7月26日(月)「ホタル狩り」晴れ時々曇り。

 妻と、義母さんと3人で市原市民の森までホタル狩りに行った。ここへは昨年も訪れたことがあり、そのときの体験から今年も行きたいという妻の希望を叶えた形になったのである。もう7月も月末になると、青々と風に揺れる棚田には農薬がまかれる。だからこれから見に行こうとしている場所もホタル狩りには遅いかもしれないと思った。しかし去年は8月に入ってからでも十分に飛んでいたので、まぁだいじょうぶだろうと思うことにしたのである。

 しばらく見ない間に宵の明星の日没時の高度も低くなり、千代田からだと視界の狭い住宅地からはもう見えなくなってしまった。今日は梅雨明け間もない空だからなのか、それとも秋を感じさせる雲がスーッと青空に架かっているせいなのか、夕焼けが赤く染まることなく群青色のまま暮れていった。西空を真っ赤に染めてゆく空もいいが、僕は青空がのまま色を濃くしながら暮れてゆく方が好きだ。いうまでもなく、それは大気の汚れに左右される現象なので、特に汚れているときほど美しいオレンジ色に空全体が染まってしまう。そんな汚れた空の下で星空を眺めたって、微星の光が届かないことが初めからわかっていれば、赤く染まる光景があまりありがたいとは思えないのだ。

 梅雨も明け、これから本格的な夏が訪れるのか、昼間は30度近く、またテレビからは各地で30度を超えるところが後を絶たなかった。空気までもが焼けてしまいそうな日は、やはり赤く染まる夕焼けよりも、青空がだんだん暗くなって群青色から夜の色に変わっていく方が、体中にこもっていた熱気が静かに夜の中へ吸い込まれてゆくのがわかる「ほっ」とできる一時だと思う。

 目的地について、しばらくハザードを付けっぱなしにしておくと、遠くから1匹、また1匹とふわふわ近づく姿が目にとまった。草陰で静かに羽をこすり合わせパートナーに呼び掛ける虫たちは、川のせせらぎとリズムを併せるかのように静かにメロディを奏でている。時々それらの声に混じってカジカの鳴き声も聞こえてくるし、見上げれば満天の星が… などとうまくいけば言うことないのに、星空の方は表情がわかるぐらいの白い雲がつぎからつぎへと森の上にせり出してきたかと思うと流れてゆく。
 ホタルの方は去年と比べると集まる数が減っているように感じたが、それでも頭上に見えている星の数よりかはずっと多いようだった。しばらくは「あっちから来た来た」とか「ほらほらそこの下の方に…」などとホタルの出現に気を取られていたら、その間に星空のほうは雲の彼方に遠のいてしまったようだ。その時ぐっとホタルの数が増えたもんだから「空から舞い降りたのかしらん?」などと一人ごちてみる。

---星空夜話(1999)

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