ウィンダム・ヒルの掲示板
Photo by Toshiharu Minagawa.

 ジョージ・ウィンストンは『Autumn』から『Summer』にかけての、いわゆる四部作の頃は、ほとんどといっていいほどセッションをしていません。それが最近になってからというものの、ウィンダム・ヒルからリリースされるオムニバス物には必ずといっていいほど参加してくれるようになりました。ファンとしてはこれほど嬉しいことはありません。

「名前の綴りを聞かれて答えているところ」


BREAKFAST IN THE FIELD/MICHAEL HEDGES-1981-

 ここでジョージはマイケル・ヘッジスとマイケル・マンリングというストリングス隊(アコースティック・ギターとフレットレス・ベース)とセッションしています。“Lenono”。この曲はヘッジスが愛してやまないジョン・レノンの“Imagine”を基にし、そのあまりにも有名なフレーズをもう一人のマイケルがベースで奏でています。

ちなみに“Lenono”とはジョン・レノンとヨーコ・オノのこと。




PASSAGE/WILLIAM ACKERMAN-1984-

 ウィリアム・アッカーマンと唯一の共演である“Hawk Circle”。ジョージ色が色濃く出ていますが、作曲がウィルなのでジョージのアルバムに入ると多少の違和感があるかもしれません。もし入れるなら『DECEMBER』あたりの雰囲気が合っているのではないでしょうか。ちなみにジョージの四部作のうち『SUMMER』を除く三作品はウィルがプロデュースしています。




COUNTRY-1984-

 ウィンダム・ヒルが手がけた初めてのサントラ(映画の配給元はウォルト・ディズニー)で、ジョージのピアノ・ソロが5曲の他、5曲でアンサンブルに参加している。テーマ曲である“Home”はThanksgivingを彷彿とさせる名曲。映画はアメリカが抱える農業問題を、ある家族を通して見つめる、というもので、このころボブ・ディランが提唱したFarm Aidなどと米国では話題になった作品である(日本では未公開)。




THE VELVETEEN RABBIT-1985-

 映画俳優のナレーションとウィンダム・ヒルのアーティストが組んだアルバムが、同じレーベルの中のラビット・イヤーというところからリリースされました。俳優はそうそうたる顔ぶれが揃っており、ジョージは女優メリル・ストリープとぬいぐるみのウサギの話を担当。かわいらしい楽曲が揃っていて捨てがたいアルバムです。
  なお、本国に遅れること日本では1992年になってやっとリリースされました。日本盤はお話と音楽集とに分けて編集されました。




A CHRISTMAS CAROL

 再びラビット・イヤーからリリースされたサウンドトラック。
ここでジョージは「O Christmas Tree(p)/Carol Of The Bells(p)/Cherry Tree Carol(g)/We Wish You A Merry Christmas(g)」の4曲をピアノとギターで提供しています。Carol Of The Bells以外はこのアルバムでしか聞くことができないし、メリル・ストリープの歌声が聴けるという点では非常に貴重なアルバムといえるでしょう。そのCarol Of The Bellsも短く編集されています。




A WINTER'S SOLSTICE V-1995-

 レーベルの看板となっているシリーズに初参加。とはいえ、シリーズはジョージの『DECEMBER』から派生した企画だったので、いよいよ真打ち登場といったところでしょうか?
  Keola Beamerと“Poli'ahu-The Snow Goddess Of Mauna Kea”をレコーディング。今回はギターとピアノとのデュオ作品。ジョージはコードを弾くだけで主役はあくまでもKeolaのハワイアン・スラック・ギター。




THE CAROL OF CHRISTMAS-1996-

Christmas Time Is Here”は『LINUS AND LUCY』のレコーディングの合間をぬってこのアルバムのためにレコーディングしてくれました。ピーナツ(スヌーピー)のクリスマスのアニメを見たことがある人なら、このアレンジを聴くとシーンが浮かんでくるでしょう。そこでは子どもたちのヴォーカル・ヴァージョンとヴィンスのソロ・ピアノと聴くことができますが、私はヴォーカル・ヴァージョン(オープニングで使用される)の雰囲気が好きですね。無垢な心を取り戻せるというか…




A SUMMER SOLSTICE-1997-

  Keola Beamerとのハワイアン・スラック・ギターでデュエットしている“Kalena Kai”ほか、レコードでは初めての披露となるハーモニカの作品“M.M.s' Dunk”を提供している。日本でも『サイレント・サマー〜夏の木陰で』というタイトルで発売されたこともあるが、現在は廃盤中。両作品ともけだるい夏というよりも、ジョージの『SUMMER』に共通する流れをもっている。




A WINTER'S SOLSTICE VI-1997-

『WINER INTO SPRING』に収録されている“January Stars”なので、ファンとしてはクレジット見て拍子抜けというところでしょうか? できれば新たにレコーディングしてもらうか、未発表曲を望みたいところです。




