冨田勲の音楽に最初に触れたのは、国民的番組『料理の時間』や『ジャングル大帝』でした。それから、天文に興味が行くようになり、友人に聞かせてもらった『宇宙幻想』という、いかにも星好きが手を出しそうなタイトルであり、宇宙っぽいサウンドを聴かせてくれたアルバムでした。その後、グッド・タイミングで作家の小松左京氏との対談番組「日本のトップ・アーティスト」がNHK-FM 五夜連続で放送(1980年12月1日~5日)され、私の中で一気にトミタ・サウンドに火がついたのでした(笑) |
冨田勲の世界 |
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冨田勲の音楽に最初に触れたのは、国民的番組『料理の時間』や『ジャングル大帝』でした。それから、天文に興味が行くようになり、友人に聞かせてもらった『宇宙幻想』という、いかにも星好きが手を出しそうなタイトルであり、宇宙っぽいサウンドを聴かせてくれたアルバムでした。その後、グッド・タイミングで作家の小松左京氏との対談番組「日本のトップ・アーティスト」がNHK-FM 五夜連続で放送(1980年12月1日~5日)され、私の中で一気にトミタ・サウンドに火がついたのでした(笑) |
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「記念すべき… 」という言葉をよく使われるアルバムで、冨田氏のクラシック・シンセサイザー・シリーズの第1弾。本人の著作やラジオなどのコメントでは、日本のレコード会社のほとんどが「レコード屋の置き場がわからない」といった理由から販売を見合わせ、アメリカに横取りされた格好になった作品。それがビルボードのチャート、クラシック部門で1位になったから「さあ大変!」(笑)。私がそのことを知ったのは、ずいぶん後になってのことですが、今でも語り草になっている(本人が「してやったり!」的な意味合いでかどうかはわかりませんが、あっちこっちでしゃべるので有名な事件です、日本はどこまでも保守的な民族であると…。 |
展覧会の絵(1976) |
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プロムナードを奏でる音… 少女たちのハミングなのか… シンセサイザーの神秘的な音なのか… 初めてこの曲を聴いたときの感覚は、今もって忘れられません。いつもこの曲を聴くたびに、その時に感じた感覚を思い出させてくれます。特に小松左京氏との対談番組では、長大なオンエアで、全曲こそ流れませんでしたが、キエフの大門までよく流してくれました。そして、このアルバムでは、モーグを手なずけたとしか言いようのないほどのアレンジにあふれています。特に♪「卵のからをつけたひなの踊り」から♪「リモージュの市場」に掛けてのアレンジは、まるで絵画を見ているように、目の前に情景が広がってきます。 そしてこの作品も2014年にSACDへのサラウンド化されたUltimate Editionが制作され、ドビュッシーの時とは違って(♪「はげ山の一夜」が収録されると思っていたのに!)、未完に終わった♪「シェエラザード」の一部と、『宇宙幻想』の中から♪「ソラリスの海」が収録されました。 Billboard 200 最高位49位(1975年7月5日付)※この週のTop10も合わせてどうぞ! |
火の鳥(1977) |
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3枚目にしてオーケストラ作品をアレンジ。もっとも、前作の『展覧会の絵』も、オリジナルはピアノ曲とはいえ、ラヴェル編曲版のアレンジだったから、厳密には初のオーケストラ作品とは言えないのかもしれません。それにしても手塚治虫氏手掛けたジャケットといい、アルバム全体に漂う雰囲気と言い、まさに「音が絵になり、絵が音になり」と言えるのではないでしょうか? 特に『火の鳥』の後半、具体的には♪「カスチェイ王の魔の踊り」以降のスリリングな展開には、手に汗握るといえるでしょう。生のオーケストラでは及ばないアレンジには脱帽です。その他、ドビュッシーにしてもムソルグスキーにしても絵画的なサウンドに酔いしれてしまいます。 晩年にシリーズ化されていた《Ultimate Edition》のSACD化の対象とはならず(氏の構想の中にあったのかもしれません、幻に終わった『春の祭典』と絡めて…)、ストラヴィンスキーだけがサラウンド化されていませんでしたが、2019年にDutton Vocalionから、『ダフニスとクロエ』に引き続きSACD化が発表されました。 Billboard 200 最高位71位(1975年3月20日付)※この週のTop10も合わせてどうぞ! |
惑星(1977) |
