番組(コスモス)では、ヴァンゲリス以外にもシンセサイザー・アーティストの作品が幾つか使用されています。私たち日本人には嬉しいことに(ただし本職は作曲家なのでシンセサイザーアーティストと表現するのはどうかと思いますが)、冨田勲の演奏が使用されています。特に頻繁に登場するのは、5枚目のアルバムである『宇宙幻想』に収録されている“ソラリスの海”です。 『THE MUSIC OF COSMOS』にも版権の問題もなく収録されています。残念なのは、1980年の最初に放映されたシーンでは、“答えのない質問”(第3話『宇宙の調和』)や、彼のシンセサイザー作品としてはオリジナル作品であり、処女作とされる“銀河鉄道の夜”(第2話『宇宙の音楽』)から「鳥捕りのおじさん」も使用されていたのですが、DVD化されたときに差し替えられてしまいました。 |
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冨田とセーガンがTBSの座談会が縁で、後にニューヨークで再会した際「実はあなたのシンセサイザーのアルバムからボイジャーに一曲載せようと思って、あなたのRCAレコード担当ディレクターのトーマス・シェパード氏にお願いしたら断られましたよ」(冨田勲著『音の雲』NHK出版より。以下「」内は同様)と、意外な話をもちかけられました。 冨田はセーガンにどうして断られたかを尋ねると「宇宙人がきちんと印税を払ってくれる保証がないから」という理由で。ディレクターにその件を尋ねると「ボイジャーに載せるだけならいいんです。彼は同じレコードを彼のプロダクションで何枚も複製して地球人のために売ろうとしているので。その分の使用料は払って欲しいと言ったんです」冨田は納得せざるを得なかったようですが、セーガンはそれまでの宇宙開発に関わる事業で、利益にならないようなことにも奉仕していたので、「それぐらいは目をつむってあげてもよいのではないかと思った」そうです。 |