長らく廃盤状態が続いていた名作

トラヴェリング・ウィルベリーズの全音源(未発表、シングルのみなど)が

米国のレーベル、ライノよりボックスとして2007年6月にリリースされました。

このボックスには音源のほかにDVDが付属し、

制作されたビデオクリップ5曲と、

バンドのドキュメンタリー(約24分)が含まれています。

“The True History Of The Traveling Wilburys”というタイトルが付けられていますが、

これで当初の「ええっ〜!?」という結成秘話のベールが明らかにされるのでしょう。

また、

シングル“Handle Me With Care”と、アルバムのアナログ盤もリリースされます。

他にも嬉しいニュースとしてウィルベリーブラザースのソロアルバムもリイシューされています。

以下は、構築しなおした「私のウィルベリーズ物語」です。


THE TRAVELING WILBURYS (Jun, 12, 2007)

Disk 1 VOL.1 + Bounus Track

Disk 2 DVD

Disk 3 VOL.3 + Bounus Track

2007年10月にセカンドエディションとして再発されています。



私がこのバンドの存在をはじめて知ったのは、

当時ラジオ日本(1422kHz)で深夜に放送していたアメリカントップ40です。

DJの湯川れい子さんがホットニュースの中で記事を読み上げてくれました。


「なんとも凄いバンドがデビューしますよぉ〜

その名も、トラヴェリング… ウィル、ベリーズって言うんですねェ」


その時のたどたどしく名前をつげたことを思い出します。


TRAVELING WILBURYS (Oct, 25, 1988)

George Harrison(Otis Wilbury)
Jeff Lynne(Nelson Wilbury)
Tom Petty(Charlie T.Jnr←Wilburyの親類)
Roy Orbison(Lefty Wilbury)
Bob Dylan(Lucky Wilbury)


当時はまだ国内盤が先行リリースすることも無く、

大物アーティストに限り同時か、1ヶ月遅れのリリースがいいとこ。

しかも(一応)新人バンドというふれこみだったのと、

アーティストそれぞれが別々なレーベルアーティストということもあり、

国内盤はかなり遅れてのリリースとなりました。

当時は某レコードレンタル店で洋楽担当を任されていましたが、

この新人バンドのデビューを大プッシュしたのは言うまでもありません。

さっそく、そのニュースを掲示板で張り出すと大きな反響がありました。


「まじかよっ!」

「これ!ほんとなんですかっ!?」

「だったらすげぇ!」


読んでいるお客さんのつぶやきは、だいたいこんなもんでした。

私もラジオのニュースを聞いたときは鳥肌が立ちましたから、

その興奮は同じものだったろうと思います。


「おお〜 わかってくれたぁ」

などとカウンターの中で一人悦に入っていました。


そして輸入盤の入荷する日を心待ちに。

私は秋葉原の輸入を買い求めましたが、

届いた音源を聞いた瞬間、

「いやぁあ、つくづく洋楽を聴いていてよかったなー」と思いました。涙も出たし。


ただ、国内盤の無いものはレンタルリストに加えられなかったので、

店内B.G.M.として流すのがやっと。(←本来ならNG)

質問してきたお客さんには国内盤未定、輸入なら発売中を伝えることしか出来ません。



VOL.3/Traveling Wilburys (Oct, 19, 1990)

George Harrison(Spike Wilbury)
Jeff Lynne(Clayton Wilbury)
Tom Petty(Muddy Wilbury)
Bob Dylan(Boo Wilbury)


Vol.3リリース時には私もバイトを去り、店も閉店になってしまったので、

掲示板に群がった(笑)お客さんたちへのニュース提供もなくなりましたが、

その後は、個人的にドキドキしながら彼らの動向に注目していました。

ロイ・オービソン、トム・ペティ、ジェフ・リンが次々とソロアルバムをリリースし、

少なからずウィルベリー兄弟たちが参加、

どこを聞いてもウィルベリーズサウンドを楽しむことが出来ました。

「いやぁあ、つくづく洋楽を聴いていてよかったなー」と思いました。

♪ ♪ ♪



事の発端は1987年。

ジョージ・ハリスンの9年ぶりのソロアルバム『クラウド・ナイン』というアルバムのプロデュースに

E.L.O.のジェフ・リンが担当したことに発します。

ジョージは久しぶりのニューアルバムの制作に際し、

「僕がビートルズの一員だったってこと、そして僕のキャリアに敬意を払ってくれる人」として、

1985年に映画『ポーキーズ』で共同作業に当たったデイブ・エドモンズと再度レコーディングを望みました。

デイブとジョージはボブ・ディランのカバー(I Don't Want to Do It)をカバーしていますが、

しかし、多忙なデイブは、自分の代わりにとジェフ・リンを紹介したのです。


PORKY'S REVENGE ! (1985)

