星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

 番組(コスモス)では、ヴァンゲリス以外にもシンセサイザー・アーティストの作品が幾つか使用されています。私たち日本人には嬉しいことに(ただし本職は作曲家なのでシンセサイザーアーティストと表現するのはどうかと思いますが)、冨田勲の演奏が使用されています。特に頻繁に登場するのは、5枚目のアルバムである『宇宙幻想』に収録されている“ソラリスの海”です。

  『THE MUSIC OF COSMOS』にも版権の問題もなく収録されています。残念なのは、1980年の最初に放映されたシーンでは、“答えのない質問”(第3話『宇宙の調和』)や、彼のシンセサイザー作品としてはオリジナル作品であり、処女作とされる“銀河鉄道の夜”(第2話『宇宙の音楽』)から「鳥捕りのおじさん」も使用されていたのですが、DVD化されたときに差し替えられてしまいました。

宇宙幻想
01. スペース・ファンタジー
02. パシフィック231
03. 答えのない質問
04. スター・ウォーズのテーマ
05. アランフェス
06. ソルウェーグの歌
07. ホラ・スタッカート
08. ソラリスの海




銀河鉄道の夜(冨田勲の世界)
オホーツク幻想
 せっかくなのでエピソード2のエンディングで使われていた冨田勲オリジナルの『銀河鉄道の夜』から「鳥採りのおじさん」を紹介します。現時点では、アナログ盤の『冨田勲の世界』でしか聴くことはできませんでしたが、2015年になって作曲された『オホーツク幻想』という楽曲をまとめたアルバムに、初めてCD化となりました。冨田勲の初期シンセサイザー作品としてファンから人気のある楽曲です。鳥採りのおじさんが吹く口笛のパートが、想像の宇宙船が銀河に向かっていくシーンで使われていました。



 冨田とセーガンがTBSの座談会が縁で、後にニューヨークで再会した際「実はあなたのシンセサイザーのアルバムからボイジャーに一曲載せようと思って、あなたのRCAレコード担当ディレクターのトーマス・シェパード氏にお願いしたら断られましたよ」(冨田勲著『音の雲』NHK出版より。以下「」内は同様)と、意外な話をもちかけられました。

  冨田はセーガンにどうして断られたかを尋ねると「宇宙人がきちんと印税を払ってくれる保証がないから」という理由で。ディレクターにその件を尋ねると「ボイジャーに載せるだけならいいんです。彼は同じレコードを彼のプロダクションで何枚も複製して地球人のために売ろうとしているので。その分の使用料は払って欲しいと言ったんです」冨田は納得せざるを得なかったようですが、セーガンはそれまでの宇宙開発に関わる事業で、利益にならないようなことにも奉仕していたので、「それぐらいは目をつむってあげてもよいのではないかと思った」そうです。



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