ウィンダム・ヒルの掲示板


Photo by Toshiharu Minagawa.
A WINTER'S SOLSTICE 25TH -2001-

Produced by Dawn Atkinson.
except where noted.

2001 Windham Hill Records.


 1997年にリリースされた『A WINTER'S SOLSTICE VI』以来4年ぶりというブランクを開けて、ようやく 2001年になって久しぶりにリリースされました。しかも1976年にウィンダム・ヒルの最初の作品、ウィリアム・アッカーマンの『IN SEARCH OF THETURTLE'S NAVEL』がリリースされて25周年目にあたる記念すべき年に。

  ただし、久しぶりのリリースといっても、ウィンダム・ヒルから新しい冬のコレクションがリリースされていたので、ファンとしてはあまり久しぶりという感じがしません。前作が1997年で、1998年に『A WINTER'S SOLSTICE REUNION』と『CELTIC CHRISTMAS IV』、1999年に『WINTER SOLSTICE ON ICE』と『CELTIC CHRISTMAS PEACE ON EARTH』、2000年に『SIMPLE GIFTS』といった具合に毎年リリースされていました。
 それにしてもシリーズが始まって以来、一貫して、冬に対するアーティストたちの、言い換えるとウィンダム・ヒルのサウンド・ポリシーが変わっていないことは特筆すべきものでしょう。ウィンダム・ヒルというレーベルが時代に流されることなく、人々の心の中に日常生活の一部として受け入れられているからに違いありません。その辺りの変わることのない音楽性が、他のレーベルと一線を画していると言えるでしょう。


01. Greensleeves / Seve Equiaga
Seve Equiaga; Guitars
 いくら聞き慣れた曲でも、自分の気に入りのアーティストが演奏してくれると、またその曲がひと味もふ た味も違った新鮮さに巡り会うことができます。ウィンダム・ヒルにギタリストは多けれども、ナイロン・ギタ ーを弾くのはスティーヴただ一人。このシリーズ最終回のオープニングを飾るのは、柔らかい温もりを感じ る曲で始まります。
 
02. When Earht's Last Picture Is Painted / Richard Schonherz
Richard Schonherz; All instruments
 意味深なタイトルとは裏腹に、エレクトリック・ピアノの澄んだ音色が美しいメロディアスな曲。この透明 感はシーズン最初に降り積もった新雪の雪化粧と、どこまでも澄んだ冬の青空がふさわしく、これから本 格的に訪れようとしている冬の緊張感も見え隠れしているようです。
 
03. The Gathering / Tracy Silverman & Thea Suits
Tracy Silverman; Violin, Electric Violin, Keyboards / Thea Suits; Flute
Michael Manring; Fretless Bass / Caito Marcondes; Percussion(Caxixi, Pandeirao)
Produced by Tracy Silverman.
 フルートの主題をヴァイオリンが変奏し、性格の全く違う二つの楽器が冬をテーマに絡んでゆくハーモニ ーは、ウィンダム・ヒルらしい楽器の組み合わせです。タック&パティと同じくレーベルではおしどり夫婦と して活動している息のあったコンビネーション。そこへ後半、マイケル・マンリングのフレットレス・ベース のメロディが、仲むつまじい夫婦の中を優しく見守るようにさりげなくサポートしています。
 
04. The Silver Swan / Paul McCandless
Paul McCandless; Oboe, English Horn, Keyboards
Michelle Sell; Harp

 ハープの伴奏を得て湖面を泳ぐ冬の使者、白鳥。オリジナルは作者不詳の詩に、オーランド・ギボンズ (1583-1625)が作曲したものです。この詩を歌うオリジナルであるかのようにポール・マッキャンドレス の奏でるオーボエが見事に解け合っています。

“生きている間 歌うことのなかった 銀色の白鳥は
死が近づいたとき 沈黙をやぶって 声を出した。
アシの茂った岸辺に 胸をもたせかけ はじめての、
そして最後の歌をうたい、もうそれ以上は歌わなかった。
「さようなら すべてのよろこびよ
おヽ死よ 私の目を閉じにきておくれ 白鳥よりガチョウの多い、
賢者より 愚者の多い世なのだから ”
 
05. Shades Of White / Jim Brickman
Jim Brickman; Piano
  ポップ感覚溢れたジム・ブリックマンによるオリジナルの小品。親しみやすいメロディは、彼のコマーシャ リズムから得る類い希なメロディ・メーカーとしての本領発揮というところでしょうか。こんなにも短い曲な のに、オムニバスの1曲でしかないのに。ファンとしては全曲彼の作品集を聞きたいと思うでしょう。2003年の『PEACE』でようやくその願いが叶えられることになります。
 
06. Col Partir la Bella Clori / Joan Jeanrenaud & Seve Equiaga
Joan Jeanren; Cello / Seve Equiaga; Guitars
 再び登場のスティーヴ・アキアーガの柔らかいナイロン・ギター。このシリーズに、1枚のアルバムに登 場済みのアーティストが再登場するというのは異例のことです。それだけに彼の人気の度合いが窺いしれるところでしょう。
  ヘンデルのカンタータ(HWV 77)『ああ、残念ながら本当だ』のアリアをリードしている チェロのジョーン・ジェーンレナードは、1985年の『ウィンター・コレクション』第1作でウィル・アッカーマンの “ニュー・イングランド・モーニング”でデュオをしていたチェリストです。
 