01.High School Nights / Dave Edmunds
02.Do You Wanna Dance / Dave Edmunds
03.Sleepwalk / Jeff Beck
04.I Don't Want To Do It / George Harrison
05.Stagger Lee / The Fabulous Thunderbirds
06.Blue Suede Shoes / Carl Perkins
07.Peter Gunn Theme / Clarence Clemons
08.Queen Of The Hop / Dave Edmunds
09.Love Me Tender / Willie Nelson
10.Philadelphia Baby / The Crawling King Snakes
11.Porky's Revenge / Dave Edmunds
12.Honey Don't / Carl Perkins

★ ★ ★ ★ ★
 『ポーキーズ』のサントラは、隠れた名盤と言われるだけあって、収録された面々を紐解いてみると、これまた凄い顔ぶれになっています。プロデュースを担当しているデイブ・エドモンズが5曲、ジェフ・ベックの“Sleepwalk”、クローリング・キング・スネイクは1984年に結成されたハニー・ドリッパーズに対抗すべくロバート・プラントとフィル・コリンズが作った即席バンド。そして、なにより注目を集めたのはジョージ・ハリスンがボブ・ディランのカバー曲を久々に収録したことでしょう。他にもカール・パーキンス、クラレンス・クレモンス、ウィリー・ネルソン、チャック・リーヴェル、そしてファビュラス・サンダーバーズが参加しています。ここで紹介するアルバムはMFSLからリリースされた米国盤(MFCD797)。


CLOUD NINE / George Harrison (Nov, 02, 1987)

Billboard Top 200;Peak Possision 8

01.Cloud Nine / 02.That's What It Takes / 03.Fish On The Sand /
05.Just for Today / 06.This is Love / 07.When We Was Fab /
08.Devil's Radio / 09.Someplace Else /
10.Wreck of the Hesperus /10.Breath Away from Heaven /
12.Got My Mind Set on You

<2004年エディション>
13.Shanghai Surprise / 14.Zig Zag

“Got My Mind Set On You”
Billboard Hot 100 ; Peak Possision 1
“When We Was FAB”
Billboard Hot 100 ; Peak Possision 23

★ ★ ★ ★ ★
 ゴーントロッポ以来5年ぶりのニューアルバムは、E.L.O.のジェフ・リンによるポップセンス輝く極上のアルバムを完成させました。
 
アルバムクレジットにSpecial Thanks John, Paul, Ringoとクレジットされた『クラウド・ナイン』ビートルズファンは喜び、ビートルズ以外のリスナーにも受けいれられ、大ヒットしました。1stシングルになった“Got My Mind Set On You”は1973年の“Give Me Love”以来、シングルチャートで見事1位(1988/01/16付)に輝くというおまけつき。
 その“Got My Mind Set On You”(Rudy Clark)以外は
すべてジョージのオリジナルで(数曲でリン、ゲイリー・ライトとの共作あり)、久々のアルバム制作には、気心が知れたアーティストで固めています。エリック・クラプトン、エルトン・ジョン、ジム・ケルトナー、レイ・クーパーそしてリンゴ・スター。収録曲の“When We Was Fab”ではPVの中で画面上、一瞬ビートルズ再結成を果たすなどジョージのユーモアが発揮された一枚です。

 なお、国内盤はCDとは呼べないCCCDという劣悪なフォーマットによる再発がなされていますので、くれぐれも購入は避けましょう。購入は海外盤をお勧めします。




セールス的にも良好だったのと、

シングルのB面に新曲を入れようということで、レコーディングをすることになりました。

この「B面のレコーディング」というアイデアからトラヴェリング・ウィルベリーズの第1歩が始まったのです。





レコード会社からシングルB面用に新曲を収録するよう依頼されたジョージは

再びジェフを呼びました。

その頃ジェフはロイ・オービソン(MYSTERY GIRL)、トム・ペティ(FULL MOON FEVER)のアルバム制作にかかわっていたのです。


以下はジョージが語ったバンド結成秘話(笑)です。ちなみにジョージは「モンティ・パイソン」のプロデューサーでもあったユーモアを持ち合わせているので、そこらへん、お忘れなく(笑)


