英国プログレッシブ・ロック・グループの代表格。1969年デビューから幾多のメンバーチェンジを繰り返していますが、そこで作り出される音楽はイエスの何者でもなく、ベルリン・フィルやウィーン・フィルのように、メンバーが変わっても、変わることのないサウンドを奏でる、まるでオーケストラのような存在として活動を続けるバンドです(リック・ウェイクマン談) |
THE LADDER/ Yes -1999- |
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ともかくこのアルバムは大好きです。イエスサウンドが何かを知り尽くしたメンバーたちが繰り広げる作品集。その後押しをしてくれたのが、このアルバムが遺作となってしまった名プロデューサー、ブルース・フェアバーンの存在を忘れてはならないでしょう。「あなたたちはイエスだ」ということを再認識させてくれたそうです。 |
TALK/ Yes -1994- |
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アマゾンのレビューにも書きましたが、ジョンとトレヴァーのコラボレートが最も完成した形で作曲チームとなり、その結晶がこのアルバムに凝縮しています。『UNION』で、ちょっとギクシャクしたメンバー間のゴタゴタも決着が付き、10年間続いた90125メンバーの白鳥の歌であり最高傑作と言っても過言ではありません。 |
90125/ Yes -1983- |
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一時は解散したイエスが、トレヴァー・ラビンという若い血を得て復活した作品集で、それまでのアコースティックサウンドとは異なり、時代に合わせてかなりデジタルポップなサウンドに豹変したアルバム。ジョンが加わったことでイエスを名乗ることにしたという曰く付きのアルバムでもあります。 それまでシングルヒットとは無縁だったグループですが“Owener Of A Lonely Heart”がビルボードで1位となり、アルバムセールスもイエス史上最高となりました。2009年に、スティーヴ・ホフマンがリマスターを施したディスクがAudio Fileからリリースされました。 |
DRAMA/ Yes -1979- |
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ジョンとリックが相次いで脱退後、新しくメンバーに迎えられた、後の名プロデューサーとなるトレバー・ホーンとジェフリー・ダウンズの2名が参加した最初で最後のアルバムは、クリス・スクワイアがヴォーカリストとしての存在を前面に出した1枚。私が好きな理由もここにあって、ジョンのハイトーンに似たトレバーとの掛け合う度合いが、今までのイエスでは聴くことができないほど多く、クリス・ファンにはウケがいい一枚。 |
CLOSE TO THE EDGE/ Yes -1972
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イエスの、というよりも、時代を代表する一枚と言えるアルバムです。わずか3曲しか収録されていませんが、イエスが創り出す最良のすべてがここに凝縮されています。前作『こわれもの』も名作ですが、メンバーの集中度はコチラが数段上。 |
私は、かねてからYESのサウンドのカギを握っているのはスティーヴに違いないと思っていました。特にリック・ウェイクマンとの絡みとなると、もう独特のイエス・サウンドが繰り広げられ、これぞYesworldといった唯一無二の世界です。それだけで充分、ジョンの声がなくても大丈夫だと思えるぐらい(とは言ってもジョン以外の声は考えられないぐらい染まってますけど)。 先に私が90125YESを引っ張り出したのは、80年代のYesは完全にトレヴァーがイニシアチブを握り、トレヴァー色に彩られていた、まったく新しいバンドだったからです。それはそれで、今までのYesという伝統の音に刺激を与え、それはリスナーにも伝わりました。まさに新世代のYesmanが造った新世代リスナーに向けての挑戦だったのです。彼はエレクトリック・ギターとデジタル・ポップを融合させ前面に押し出しました。Yesの音楽の中にあって、これは時代のニーズにも応えるためにとった苦渋の決断(?)、メンバー感にも新鮮な想像力を生み出したのではないでしょうか? しかし受けたからと言って次作も同じ作風になると、周辺の他のバンドと大差なくなってきてしまいます。だからスティーヴのような変幻自在のギタリストの存在が欠かせないと思うのです。 意外だったのは『DRAMA』を最後に脱退したスティーヴが次に選んだ道が、ASIAでのヘヴィなギターサウンドを作りだしたこと。8人編成での大家族の時、スティーヴは実にぎこちなかった(ように思う)。あれがASIAのステージならいざ知らず。 さて、この『OPEN YOUR EYES』は、トレヴァーの抜けたポジションにスティーヴが復帰していますが、新加入のビリーの存在を、私は第二のトレヴァーと捉えていました。オープニングで聞こえてくる、また、随所に見られるヘヴィな(エレキの)音作りはスティーヴらしくないからです。だからスティーヴはすぐに脱退してしまうのでは? と正直不安に思ったものでした。それこそがイエスらしいと言えばイエスらしいのですが、それでなくてもメンバーチェンジの激しいバンドだけに。 ここでは新加入のビリーの存在が目立っています。