非常に内容が良く伝わってくるような気がします。タイトル『THE PATH AHEAD』は、「まっすぐに伸びた小径」といった意味になると思うのですが、実際に写っているのは何処かの浜辺。♪誰もいない海〜 みたいな、ちょっと寂しげな雰囲気も、一音一音、曲にある「間」から伝わってきます。季節的にはリリースされた時期とピッタリ来る晩夏から初秋の、喧騒が去った物静かな雰囲気でしょうか。 なお、このアルバムのリリースイベントとして2009年9月12日(現地時間)にライヴが行われ、ステージにはアッカーマンも立ったようです。 |