ジョージとジェフは車に乗って身近なスタジオを探していたところ、

信号待ちしていたら隣にトム・ペティが停車していました。

話をしたら家が近いことがわかり意気投合。

俺も手伝うからと、トムの家にみんなでギターを取りに行き、

現在一緒にアルバムを作っているロイのことを思い出したジェフが

みんな来ていると話したら「私も手伝うよ」

ということになりました。

身近なスタジオはボブの家だよ、と提案したトムの案内でボブの自宅に押しかけ、

このアルバムができた、なんてことを楽しそうに語っていました。

実際に1988年4月に、マリブにあるボブの自宅ガレージにてレコーディングは行われています。


余談ですが、

この頃ジェフはビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンとも仕事をしていて、

もしかしたらウィルベリーズになった可能性もあったのかも !?

などと思ったりして。


BRIAN WILSON (1988)

Billboard Top 200;Peak Possision 54

01.Love and Mercy / 02. Walkin' the Line / 03.Melt Away /
04. Baby Let Your Hair Grow Long / 05. Little Children / 06.On for the Boys /
7. There's So Many / 08.Night Time / 09.Let It Shine /
10.Meet Me in My Dreams Tonight / 11.Rio Grande

<2000年エディション>

★ ★ ★ ★ ★
 ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンが初のソロ・アルバムを制作。そんな彼の下に集まった中に、ジェフ・リンも加わり“Let It Shine”のみですが、ブライアンのソロ・キャリアのスタートを手伝っています。2000年にリマスター盤がリリースされ、本人が語るアルバムのお話などスペシャル版がリリースされています(なんと25トラック)。
 ブライアン・ファンには久しぶりの歌声とあって歓迎されていましたが、時同じくしてビーチ・ボーイズのシングル“Kokomo”(ビルボードでは1位)が映画と共にヒットしたのと比べると、いささか寂しい復帰だったようですが、内容はそれに反して充実した作品集に仕上がりました。


ラジオから新着情報がありはしたものの、

オンエアの解禁が全くなく(聞いてなかっただけかも)

輸入盤屋は秋葉原の石丸電気へと学校帰りに直行。

(本国では1988年10月25日に店頭に並び、

当時日本に入ってくるのは1週間から10日ほど遅れてきたから、

私が手にしたのは11月にはいってからじゃないかと思います)

下のジャケットを棚に見つけたときは、ホント涙がチョチョ切れ「うぉ〜 これかぁ〜」と、

雄たけびを上げたくなるほど興奮しました。

アルバムを手にしてイソイソと家に帰り、

何もかも後回しにしてCDセット、

最初の音が流れ出したとたん「ばぁああああ〜 これが洋楽ロックの真髄じゃ〜!」

などとのた打ち回りました(オーバーでもなんでもなく)

1回目は興奮しすぎで冷静さを欠いたので、

続けて2回目。

お遊びどころではない隅々まで行き届いたロック魂(他にコトバが思い浮かばない)。

もう ヘヴィーローテーション。

他のレコードを全部棄てても良いぐらいに衝撃を受けました(オーバーでもなんでもなく)


VOL.1/Traveling Wilburys (Oct, 25, 1988)

Billboard Top 200 ; Peak Possision 3

01.Handle With Care / 02.Dirty World / 03.Rattled /
04.Last Night / 05.Not Alone Anymore / 06.Congratulations /
07.Heading For The Light /08.Margarita /
09.Tweeter And The Monkey Man / 10.End Of The Line

“Handle With Care”
Billboard Hot 100 ; Peak Possision 45
“End Of The Line”
Billboard Hot 100 ; Peak Possision 63

★ ★ ★ ★ ★
 もともとジョージのシングル用の曲だったこともあり、第一声はジョージ、この曲のメインヴォーカル。そしてロイが受け継ぎ(うぁ〜)、ボブ&トムのヴァース(うわぁぁ〜)。そして全員が1本のマイクに向かってコーラスを付ける(ぎゃあぁ〜)。ビデオを見たときは涙と、鳥肌と…。言葉にはできない衝撃でした。エンディングはとどめのジョージのスライドにボブのハーモニカ。淡々とリズムを刻むジム・ケルトナー。