しかもクリス・スクワイアが後押ししているからなおさらのことでしょう。また、このアルバムの特徴はトレヴァー在籍時のYesの延長線に加え、今までにないコーラスワークが素晴らしいのです。いちおうキーボードとしての新加入だったビリーも歌えると言うことが大きく影響しているに違いありません。そして90125YESと決定的に違うのが、スティーヴのアコギが加わっていることです。90125YESにはなかった世界がここに広がっています。しかし、これぞYesと言うのでしょう。 もうひとつの特徴として、クリス・スクワイアのヴォーカルの占める割合が多い。これは後にリリースされたビリーとのコラヴォレーション『CONSPIRACY』で明らかにされるのですが、元々『OPEN YOUR EYES』のいくつかはクリスのソロ・アルバムのためにレコーディング、作曲された楽曲らしいのです。ジョンとの掛け合いがこれほど聴けるのは、このアルバムだけと言っても良いかもしれません。Open Your Eyesはアルバムタイトルにもなっているだけあって、キャッチーな曲そして白眉はなんといってもスティーヴのアコギ伴奏によるFrom The Balconyでしょう。やはりジョンの声は美しいですよ! |
OPEN YOUR EYES/ Yes (1997) |
![]() - Yes - Jon Anderson; Vocals, Guitars Steve Howe; Guitars, Vocals Chris Squire; Bass, Vocals Billy Sherwood; Keyboards, Guitars, Vocals Alan White ; Drums Produced by Roy Yes. Billy Sherwood by Recording, Mixing. Randy Nicklaus by Mixing. Joe Gastwirt by Mastering. |
クリスのソロアルバムが一転してイエス名義のアルバムになってしまいました。1997年にリリースされたこのアルバムの評価は一様にして低いとか。はたして本当に駄作なのでしょうか?
新たにビリー・シャーウッドという若手ミュージシャンを加え、サウンド的にはトレヴァー・ラビンがいた頃の90125YESを彷彿とさせる作りになっています。しかし1980年代ならそれで良かったかもしれませんが、今さらながらに聴くと単調な楽曲と評価を下されかねないかもしれません。今作でそれを見事に覆してくれたのはスティーヴ・ハウに他ならなりません。 |
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本来ならイエスの『OPEN YOUR EYES』がクリス・スクワイアのソロアルバムになるはずだったものが、長らくお蔵入りとなり、その音源を元にして製作されたのが1997年にリリースされたイエスの『OPEN YOUR EYES』です。そのオリジナルが、こうしてビリー・シャーウッドとのコラボレーションとして日の目を見ることになったのですが、なかなか佳曲揃いです。すでにイエス名義で世に出ている曲だから、耳慣れている、ということもあるかもしれませんが、それらの原石(ラフスケッチ)を聴いているような楽しさがあります。 逆に、ジョンのヴォーカルが加わるだけで、イエスか、イエスじゃないか、雰囲気ががらりと変わってしまうという比較が出来て、ファンなら並べて聴くべきアルバムと言えるのではないでしょうか? |
THE UNKNOWN/ CONSPIRACY (2003) |
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Yesからビリー・シャーウッドが脱退してしまいました(あのメンツを見ていると、確かにステージ上ですらいる場所がなさそうに感じます…)。それでも師弟関係のあるクリスとの関係は続いて、コラボの第二段が誕生しました。今回は前回のアルバム名がそのままユニット名になったようです。ただ、内容は前回の路線をそのまま引きずった感じ…。ビリーはこういうサウンドが演りたかったのでしょう。ジョンやスティーヴがいないと、ほとんど90125イエスのような音になってしまうという典型かもしれません。
『OPEN YOUR EYES』の姉妹作でもない今作は日本のレコード会社も見送ったため、発売されていませんが、活発に活動していて、ライヴビデオ『LIVE』 そんな私は動くクリスが見たくて購入しました。暗いスタジオにて、メンバーにスポットを当てただけのような演出です。曲目は『CONSPIRACY』と『THE UNKNOWN』から。イエスの『OPEN YOUR EYES』、そしてファンとしては大注目のクリスの1stソロ『FISH OUT OF WATER』から選曲されています。ライヴ映像57分+インタビューなど。 01.Cocspiracy 02.Days Of Wonder 03.Universal Garden 04.New World 05.The More We Live 06.Hold Out Your Hand/You By My Side 07.Confess 08.Red Light Ahead |
CIRCA (2007) |
