カントリー界にとどまらず、アメリカの音楽シーンに多大な影響を与えたジョニー・キャッシュが2003年9月12日に逝去しました。もはや、彼のディープな歌声を聴くことはアルバムやビデオのみになってしまったわけです。 今となっては白鳥の歌と呼ぶにふさわしい、リック・ルービンとのコラヴォレーション【AMERICAN RECORDINGS】で、生前は【IV】までリリースされました。4枚組のBOXセット以降、2007年現在の【V】まで、本人が完成されたアルバムを聴くことはありませんでした。(2007年中に【VI】のリリースが予定されています)。 私がジョニーの歌声を最初に聞いたのは、ボブ・ディランのアルバムでデュエットしていた“北国の少女”(相手のことを考えず、両者ともに好き勝手に歌う、なんちゅ〜デュエットじゃ、と思った)です。そしてU2の『ZOOROPPA』の中の“Wanderer ”でのソロ。 そして本格的に聴くようになったのはDef Jam Americanから1994年にリリースされた『アメリカン・レコーディング』以降のアルバムです。好きなプロデューサーでもあるRick Rubinの制作じゃなかったらここまでのめり込むことはなかったでしょう。やはりプロデューサーの力は大きいと思います。ただし、ここでのリックは、生の音をそのまま録っているだけで、なんの細工もありません。ジョニーの声とアコースティック・ギターがあれば、それで十分なのです。 ギター1本のみによる弾き語りでここまで聴き手を惹きつけるアルバムも少ない。それは彼の深い声によるところが大きく、それを見事に捉えたプロデューサー、リック・ルービンの手腕もスゴイ(たかがプロデュースと思うなかれ)。一件シンプルなアルバムはダラダラといってしまうのが常であるが、それがないのです。 カントリー畑のアーティストであるから、同僚のクリス・クリストファーソンやニック・ロウあたりのカヴァーは納得いくのですが、たとえばトム・ウェイツ(Down There By The Train)やレナード・コーエン(Bird On A Wire)辺りになると、やや驚きの選曲です。さらにはリック・ルービンがかつてプロデュースした Danzingの曲(Thirteen)に至っては驚くばかり。こういったジャンルの曲でも自分流に(しかも弾き語りだ)アレンジして自分のものにしてしまっているあたりは、どんなに若手アーティストが頑張ってみても、決して届くことのない存在を示しているのです。 |
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DEAD MAN WALKIG -1996- |
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ティム・ロビンス監督。サントラには豪華な(らしい)アーティストがこぞって参加していますが、注目はブルース・スプリングスティーンとエディ・ヴェダー(パール・ジャム)でした。アルバムは61位。 |
JACKIE BROWN (1998) |
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クエンティン・タランティーノ監督。キャッシュ&ルービンのコンビとしての1stアルバム【CASH】に収録されている曲が挿入曲として使用されています。 |
KILL BILL VOL.2 (2004) / A Sasatisfied Mind |
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またまたクエンティン・タランティーノ監督作品に挿入曲として、しかも嬉しいのはキャッシュ&ルービンでレコーディングされ、アメリカン・シリーズでは未発表作品。アコースティックギターによる弾き語り。 |