 この衝撃が全10曲、途切れることなく興奮の坩堝に陥れる一枚。なんとグラミーまで受賞、しかも新人部門にもノミネートされてしまうほど。
それぞれの個性がにじみ出る曲もあれば、そうでない曲まで(特にボブの歌う“Congraturation”なんて)。とにかくやっている本人たちの本気度とリラックス度がひしひしと伝わってきます。全曲ウィルベリーズ作曲とクレジットされていますが、実際はそれぞれが持ち寄ったマテリアルをベースに、みんなで料理したという感じでしょう。それにしても各曲がしっかりと完成されていて、「お遊び」という枠をはるかに超えています。その証拠に、彼らの活動が次のアルバム制作をしてくれたことが何よりの証拠ではないでしょうか。

トラヴェリング・ウィルベリーズのアルバムが完成すると、

ジェフとの仕事を一時中断していた兄弟たちが、ソロアルバムの完成を目指して再びスタジオ入りしました。

結局は平行して制作されていたため、

それぞれのソロアルバムにも兄弟たちが揃って参加し、

ウィルベリー・ブラザースがあちこちに出現、音源集めに嬉しい悲鳴を上げることになります。






ソロアルバムのリリースニュースが届き、

心待ちをしていたところへ訃報が飛び込んできました。

1988年12月6日、レフティ・ウィルベリー こと ロイ・オービソンが心筋梗塞で永眠した、との知らせです。

そして、完成を見る前に亡くなったロイの後に残された【ミステリー・ガール】は

翌年、2月1日に米国でリリースされました(国内盤はもっと後)。

MYSTERY GIRL / Roy Orbison(Feb, 01, 1989)

Billboard Top 200;Peak Possision 5

01.You Got It / 02.In the Real World /
03.(All I Can Do Is) Dream You /
04.Love So Beautiful /
05.California Blue / 06.She's a Mystery to Me /
07.Comedians / 08.Only One / 09.Windsurfer /
10.Careless Heart

<2007エディション>
11.You May Feel Me Crying

“You Got It
Billboard Hot 100 ; Peak Possision 9

★ ★ ★ ★ ★
 アルバムには長男のソロを盛り立てるべくLucky Wilbury以外は全員参加。ただし、曲ごとにプロデューサーが異なるためにサウンドが結構ばらけています。ウィルベリーズ(1、4、5)としてはオープニングの“You Got It”なんてVol.1に入っていても、なんら違和感を感じないと思うでしょう。
 他に、U2のボノとエッジが参加したアルバムタイトル曲や、エルヴィス・コステロ、アルバート・ハモンド、ダイアン・ウォーレンらがロイの甘い声で歌ってもらおうと、曲の提供、プロデュースなどに参加して、ポップで親しみやすいアルバムを制作してくれました。私はT.ボーン・バーネットがプロデュースした“(All I Can Do Is) Dream You”が好きです。
 当時はやはり国内盤はだいぶ遅れてのリリースとなりましたが、ここで紹介するアルバムはMFSLからリリースされた米国盤(UDCD555)。

 なお、2008年は、早いもので没後20年となります。

FULL MOON FEVER / Tom Petty (Apr, 29, 1989)

Billboard Top 200;Peak Possision 3

01.Free Fallin' / 02.I Won't Back Down /
03.Love Is a Long Road /04.Face in the Crowd /
05.Runnin' Down a Dream / 06.I'll Feel a Whole Lot Better /
07.Yer So Bad / 08.Depending on You / 09.Apartment Song /
10.Alright for Now /11.Mind With a Heart of It's Own /
12.Zombie Zoo

“I Won't Back Down
Billboard Hot 100 ; Peak Possision 12
“Running Down A Dream
Billboard Hot 100 ; Peak Possision 23
“A Face In The Crowd
Billboard Hot 100 ; Peak Possision 46

★ ★ ★ ★ ★
 ウィルベリー兄弟の親類として参加していたCharlie T.Jnr(トム・ペティ)の初のソロ・アルバム。レコーディング自体はVol.1よりも前にジェフと共同作業に入っていましたが、9曲レコーディングしてもわずか22分にしかならず、その合間を縫ってウィルベリーズに参加と、何かと忙しくリリースが遅れてしまいました。
 ウィルベリーズ兄弟の参加(ここにもLucky Wilburyは不参加)、ロイの死後、加入がささやかれていたデル・シャノンも参加しています(ハロ〜 CDリスナー …)。1995年の【PLAYBACK】に収録されるまで噂でしかなかったバングルスとの共演もあり、当初はラストの“Zombie Zoo”のコーラスがバングルスかと思いきや、トムは思い切って彼女らとの共演をカットしました()。
 アルバムタイトルは、「レコーディング中、気がつけばいつも満月が見えた」から。なお、巷ではこのアルバムがVol.2であるという噂もあります。1stシングルとなったビデオ“I' Won't Back Down”にはジョージとジェフ、そしてリンゴ・スターがドラムスに参加するという、超豪華なビデオまで作っています。まさにウィルベリーズでした。
 1990年のMTV授賞式では“Free Fallin'”にGun's N' Rosesのアクセルとイジーが共演。これはルーマニアン・エンジェルでの共演がきっかけでしょうか?アクセルがブームに付けたマイクを構えながら ♪Free, Free Fallin' と歌う姿がかっこよかった共演でした。トムがアクセルに自由に歌わせるといった雰囲気のステージでした。