![]() - Circa - Billy Sherwood; Vocals, Guitars Jimmy Haun; Guitars, Vocals Tony Kaye; Keyboards Alan White ; Drums Produced by Roy Yes. Billy Sherwood by Recording, Mixing. Randy Nicklaus by Mixing. Joe Gastwirt by Mastering. |
プログレはメンバーがくっついたり離れたりを繰り返し、「バンドはオーケストラみたいなもんだ」なんて、リック・ウェイクマンが名言を言ってましたが、一時期イエスマンだったビリー・シャーウッドを中心に結成されたCIRCAのデビューアルバムです。(2021現在も副業として活動中。こちらもメンバーの出入りは烈しい模様で、ビリーとトニーのプロジェクト的な感じ) ただ、ビリー・シャーウッドのソロに豪華なイエス・メンが協力した、というような感じで、1983年以降の90125イエスを継承しているような音です。ファンとしては、やるなら徹底的にやってほしいところで、メンツから想像すると、もっとアグレッシブな音を期待していただけに、なんか印象に残らないアルバムでしょうか。。。 私も、バックにアラン・ホワイト、トニー・ケイがいなければ手にしていなかったでしょう。Conspyracyでやっていれば、まだ印象も違っていたでしょうに。コーラスワークはイエス出身が揃っているだけに「さすが」と思わせてくれますが、ビリーのソロは、ちょっと音程がふらついている感じ(笑)。 嬉しいのは(それほど私はファンじゃないので、なんなんですが)、トニー・ケイのキーボードがかなりフューチャーされている曲があること。こうでなくちゃ、トニーを呼び寄せた意味がないですからね。 メンバーは、キーボードが元イエスのトニー・ケイ、ドラムスが現イエスのアラン・ホワイト、ギターにジミー・ハーン(いろいろイエスメンと関わりがあって、晴れて桧舞台に)、そしてベースにビリーという布陣です。このメンツ(ビリー関連)にクリス・スクワイアが入っていないのが意外でしたが、クリスの穴(?)をビリーがアグレッシブにこなしています。音はクリスとのコラボレーションConspyracyそのものですが、ソングライターにトレヴァー・ラヴィンが2曲で絡んでいるから、ますますプログレの人脈は複雑になってゆく…(プログレの追っかけは面白いけど) |
【ジョンもリックもいない…】
FLY FROM HERE/ Yes (2011) |
![]() - Yes - Benoit David; Vocals Steve Howe; Guitars Chris Squire; Bass Geoff Downes ; Keyboards Alan White ; Drums Produced by Trevor Horn. Tim Weidner; Mixing. Joel Peters; Master. |
ジョンとリックが病欠となり、急遽ヴォーカルとキーボードを揃えてツアー、そのままレコーディングされたアルバム。ジョンそっくりのヴォーカルに戸惑いながら、元ドラマ・イエスのメンバーが加わって同窓会的な雰囲気も無きにしもあらず。 |
HEAVEN & EARTH / Yes (2014) |
![]() - Yes - Jon Davison; Vocals, Guitars Steve Howe; Guitars Chris Squire; Bass Geoff Downes ; Keyboards Alan White ; Drums Produced by Roy Thomas Baker. Billy Sherwood by Mixing, Engineering. |
ここ数年のイエスのメンバー交代劇は、体調不良の結果とはいえ、ジョン・アンダーソンが抜け、デビッド・ベノワが抜け… その後任にジョンの声そっくりのジョン・デイビッドソンが加入。彼はイエスのトリビュートでThe Samurai of Prog のメンバーとして♪Starship Trooperをというバンドで歌ってたというイエス人で、確かに声そっくり。ここまでそっくりな人を連れてこなくてもと思いましたが、まず、曲が良い。ジョン・アンダーソンが戻って来て歌ってもなんら違和感なし。プロデュースはQueenやThe Carsの名盤を制作している名匠Roy Thomas Baker。 さて、彼が加入後のこのアルバム、このアルバムを引っ提げての来日(2014)かと思いきや、『こわれもの』『危機』の完全再現ライヴだとか。来日前には『サード・アルバム』と『究極』の再現ライヴをやって来たばかりということ。私は中学生の息子を(彼は「無理に連れてこられた」と言っていた)つれて8人編成以来のイエスを堪能してきました。メンバー全員に、平等に歳月は降りかかり、それぞれ太った、ふけた、禿げた… などプロフィール写真とずいぶん違うじゃんかよ、と突っ込みたくなる体型でしたが、演奏は衰えをしらず。 今回のウリが完全再現だったので、、このアルバムからはたった2曲だけ。それでもこのメンバーでのオリジナルなので、とてもイエスらしい。ヴォーカルだってオリジナルだし。もしもアンダーソンが戻って来たらリストに入れるだろうな、と思えるほどイエスらしい曲。デイヴィソンの声は非常に美しいです。このアルバムは牧歌的。久々にビルボードでも30位以内に入ってきました。ジャケットもロジャー・ディーン。ミキサーは元メンバーだったBilly Sherwood。それにしても出入りが激しいバンドだなぁ… クリスのイエス・ラストアルバムになってしまいました。 |