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アレンジ、リリース共に問題の多かったホルストの『惑星』。私が初めて聞いたのは、日曜喫茶というNHK-FMのお昼の番組。流れてきたのは火星のイントロが始まる直前までのロケット打ち上げのシーン。だから厳密にはホルストの『惑星』とは言えないのですが、まさに星や宇宙の音楽を探してきた者たちにとってはたまらないサウンドでした。しかも、これぞアレンジと言わんばかりの木星以降の楽曲群。どうやら当時のレコーディング事情によるもとの言われていますが、もう脱帽ものです。そういった事情を踏まえれば、これで楽曲に忠実な展開でのあれんじだったら、もしかしたら違う結果になっていたのかもしれません。かえって面白い答えが出て、それが正解だったのではないでしょうか?最初のオルゴールが最後に鳴り響くあたりなんかも… 《Ultimate Edition》のサラウンドかも、やはりこのアルバムから始まりました。 |
宇宙幻想(1978) |
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『惑星』に続くスペース・サウンド。今回はオムニバス形式によるアレンジで、冨田氏の得意な現代音楽が占めています。例外はバッハでしょうか?ワーグナーあたりも珍しい気がします。そして、アメリカナイズされた最初のアルバムで、アメリカ盤のCDではタイトルも『KOSMOS』(CではなくKで始まる)1曲目が♪「スター・ウォーズのテーマ」で、日本盤とアレンジまで異なっています。また、このアルバムからはカール・セーガンの『コスモス』で、♪答えのない質問、♪ソラリスの海が印象的なシーンで選曲されています。 2015年の《Ultimate Edition》のサラウンド化では、すでに♪ ソラリスの海はの『展覧会の絵』に収録されているので外されてしまいました。 |
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私が最初に買った冨田氏のレコード。当初、曲目の意味が分からず、のちに冨田氏の創作によるタイトルで、オリジナルのクラシック音楽をカモフラージュさせたものでることが判明(笑)安心して購入しました(笑)。このころ、ラジオに出演する番組を欠かさず聴いていましたが、このバミューダについてはほとんど触れていなかったので、手を出す際「クラシック音楽のシンセサイザーじゃない?」と購入をためらったことを思い出します。 |
ダフニスとクロエ(1979) |
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このアルバムが、冨田勲を聴き始めたころにニューアルバムとしてリリースされたばかりでした。特にラジオスペシャルの松本零士のドラマでは、♪マ・メール・ロアが頻繁に使われていました(銀河鉄道999、千年女王 etc.)。ただ、惑星のレコーディングの時にもあった、レコーディング上の制限(収録時間)で、ボレロが最後まで演奏されず。とはいえ、そこはそれ、アレンジによって終わることなく彼方に飛んでいくというオチが用意されていました。 なお、2019年には、当時のレコーディング・フォーマットを生かした4チャンネルステレオでのSACD化がDutton Vocalionからリリースされました。 |
大峡谷(1983)
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このアルバムの前に、ベスト盤として『VOYAGE』があり、その中にルロイ・アンダーソンの♪シンコペーデット・クロックがニュー・レコーディングされていました。1982年にリリースされた『大峡谷』のCD化の際、追加で収録されました。同じアメリカ人作曲家の楽曲だけあって、雰囲気を壊すことなく聞くことができます。 |
DAWN CHORUS(1984) |
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天界の音楽、というのはこういうことなんだろうなぁ、という一つの回答というのでしょうか? 星からの電波をとらえ、視覚的に光度変化を波としてプロットすると、楽器の奏でる音の波形に似ていると気づいたことから、国内の電波天文台から様々な星の波形を収集してオーケストラを結成しました。こうした変換作業で生まれた音色のほかにも、実際に聞くことのできるドーン・コーラスの音が効果的に使われています。これらの試みは、この一作で終わってしまったのが残念なところ。 |
バッハ・ファンタジー(1996) |
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なんとオールバッハ! しかもまったくワルター(あるいはウェンディ)・カーロスとも違う冨田のバッハ… どういう経緯での制作なのかはわかりませんが、シンセサイザーの作品集としてはNHKのドキュメンタリー『蒼き狼』以来の作品集となります。これまでのクラシックの作品をシンセサイザーで演奏したシリーズとは、若干感触が違うと感じたのは私だけでしょうか? 音色は冨田氏らしいものから、他のアーティストが使っている音色まで使われていますが、過去の作品の再編成(?)もあり、できたら今まで演奏されなかった曲をアレンジしてほしかったなぁ、と思います。具体的には♪主よ、人の望みの喜びよと♪惑星ソラリスの海。このあと、クラシック作品をシンセサイザーで演奏するというスタイルはなくなってしまいました。 |