ARMCHAIR THEATRE / Jeff Lynne(1990)

01.Every Little Thing / 02.Don't Let Go / 03.Lift Me Up /
04.Nobody Home / 05.September Song / 06.Now You're Gone /
07.Don't Say Goodbye /08.What Would it Take /
09.Stomy Weather / 10.Blown Away /11.Save Me Now

Billboard Top 200;Peak Possision 83

 ウィルベリーズに参加したおかげで、一気に表舞台に再び立たされる事になったNelsonもしくはClayton Wilbury(ジェフ・リン)のソロアルバム。こちらにもLucky Wilburyと以外の兄弟が全員参加しています。すでにロイは故人となっているために参加していませんが、デル・シャノンが“Blown Away”にバック・ヴォーカルとして参加し、(その後の悲劇もあり)“God Bless Del Shannon”の一文がクレジットされています。
 もともとE.L.O.の顔として一部に名は通っていましたが、メンバー中、結成時、どちらかといえば裏方(プロデュース、アレンジャーetc.)でいることのほうが多かったので、名前だけ聞くと「誰?」と思われていたようです。全編ウィルベリー節、あちこちにビートルズや60年代サウンド。というより「一人E.L.O.」といった感じでしょうか。

VOL.3 / Traveling Wilburys (Oct, 19, 1990)

Billboard Top 200;Peak Possision 11

01.She's My Baby / 02.Inside Out / 03.If You Belonged To Me /
04.The Devil's Been Busy / 05.7 Deadly Sins / 06.Poor House /
07.Cool Dry Place / 08.New Blue Moon /
09.You Took My Breath Away /10.Wilbury Twist

 なんとこのチームでセカンドアルバム(タイトルはVOL.3でも)が、レコーディングされるとは思ってもみませんでしたが、つくづく洋楽を聴いていてよかったぁ〜と思わずにいられませんでした。「おいおいVol.2じゃないの?」と思いましたが(結局は彼らがVol.3だと言っているんだからイイじゃないか ! と、自分自身を納得させ)、音を聞けばそんなことどうでも良くなりました。いきなりゲイリー・ムーアのヘヴィなギターを伴う“She's My Baby”は、5〜60年代のポップソングに代表されるような内容でニヤリとしてしまいますが、それも真剣に取り組んでいるから、彼らの気合はお遊びじゃないです。他にもビートルズ風の曲あり、ボブ・ディラン風あり、あっという間にアルバムがエンドまで。ラストの“Wilbury Twist”で大パーティ!アルバムにはその踊り方が描いてあり、Boo以外の兄弟がインタビューの中で踊って見せてくれたことがありました。
 なお、今回のセッションでは長男の後任として加入が噂されていたデル・シャノンの死を悼んで、1stシングルのカップリングとして“Runaway”をカヴァーしています。

 Vol.3がリリースされた後に巷ではVol.2の噂が立ち、それを狙ったブートアルバムが数々リリースされましたが、どれもこれも苦しい選曲ばかりです。結局のところ、2007年に全ての音源が出揃うボックスセットにもVol.2のマテリアルは収録されていません。ここまで「存在しない(と思う)」アルバムに、周囲をあれこれ想像させて、さぞかしジョージも愉快だったのではないでしょうか? まー、ファンとしては「あって欲しいなぁ」と、想像で終わってしまったのは残念でなりませんが。

ROCK ON ! / Del Shannon (Oct, 01, 1991)

01.Walk Away / 02.Who Left Who / 03.Are You Lovin' Me Too /
04.Callin' Out My Name / 05.I Go To Pieces /
06.Lost In A Memory /07.I Got You /
08.What Kind Of Fool Do You Think I Am? /09.When I Had You /
10.Let's Dance

<2007エディション >
11.Hot Love /12.One Woman Man / 13.Nobody's Business /
14.You Don't Know What You've Got (Until You Lose It) / 15.Songwritter