07. Moon Lake / W.G.Snuffy Walden
W.G.Snuffy Walden; Acoustic Guitars, Programming
George Doering; Electric Guitars / Charlie Bisharat; Violin
Produced by Steve Perry & W.G.Snuffy Walden.
  今やウィンダム・ヒルと肩を並べるまでに成長している人気ナラダ・レーベルのスナフィ・ウォルデン。こ のアルバム中、最もムード音楽に近い楽曲です。ウィンダム・ヒルとナラダ・レーベルの音楽性の違いを 聴き比べると面白いかもしれません。
 
08. Come All Ye Shepherds / Barbara Higbie
Barbara Higbie; Hammered Dulcimer, Violin, Piano, Celtic Harp, Bouzouki, Synthesizer
 新春の凛とした空気のようなハープの音色に、青空を駆け抜けるようなヴァイオリンのメロディ。今回も 一人で多重録音によるアンサンブルを届けてくれましたが、2000年にはSlowbaby Recordより 『VARIATIONS ON A HAPPY ENDING』という、彼女にとっては初の全曲ピアノ・ソロによるアルバムをリリースしています。
 
09. Beneath The Trees / Will Ackerman & Philip Aaberg
Will Ackerman; Parlor Guitar / Philip Aaberg; Piano, Keyboards
 この二人が共演するのも久しぶりで(もっともステージでの共演は多いのですが)しかも、クレジット上に 二人のアーティストの名前が綴られるのは初めてのこと。ファンとしてはゾクゾクとした感触に襲われてし まいそうです。そして曲も誰もが想像していたこれぞウィンダム・ヒルと思わずにはいられない作風です。
 横殴りの粉雪を思わせるギター、霙となって滑り落ちてゆく雪を思わせるピアノ。この雪は夜更け過ぎに本格的な雪 へと変わるのかもしれません。
 
10. Down In Yon Forest / Jeff Johnson & Brian Dunning
Brian Dunning; Flute / Jeff Johnson; Keyboards, Effects, Stirng Arrangements
John Fitzpatrick; Violin / Jami Sieber; Cello / Tim Ellis; Guitar / Gregg Williams; Percussion
Produce by Jeff Johnson.
 現在活動を停止しているのかと思わせるナイトノイズですが、『ウィンター・コレクション』の姉妹作であ る『ケルティック・クリスマス』では元気にグループでの参加を果たしています。この曲は英国のトラディシ ョナルで、メンバーであるジェフとブライアンの二人に、ジョンがフィドルで参加しています。最近の彼らは グループと平行しての活動が目立ってきていますが、グループとはまた違った音楽を追求するからこその 活動であり、やはり微妙に雰囲気の違うサウンドを作ってくれています。
 
11. Maiden Chant / Liz Story
Liz Story; Piano
 まるで日本の子守唄を思わせるような序奏から、リズのオリジナル曲による賛美歌が静かに冬の夜を 伴奏していきます。1994年の『THE GIFT』以来彼女のピアノには一種独特の雰囲気が漂うようになりま した。
 
12. When Comes December / Tim Story
Tim Story; Piano, Synthesizers
Kimberly Bryden; Oboe D'amore / Matha Reikow; Cello
Produce by Tim Story.
 エレクトリック・サウンド・クリエーターでありながら、ティムの音楽表現は生の器楽との融合が美しく今作もキーボードとしてのサポートは必要最小限に押さえられ、初期のウィンダム・ヒルの代名詞だったシンプルな楽器編成、チェロのマーサ・レイコフ、オーボエのキンブリー・ブライエンを迎えてレコーディングされ、冬の白い情景を美しく描いています。
 冬の最初の使者が舞い降りる瞬間。辺りの空気が凍りつくようなある種の緊張感に包まれる。そしてどこから舞い降りてくるでもなく、白い雪片がちらつき出すと、辺りは白一色のほのかに光る世界へと姿を 変えてしまう。人も自然界も気持ちを切り替えるのに、ためらいを感じながら止むことのない灰色の空を 見上げ、白く冷たい世界との共存を覚悟します。降り始めた最初の雪は積もることなく、夜も更ける頃には止んでしまいました。
 
13. Queen's Prayer / Ozzie Kotani
Ozzie Kotani; Hawaiian Slack Key Guitar
Produced by George Winston.


 素朴なギターの音色に、素朴なメロディ。濡れた服を暖炉の温もりで乾かしながら炎を見つめていると、 どこか懐かしい光景がその中に見えてくるようです。家族の団らん、恋人との語らい、友人との喧嘩、子供の泣き顔、父の死…

 1985年から始まった『ウィンター・コレクション』の最後を飾るにふさわしい、この16年間様々な思い出を、たった一本のギターが語り聴かせてくれ、これ以上には考えられないクリスマス・プレゼントを届けてくれました。プロデュースはジョージ・ウィンストン。