SACDを聴く

 最近、フォーマットの中で注目しているSACD。前は大して気にも止めていなかったのですが、実際に体験してみると「もう普通のcdには戻れない!」と思ってしまうほどの衝撃を受けてしまいました。特に冨田勲氏のサラウンド化が進んでいますが、できることなら全作品お願いしたいところですが… すでにオムニバスという形でリリースされているので、オリジナルという形ではなさそうです。
 

 

01.藤壺・管弦の宴
02.武士の一分
03.文五捕物絵図
04.たそがれ清兵衛
05.仏法僧に寄せる歌
06.街道をゆく
07.アジア古都物語
08.ガンジス川
09.ヒンズーの神に祈る少女
10.ひぐらし Higrashi
11.紫の上挽歌
12.浮舟
13.新日本紀行
14.お爺さんの里
 冨田サウンド初のSACD化となることの作品は、これまでの既存曲にアレンジをほどこし、尺八の藤原道山を向かえて制作されました。さすがにサラウンドを極めたアーティストだけに、見事というほかありません。遊び心満載の会心作ではないでしょうか?ひとつの楽器のひとつの音が各chを飛び回り走り回る。たとえば琴がジャララ~ンとやれば、そのひとつぶひとつぶが水しぶきのごとく飛び回ると行った具合に。このアルバムの主役でもある尺八でさえそうしたサラウンドにはまっています。
(2008)

 

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演奏:藤岡幸夫/日本フィルハーモニー交響楽団
(ナレーション:綾戸智恵)

 冨田といったら「ジャングル大帝」を思い起こされる方も数多でしょう。初のカラーアニメとして話題にもなりましたが、ディズニーを意識して(本人談)の音楽や効果音を施していった傑作としても知られています。このアルバムは1966年に発表された交響詩に、、新たなオーケストレーションを施したアルバム。

 ただし、気を付けたいのがメインディスクのCDにはナレーションが付けられていること。これにがっかりされた方も多いようです。幸いなことに我が家はDVD-Audioが再生できる環境になったため、この後に始まる一連のサラウンド・シリーズともども、レオの無邪気な動きをはじめとするサウンド・クラウドを楽しむことができます。なので、純粋に音楽を楽しみたいリスナーは、サラウンド再生の環境を整えるほかはないようです(初めからDVD-Audioのみのリリースにしておけば、こんなにも不評を買うこともなかったか?)。
(2009)

 

01.火星
02.金星
03.水星
04.木星
05.イトカワ と はやぶさ
06.土星
07.天王星・海王星
 2011年にトミタの「惑星」がSACDにサラウンド化されたことで、我が家のサラウンド化も加速しました(笑)。

 このアルバムは、ジャケットからして過去の作品の面影もなく、新たにリメイクしていると言うから、当初は不安が先走っていました。ジャケットが「なんじゃコリャ?」なのですが、ちょっと見た感じ『マトリックス』に出てきたイカのオバケみたいなイメージなんです、私には。

 楽しみとしては、サラウンド化、音質向上に加え、新曲「小惑星イトカワと小惑星探査機はやぶさ」でした。この組曲に対して、以前流行った海王星の後の冥王星とは違って、こちらはあくまでも冨田の「惑星」なので許すことにします(笑)。

 このアルバム以降、旧アルバムのサラウンド化が進められることになりましたが、それに伴い、アルバムジャケットも今風に改められてリリースされることになります。詳しい レビュー(DVD-Audio版も含む)はこちらからどうぞ。
(2011)

 

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演奏:冨田勲/東京交響楽団

 2000年にロンドン・フィルと、作曲者本人が指揮をした『源氏物語幻想交響絵巻』のオーケストラ作品の完全版。それをサラウンド化にしたのではなく、新たに東京交響楽団を指揮したリ・レコーディング。ロンドンでのアルバムは、DVD-Audioが製作されましたが、今は廃盤となっているため、今回のリ・レコーディングはサラウンド・ファンにとって良かったのではないでしょうか?
(2011)

 

I ~転生~
01.転生(イトカワとはやぶさ)
02.永遠性(”トリスタンとイゾルデ”より”愛の死”)