 長男Lefty Wilburyの死後、ウィルベリーズ加入が噂されていたDel Shannonの久々のニューアルバム。残念なことに未完のまま1990年2月8日のピストル自殺で、帰らぬ人になってしまいました。

 残された音源をウィルベリーズのClayton Wilbury(ジェフ・リン)と、Muddy Wilbury(トム・ペティ)、そして彼の右腕、ハートブレイカーズのマイク・キャンベルが、ビートルズの“Free As Bird”などの手法を習って完成させたアルバムです。プロデュースはジェフとマイク。デルのヴォーカルは1990年以前に録り終え1年以上あとにリリースされました。当時はアルバムリリースのニュースだけが先行し、しばらくは音沙汰がありませんでしたが、巷ではこのアルバムがVol.2であるという噂もあります。ジャケットがイカしてます。

 ウィルベリーズは、彼の死を悼んで代表曲である“悲しき街角”をレコーディングし、シングル“She's My Baby”のカップリング曲としてリリースしています。

 オープニングの“Walk Away”はデル、トム、ジェフの共作が泣かせますが、往年の名曲“I Go To Pieces”をアルバム・リリース前はロイ・オービソンとのデュエット、などと解説している雑誌もありましたが、実際は、すべてデルのヴォーカルで、バック・ヴォーカルにトムとジェフが数曲参加しています。エンディングに収められている“Let's Dance”は、のちのVol.3に収録されている“Wilbury Twist”に影響を与えたんじゃないかと思えるようなノリです。なお、このアルバムからは“Walk Away”がシングル・カットされ、未収録曲がカップリングされました。

 2007年に再発されたヴァージョンには、ボーナストラックが5曲含まれ、そのうち“Hot Love”にはVol.2の噂を否定できない結果となったテイクです。なんとジェフ・リンとトム・ペティ、そしてジョージ・ハリスンが参加しています。


 ウィルベリーサウンドは、これ以外にもGeorge Harrisonが映画【LETHAL WEAPON 2】のために書き下ろした“Cheer Down”やGeorgeの奥様の発案で企画された【ROMANIAN ANGEL APPEAL】の“Nobody's Child”(Hank Snowのカヴァー)などあります。

 
ちなみにロイの死後、短い期間ですがSilver Wilburysというバンド名でライヴ活動を行なったことがあります(19,Feb,1987)。George Harrison、Bob Dylan、John Fogerty、Taj Mahal、Jesse Ed Davisという布陣。こちらはブートで聴くことはできます。

 
LEATHAL WEAPON 2(1989)
 もともとはエリック・クラプトンの為にジョージとトムが共作したもので、今や名コンビとなったジョージとジェフでプロデュースしたもの。サントラには他にもクラプトンとエルトン・ジョンのデュエットなどを収録して、結構豪華でした。“Cher Down”はジョージの【BEST OF DARK HORSE 1976-1989】にも収録されています。
 
NOBODY'S CHILD The Romanian Angel Appeal(1990)

01.Nobody's Child / 02.Wonderful Remark / 03.Medicine Man /
04.This Week / 05.Homeward Bound / 06.How Can You Mend a Broken Heart /
07.Lovechild / 08.Big Day Little Boat / 09.Feeding Off the Love of the Land /
10.That Kind of Woman / 11.Goodnight Little One / 11.The Trambler /
12.Ain't That Peculiar / 13.Civil War / 14.With a Little Help From My Friends
 このアルバムはオリヴィエ・ハリソン(ジョージの奥様)のルーマニアでの体験と発案でまとめられました。発売当時はいろいろと噂がありましたが、ウィルベリーズの新曲やジョージとポール・サイモンのデュエット、他アーティストたちの未発表音源が盛りだくさんのアルバムです。
  特に話題になったのはGun's N' Rosesの新曲。またデュアン・エディの楽曲をジェフ・リンがプロデュースした11など、あたかもウィルベリーズのインストを聴いているようです(オリジナルはデュアンの1987年のアルバム【HIS TWANGY GUITAR & THE REBELS】に収録)。10のエリック・クラプトンはジョージ提供の未発表曲、プロデューサーはRuss Titlemanですが、リズムトラックはウィルベリーズ風。この曲はゲイリー・ムーアもカヴァーしています(1991年の【STILL GOT BLUES】にて、ジョージも参加)が、Vol.3にゲイリーが突如参加したのは、曲を提供してもらったお礼返し。
 