![]() - Yes - Trevor Horn; Vocals Steve Howe; Guitars Chris Squire; Bass Geoff Downes ; Keyboards Alan White ; Drums Produced by Trevor Horn. Tim Weidner; Mixing. Joel Peters; Master. |
何が気に入らなかったのか、ヴォーカルが完全に差し替えられた状態でリミックスされたアルバム。よく見るとジャケットも変更(鷲から鹿)され、気にしなければその差さえ気づかないかもしれないかも。それほど両者のヴォーカルは良く似ている。ひいては二人ともジョン・アンダーソンを超えられないということ? リリースはプライベート盤として、当初はイエスがファンだけにリリースしたようです。その後、話題になったのか通常盤(もしかしたら日本だけ?)もリリースされました。 |
ARC OF LIFE/ Arc Of Life(2021) |
![]() - Arc Of Life- Jon Davison; Vocals, Guitars Billy Sherwood; Vocals, Bass Jimmy Haun; Guitars Dave Kerzner; Keyboards Jay Schellen; Drums |
コロナという未曾有の出来事があったとはいえ、なかなか活動を再開しない(まぁ、メンバーの年齢を考えれば致し方ないというところ…)ので、若手だけが抜け出て新たな活動をはじめたのがこのバンド。イエスと関わりがないのはギターとキーボードの二人だけなので、半数以上はイエスのメンバーで構成されています。とはいえ、創作意欲の塊であるビリーのソロ・プロジェクト的な感じなのかもしれませんが、今回はヴォーカルにハイ・トーンのJon Davisonも関わっているので、あまり変わり映えのしないビリーのサウンドにちょっとした変化があるかも… と、手を出してみましたが、やっぱりビリー、という感じ。気になるのは若手が一気に出て行ってしまった現イエスはどうなるのか… ニュー・アルバムを制作する変わりに彼等のとった活動は、かつてのアルバムの再現ライブ。その都度話題となり、ライヴ盤もリリースされているので、休止していたという雰囲気は全くなく、現在進行中のバンドであることは間違いないです。 |
THE QUEST/ Yes(2021) |
![]() - Yes- Jon Davison; Vocals, Guitars Billy Sherwood; Vocals, Bass Steve Howe; Guitars, Vocals Geoff Downes ; Keyboards Alan White ; Drums |
クリス亡き後の初めてとなるアルバム。先のArc of Lifeという活動をはじめた若手イエス・メンの活動に触発されたのか、本家が再び始動。プロデュースもハウが行なってます。イニシアチブを握ったスティーヴ色が強く、今までにないぐらい、ヴォーカルのキーが低い(笑)。そしてクリスの後任として、その重圧にも答えながら、クリスっぽいベースを奏でるビリーのがんばりが凄まじいばかりです。 今回初めてサラウンド版も制作され、かつて70年代のサラウンド・ミックスと違い、本人たちがリアルな形で音場が再現してくれたアルバム。音があっちこっち飛び回らないのが期待はずれでしたが、基本は自然なステレオ。しかし時としてハッとさせられるコーラスが背後から飛び出てきてビックリします(笑)。 |
![]() - Arc Of Life- Jon Davison; Vocals, Guitars Billy Sherwood; Vocals, Bass Jimmy Haun; Guitars Dave Kerzner; Keyboards Jay Schellen; Drums |
2021年にデビューアルバムをリリースし、本家(?)のアルバムをリリースし、翌年『危機全曲演奏』を来日披露し、ずっと出っぱなし感のあるビリー・シャーウッドの新作。名義としてはイエス3名によるメンバーが中心となっているので、ビリーのソロではないのですが、なんかそんな感じに見えてしまいます。差別化を図るためなのでしょうが、どうせならロジャー・ディーンで良かったのに(笑) |
MIRROR TO THE SKY/ Yes(2023) |
![]() - Yes- Jon Davison; Vocals, Guitars Billy Sherwood; Vocals, Bass Steve Howe; Guitars, Vocals Geoff Downes ; Keyboards Jay Schellen ; Drums |Alan White.com| |
パンデミックというストレスに刺激を受けたか、毎年のようにイエス関連の活動が活発になっています。この23作目という作品も、前作『THE QUEST』からわずか1年7ヶ月(年で表現すると2年ぶり)というスパンで制作され、ファンを驚かすと共に喜ばせてくれました。残念なことは、50年前に制作された『TALE FROM TOPOGRAPHIC OCEANS』からブレることなく屋台骨となっていたアラン・ホワイトが参加していないことでしょうか? ただ、彼の意思を注いだ3代目ドラマー、ジェイ・シェレン(←新入りと言っても60を過ぎている!)の加入が新しい血を注ぎ、メンバーの込んでくれたことは間違いありません。 |