THE CAROL OF CHRISTMAS II-1997-

 このシリーズでは前作に引き続きヴィンス・ガラルディですが、今回はピアノではなくギターにアレンジした“The Christmas Song”を提供してくれました。ヴィンスのオリジナルはピーナツ(スヌーピー)の『A CHARILIE BROWN CHRISTMAS』で聴くことができるので、そちらの必聴。ジョージのギターの響きからは、素朴な音が静かな雪の舞いを感じられます。




A SUMMER SOLSTICE II-1998-

 かなりトロピカルな作品が並ぶ中、ウィンダム・ヒルのアーティストの作品は、今まで通りの優しくゆったりとした楽曲なので、すぐにそれと分かります(というぐらい彼等の音楽性が統一されているということ)。ジョージは前作の『A SUMMER SOLSTICE』に引き続きKeola Beamerとのハワイアン・スラック・ギターで“Birds in Flight”をデュエット。




THE RENAISSANCE ALBUM-1998-

Villandle”という17世紀初頭にヤン=バプティスト・ベサードによって書かれたリュートのための作品を8弦ギターを披露。特に後半の高音を奏でる部分はジョージのギタリストとしての腕の見せ所。しかしお世辞にも上手いとは言えないところがご愛敬。




HERE,THERE & EVERYWHERE-1998-

 ウィンダム・ヒルのアーティストたちによる20世紀最大の音楽集団ビートルズのカヴァー集。ここでジョージは同じ左利き(上の写真からもお分かりいただけるように)のポールのヴォードビル風の楽曲“Mertha My Dear”をストライド奏法で軽快に演奏しています。まるでポールが弾いているよう! 連弾で演れば楽しそうだ。 




A WINTER SOLSTICE REUNION-1998-

What Are The Sings”このシリーズでのジョージは、自作を披露することはなく、他人の楽曲(トラディショナル)を奏でることに徹しているようです。カヴァー曲でありながら、彼のゆったりと弾く演奏は、まさに彼のオリジナルであるかのように姿を変えてしまいます。だから初めて聴くときは「新曲!?」と思ってしまいます。




SUN DANCE/A SUMMER SOLSTICE -1999-

 クレジット上ではジョージの名前が先に書かれている Shaka Slack Keyを、ウィンダム・ヒルでは三度目となるスラックの名手Keola Beamerとデュエットを披露してくれています。




SIMPLE GIFTS-2000-

 ヴィンス・ガラルディがアレンジした“Greensleeves”。ピーナツ(日本では「スヌーピーとチャーリーブラウン」のクリスマスに使われています。。オリジナルはイギリスの民謡で、ヴォーン・ウィリアムズが歌劇の中で“幻想曲”に編曲したものが特に有名なメロディ。
 クレジットにもあるようにヴィンスへの『Vol.2』が用意されているというので楽しみ〜。




A WINDHAM HILL CHRISTMAS -2002-

 ピーナツ・シリーズの第一弾はクリスマスの話しだった。だからピーナツシリーズを手がけたヴィンス・ガラルディの作品にはクリスマスの楽曲も沢山あります。
 このシーズンになるとウィンダム・ヒルの“冬のアルバム”がリリースされます。“Christmas is Coming ”はガラルディのオリジナル・クリスマスソングです。スヌーピーファンなら、チャーリーが、ライナスが、ルーシーが、シュローダーのピアノで踊っているシーンが浮かんでくるのではないでしょうか。




A WINDHAM HILL CHRISTMAS II -2003-

 『A WINTER'S SOLSTICE』シリーズの後継となってくれることを予感させる内容のすばらしさ。ここでジョージはロックバンドも良くカヴァーする“Silver Bells”を彼らしいハワイアン・スラック・ギターでほのぼのつま弾いている。アレックス・デ・グラッシやタック・アンドレスのような技巧派でもなく、ウィル・アッカーマンやスティーヴ・アキアーガのような叙情派でもなく、彼しか表現することのできないようなシンプルさが良い。




WINDHAM HILL AMERICA -2004-

 アメリカの作曲をたたえた作品集で、ジョージ・ガーシュインのオペラ『ポギーとベス』の挿入曲“It Ain't Necessarily So”を、ドアーズを弾いたときのようなタッチで力強く弾いている。




A WINDHAM HILL CHRISTMAS
- I'LL BE HOME FOR CHRISTMAS -2004-

 このシリーズの1作目でナイトノイズのジェフ&ブライアンのコンビがケルティック風に演奏した“Sussex Carol”を、ジョージはハーモニカソロで。このシリーズの面白いところは、同じ曲を様々なアーティストが様々なアレンジで演奏しているところを聴き比べるのも楽しみの一つ。