INTO THE GREAT WIDE OPEN Tom Petty & The Heartbreakers(1990)
 トラヴェリング・ウィルベリーズ休暇中、トムはハートブレイカーズの新作プロデュースをジェフに託しました。ジェフは制作だけではなく、ミュージシャンとしてもアルバムに参加し、今までのハートブレイカーズの歴史と、ジェフの音楽性をうまくミックスさせて完成させました。ウィルベリーズの作品と比べると、アメリカン・ロック色が加味されて、軽めのポップス(E.L.O.)が影を潜めています。1曲目の“Learning To Fly”は涙ものの名曲。ちょっと前にリリースされたドン・ヘンリーの“The End Of The Innocence”に匹敵します。
 
 
 



トラヴェリング・ウィルベリーズの出現によって、
仲の良いミュージシャン同士が集まってイレギュラーな活動をすることが、一時流行ました。

以下、1990年付近で結成された、私が知っているバンドを紹介しましょう。

MiISSING...PRESUMED HAVING A GOOD TIME
/ The Notting Hillbillies
(1990)
Mark Knopfler ; Vocals, Guitars
Guy Fletcher ; Vocals, Keyboards
Steve Phillips ; Vocals, Guitars
Brendan Croker ; Vocals, Guitars

 登場したときは英国版トラヴェリング・ウィルベリーズなんて言われ方していました。渋〜いあるばむです。マーク・ノップラー以外知らないミュージシャンで、みんな同じ声に聞こえました。シングル向きの曲もなく、淡々としています。

Little Village (1992)
Ry Cooder ; Vocals, Guitars
Nick Lowe ; Vocals, Bass
John Hiatt ; Vocals, Guitars
Jim Keltner ; Drums

 トラヴェリング・ウィルベリーズでサイドベリーを名乗り参加していた名セッションドラマー、ジム・ケルトナーがメンバー正式メンバーに。しかもヴォーカリストが凄いメンツ。こちらもシングル向きの曲もなく、淡々と(ライのスライドを期待していたのが、肩透かしを食らったか)。なぜかこのアルバムを聴くと、夕方に国道で渋滞にはまったことを思い出します。エンディングでジムが一言だけ、「リトル・ヴィレッジ」。

CONTRABAND (1992)
Richard Black (Shark Island) ; Vocals
Michael Shenker (M.S.G.) ; Guitars
Tracy Guns (L.A. Guns) ; Guitars
Share Pedersen (Vixen) ; Bass
Bobby Blotzer (Ratt) ; Drums

 メンツ的には期待していましたが、外部のソングライターを起用したのが失敗したか、イマイチパッとせず。平均点のL.A.メタルどまり。ジャケットがカッコ良かったんですが。


残念なのはロイ、デル、そしてジョージの死によって、

このバンドが二度と活動ができないことにあるでしょう。

ただ、「誰でもいつかはウィルベリーになる」なんてことをジョージが言っていたので、

あたかもバンドがオーケストラのようにメンバーは変わってもバンドは存在するのかもしれません。

(かつてリック・ウェイクマンがイエスをそんな風に例えてました)

私は残された音源をiPodに突っ込んでシャッフルをかけて、

いつでもウィルベリー・ツイストを楽しんでいます。

 

ジェフ・リン

 ウィルベリーズの中ではもっともネーム・バリューの低いジェフは、E.L.O.(エレクトリック・ライト・オーケストラ)のリーダーです。当時は表舞台から身を引いて裏方(プロデュースなど)に専念し始めたら、メンバーにまで誘われてしまったようです。ウィルベリーズ結成前夜、プロデューサーとしてあちこち顔を出していました。

HIS TWANGY GUITAR & THE REBELS / Duane Eddy(1987)
 ウィルベリーズ前夜にあたるセッションが、ギタリストのデュアン・エディの下で行われていました。
 
BRIAN WILSON(1988)

Billboard Top 200;Peak Possision 54

01.Love and Mercy / 02. Walkin' the Line / 03.Melt Away /
04. Baby Let Your Hair Grow Long / 05. Little Children /
06.On for the Boys / 07. There's So Many / 08.Night Time /
09.Let It Shine / 10.Meet Me in My Dreams Tonight / 11.Rio Grande

 ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンが初のソロ・アルバムを制作。そんな彼の下に集まった中に、ジェフ・リンも加わり(数曲)、ブライアンのソロ・キャリアのスタートを手伝っています。のちのちになってからリマスター盤がリリースされたり、本人が語るアルバムのお話などスペシャル版がリリースされています。ブライアン・ファンには久しぶりの歌声とあって歓迎されていましたが、時同じくしてビーチ・ボーイズのシングル“Kokomo”(ビルボードでは1位)が映画と共にヒットしたのと比べると、いささか寂しい復帰だったようですが、内容はそれに反して充実した作品集に仕上がりました。
 
SOMETHING PECULIAR/Julianna Raye(1993)

01.Limbo / 02. I'll Get You Back / 03.Tell Me I'm Alright /
04. Taking Steps / 05. Peach Window /
06.Something Peculiar / 07. Roses / 08.Laughing Wild /
09.In My Time / 10.My Tribet / 11.Nicola

 ウィルベリー関連の仕事ばかりかと思いきや、まったく意表をついたプロデュース作で、ジェフ・リンの趣味が丸出しのアルバムです。アルバムジャケットの配色を見ただけでも、ウィルベリーズとは全く正反対な雰囲気が伺えます。片方は枯れた茶色、片方はポップでカラフル。
 ここにはジェフ以外のウィルベリーは参加していませんが、マイク・キャンベルなども積極的に参加してギター・ソロを担当しています。ELOや一連のおじさんばっかのファミリーにあって、ちょっとした息抜き的な作品だったのかもしれませんが、ウィルベリー・ソロ作品と肩を並べるぐらいのポップアルバムに仕上がっています。
FREE AS A BIRD / The Beatles(1995)

Billboard Hot 100 ; Peak Possision 6
 ポール曰く、「ジョンが作りかけで休暇をとった、と考えることにしたんだ。おかげで、みんなで自由に曲を発展させることができたんだ」。ジョージのスライドも華を添え3人がそれぞれヴォーカルを分け与えるアレンジは、まさにウィルベリーズ。1997 年度グラミー賞でBest Pop Duo or Group with Vocal 、Best Music Video, Short Form 部門でも受賞。『ANTHOLOGY 1』に収録。
 
REAL LOVE / The Beatles(1996)

Billboard Hot 100 ; Peak Possision 11
 前作「Free As A Birds」ほどのマジックは施されておらず、ここではジョンのソロをポール、ジョージ、リンゴがサポートするアレンジとなっています(ジョンの『IMAGINE』で初出となった音源と比較すると面白い)。コーラスはばっちりポール、ジョージが担当しています。『ANTHOLOGY 2』に収録。
 このあと『ANTHOLOGY 3』にもシングルが収録されるという話がありましたが、結局実現せず。候補曲は「Grow Old With Me」だったようです。


FLAMING PIE / Paul McCartney(1997)

Billboard Hot 100 ; Peak Possision 2


01.Songs We Were Singing / 02.World Tonight /
03.If You Wanna / 04.Somedays / 05.Young Boy
06.Calico Skies / 07.Flaming Pie / 08.Heaven On A Sunday /
09.Used To Be Bad / 10.Souvenir / 11.Little Willow /
12.Really Love You / 13.Beautiful Night / 14.Great Day
 ポールにとって久々のビルボードへのランクインとなりました。ビートルズのプロデュースを手掛けた手腕を買われ、ジェフが何曲かでプロデュースを行っています(全部やったらよかったのに!)。
 
HIGHWAY COMPANION / Tom Petty(2006)

Billboard Hot 100 ; Peak Possision 2

01.Saving Grace / 02.Square One / 03.Flirting with Time / 04.Down South /
05.Jack / 06.Turn This Car Around / 07.Big Weekend / 08.Night Driver /
09.Damaged by Love / 10.This Old Town / 11.Ankle Deep / 12.The Golden Rose
Special Edition Bonus Track
13.Home / 14.Around the Roses /
15.Big Weekend(demo version) / 16.This Old Town(demo version)
 トムはジョニー・キャッシュとのセッションからリック・ルービンと急接近し、2ndソロからしばらくハートブレイカーズも含め、リックとの共同制作に入りました(あのリックがトムやジョニーと一緒にいると、ただのお兄ちゃんのように見えます)。2006年に制作された今作も、本来ならリックがプロデュースをすることになっていたようですが、多忙につき、順番待ち。待ちきれずに旧友のジェフを呼んでスタジオに入り完成させました。この頃になると、10年前のジェフのサウンドと異なり、トム・ペティ&ハートブレイカーズ本来の音に戻っています(重心が低いというか…)。も2007年に入って、通常よりも4曲追加されたSpesial Editionがリリースされました。