II ~ 旅~
03.火星
04.金星
05.水星

III ~夜明け~
06.木星
07.日の出
08.土星
 本来ならみなとみらいで行われるはずだったライヴが悪天候で中止となり、その後、企画された幕張メッセのライヴ(2013/07/14)。小学六年の息子を夜中に連れてドーン・コーラスを聴きに行って来ました。このアルバムは、そのライヴを再現すべく編まれた作品(この時のライヴではありません)。春に『惑星』がリリースされたばかりだったので、なんだこりゃ?だったのですが、ライヴのことなどを知って納得。
(2011)

 

01.雪は踊っている
02.口笛と鐘
アート・オブ・サウンド・クリエーション *
03.アラベスク第1番
04.月の光
05.雨の庭
06.雪の上の足跡
07.沈める寺
08.アラベスク第2番*
09.夢
10.亜麻色の髪の乙女
11.パスピエ
12.ゴリウォーグのケークウォーク
13. 雲*
 ジャケットの帯には「LP時代には満足なサラウンド効果を得られなかった冨田の悲願」とあるが、おそらく当時もここまでのサラウンドを想定して制作していたかと思うと、どれだけ時代を先走っていたんだろうと、あらためて思い知らされました。ひとつのメロディの一音一音でさえ、4つのスピーカーをあちらこちらへと動き回るサラウンドに、冨田本人も、さぞや狂喜の雄叫びを上げたのではないでしょうか?今まで重なっていた音が、クリアに分離され、その一音一音がハーモニーとなって、ドビュッシーのシンプルなピアノに色彩が施される…
初めてこのアルバムを友人の家で聴かせてもらった時は、部屋の明かりを暗くして、レベルメーターだけを眺め、電子音楽という演奏者の実像が見えてこない音楽に陶酔しきっていました(中学一の頃)。ステレオ時代でさえ、ケークウォークは右に左に、はてはFMで紹介していた「スペースサイザ―360」の効果でぐるぐる回っていたのに、今回のサラウンドは、さらに上を行き、まさに圧巻。そして、サーッというホワイトノイズのような音が背後に現れて、後ろ髪を引っ張られていくような浮遊感がたまらない。
ラストのボートラは、待ちに待った「雲」 これもFMで初めて聴いてから30年以上が経過しています。ドビュッシーの夜の音楽は、フィールドやショパン、フォーレの「夜想曲」とは違う、夜が擬人化したような雰囲気。アニミズムの世界。以前、冨田の著作の中で、ホルストをDVD-Audio化した際、次のアルバムでは、この「雲」を追加してドビュッシーのアルバムをサラウンド化すると書いくれたのを読んで、ずっと待っていたのです。
(2012)


01.岩手山の大鷲<種山ヶ原の牧歌>
02.剣舞/星めぐりの歌
03.注文の多い料理店
04.風の又三郎
05.銀河鉄道の夜
06.雨にも負けず
07.岩手山の大鷲<種山ヶ原の牧歌>

~アンコール~
08.リボンの騎士
09.青い地球は誰のもの

 初音ミクの登場が、この作品の印象をどれほど冨田の構想に近づいたことでしょうか。曲はダンディやラフマニノフのメロディを借りつつも、宮澤賢治の作品に曲想を得たサウンドになっていて「いつか書いてみたい」と語っていた冨田の夢の実現の一つ。
(2013)

 

01.プロムナード~こびと
02.プロムナード~古城
03.プロムナード~チュイルリーの庭
04.ビドロ
05.プロムナード~卵の からをつけたひなの踊り
06.サミュエル・ゴールデンベルグとシュミュイレ
07.リモージュの市場
08.カタコンブ
09.死せる言葉による死者への話しかけ
10.バーバ・ヤーガの小屋
11.キエフの大門

12.シェエラザード*
13.ソラリスの海*

 冨田の2ndアルバムのサラウンド。今作もピアノがオリジナルとなる組曲ですが、なんと視覚的な音色に彩られていることでしょうか。このアルバムがリリースされた2014年の10月に、RBMA Tokyo 2014 Lectureというセミナーで、この展覧会の絵のサラウンドを視覚的に見せてくれています(youtube)。
ボーナストラックに、リムスキー・コルサコフの「シェエラザード」と「ソラリスの海」が続けて演奏されていますが、解説にある通り、確かに自然なアレンジになっているので、初めて聴く人は全く異なる2曲が合体しているとは思わないかもしれません。
(2014)

 

 

~Disk1~
01.スペース・ファンタジー2015 *
02.答えのない質問
03.パシフィック231
04.スター・ウォーズのテーマ
05.ヴィーナスの唄
06.シベリアのツングースに激突したことのあるまばゆく光る円同形の物体
08.ソルウェーグの歌
09.ホラ・スタッカート
10.牧神の午後への前奏曲
11.はげ山の一夜

~Disk2~
01.魔法使いの弟子
02.アラビアの踊り
03.トレパーク
04.交響曲第6番「田園」~第5楽章
05.花のワルツ

 冒頭の「スペース・ファンタジー2015」は、『宇宙幻想』でも1曲目を飾りましたが、収録曲が異なり、1978年のアルバムではリヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき(冒頭部分)」がオープニングとエンディングに演奏されていましたが、今回の2015年版では『バミューダ―・トライアングル』に収録されているシベリウスの「悲しきワルツ」に差し替えられています。

 今回のアルバムでは『宇宙幻想』と、それに続く『バミューダ―・トライアングル』をミックスさせたアレンジになっていて「ソラリスの海」は外されてしまいました(2014年の『展覧会の絵』に収録)が、なんとなく中途半端な印象を受けてしまうのは否めません。先の♪スペース・ファンタジー2015も繋ぎ合わせが不完全(無音がある)だし、♪ソルウェーグの歌も途中カットです。バミューダからの2曲も、どうしてこの2曲?どうしてこの場所?という疑問が… サラウンド的には全く不満はないのですが、あまりにも聞き込みすぎた結果、どうしてもオリジナルと比較してしまうのでした…

 ただDisk2は、全曲本邦初公開となる音源というファンにとっては垂涎の一枚。ディズニーの『ファンタジア』のオマージュとのことですが、あのラジオのみで聴くことのできた♪春の祭典は!?と、そっちの方が気になってしまいます。
 まだ、サラウンド化が続くのであれば、このアルバムに『火の鳥』からドビュッシーとムソルグスキーが収録されたので、新たな構想として『ストラヴィンスキー・アルバム』など制作されないでしょうか?すなわち『火の鳥』そして先の『春の祭典』とのカップリングで!ちなみに『春の祭典』は、1983年3月15日にFM東京で放送されたサウンドマーケット『冨田勲の世界』(パーソナリティ金子晴美)の中で「製作途中の…」と紹介されて聴くことができます。
(2015)

 

01.オホーツク幻想 *
02亡き王女のためのパヴァーヌ
マ・メール・ロワ
03.眠れる森の美女パヴァーヌ
04.夜の森に迷った一寸法師
05.パゴダの女王レドロネット
06.美女と野獣の対話
07.妖精の園
銀河鉄道の夜
08.ケンタウルス祭の夜→天気輪の柱
09. 白鳥の停車場
10.水晶の砂の川原
11.鳥捕りのおじさん
12. さそりの火

 2013年に製作された『イーハトーブ交響曲』の続編的な性格を持つタイトル曲。それに合わせるようにして収録された『銀河鉄道の夜』は、氏のシンセサイザー処女作として1972年に製作されたもの。それ以外は、このSACDシリーズと同じく、編集(追加、削除)された構成になっています。今回の目玉はなんといってもシンセサイザーの処女作として有名な『銀河鉄道の夜』たびたびラジオでオンエア(1980年の『日本のトップアーティスト(小松左京との対談)』、2012年の『作曲家冨田勲の世界(吉松隆との対談)』されていましたが、今回初めてCD化されたことになります。個人的にはアナログの『冨田勲の世界』が愛聴盤となりますが、どういったサラウンドを施しているかが楽しみなところ(リリースが延期されてしまいましたねー)
(2015)

 

以下のアルバムはSACDではなくCDです。

曲目はこちら

 作曲家冨田勲のNHK担当番組の音楽集。2003年にリリースされているアルバムの新装盤ということで。先の『スペース・ファンタジー』と同時にリリースされました。ただし、音源はCDなので、純粋に作曲家(演奏は他のアーティストのオリジナル音源)としての顔を楽しめます。これは2013年にNHK-FMで、作曲家の吉松隆との対談で庫出し音源として紹介されていたものも含まれていて、ファンとしては嬉しい企画です。