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星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)|
直下の2冊(星のない夜に楽しむ本、星の年表)が、まさか斉田さんの執筆されたということを知ったのは、私が『星を近づけた人びと』を読んだ後のことでした。
『星の手帖』への執筆も多かったし。とにかく斉田さんの作品は、星のソムリエのネタ帳にはかかせないような天文関連の、あまり表立って登場しないようなエピソードが満載なのです。
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「おはなし」シリーズ
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【おはなし天文学 新装版】
地人書館(2000年10月15日発行)
【おはなし星座教室】
地人書館(1980年10月1日発行)
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先の「星を近づけた人々」の話題をも盛り込んだエピソード集で、こちらはちょっと低学年向けといった感じのする体裁で書かれています。だからといって内容は相変わらずで、古今東西の天文学者達が繰り広げた発見物語に終始しています。
著者が嘆くように、多くの天文学者の伝記では、その発見した事実だけを記述し、そこに到るまでのエピソードというものは、ほとんど書かれていません。ここでも、天文学者が発見に到る道のりが、読みやすい文体(この文章力も、並大抵のことではありません)なので、次々へと話が進んでいきます。曇った日に読む書籍としては最上の本でありますが、あっという間に読んでしまえそうで、それで晴れ上がってくれれば一石二鳥なのですが・・・
なお、このシリーズは「天文と気象」という月刊誌に連載され、1973年に単行本として纏められたのが初出です。その際、書籍のタイトルは『おはなし天文学』ではなく、それぞれにタイトルをもち、「おはなし天文学」が副題的となり1、2、3、4と巻数が振られました。現在は副題を無くし、『おはなし天文学』にそれぞれ1、2、3、4と振られ、新装版として読むことが出来ます。 |
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おはなし天文学1
「うつりゆく天の極」
1973
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2000(新装版) |
怪天体あらわる! |
宇宙のなかの太陽 |
黒点周期の発見 |
太陽は光の道すじを変える |
地球上の緯度と経度 |
その線は見えないが |
移りゆく天の極―地球と月の場合 |
水金地火木土天海冥 |
チチウス‐ボーデの法則を改良する |
星の軌道をきめる |
まぼろしの惑星バルカンを求めて |
一日にお正月が二回もある世界 |
太陽が西から昇る金星 |
青年ホロックスの歴史的観測 |
悲劇の観測 |
ローウェルと火星の運河 |
火星に生物がいるだろうか |
火星人は空想の世界に |
火星の衛星フォボスのなぞ |
付録:望遠鏡の発明者は誰?
色消しレンズ発明の舞台裏 |
付録:色消しレンズ発明の舞台裏 |
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おはなし天文学2
「ナゾの木星大赤斑」
1973 |
2000(新装版) |
小惑星発見競争の幕あき
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写真を調べる時代 |
イカルスを追え! |
小惑星トロをめぐって |
小さなからだにひそむナゾ |
ナゾの木星大赤斑 |
ガリレオ衛星と世界地図 |
光の速さとレーマー |
消えることのある土星の輪 |
ジンギスカンに不吉な星のならび |
ハーシェルと天王星の発見 |
紙とペンで発見した海王星 |
三七〇万個の星の中から |
冥王星がやって来た |
つかの間の逆まわり惑星 |
ハレー彗星の確認 |
悪魔の星から天体へ変身した彗星 |
エンケ彗星のよろめき |
なぞのシュワスマン‐ワハマン彗星 |
ビーラ彗星は生きている? |
三三年ごとの大流星雨 |
彗星の落とし子、流星群 |
付録
友情で生まれた電波天文学 |
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おはなし天文学3
「地球の雲状衛星
」
1973 |
2000(新装版) |
皆既日食を見ずして結構というなかれ |
義と和が予報に失敗した日食 |
タレスの日食予報はまぐれ当たり |
キリスト死刑の日に日食が起こったか |
皆既時間の長い日食 |
日食はいつやってくるか |
太陽に情熱をそそいだジャンサン |
曇ったペリー日食狂騒曲 |
日食――そのとき動物はなにをしたか |
大地はまるかった |
コロンブスの発見は誤算のおかげ |
地球には雲のような衛星がある |
月の衛星をさがした人たち |
休むことを知らぬ月 |
地球の照り返し |
地平線に見える月はなぜ大きい |
隕石とジェファーソン大統領 |
バリンジャー隕石孔ものがたり |
付録
天体写真のはじまり |
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おはなし天文学4
「太陽系発見の証明」
1973 |
2000(新装版) |
悲劇の星占い |
彗星珍説ラインアップ |
バーナード――アマチュア時代の苦闘 |
失われた彗星、小惑星の発掘 |
隕石、流星は天体だった! |
月人デッチあげ事件始末記 |
最初の月面スケッチ |
カリントンの幽霊屋敷 |
太陽黒点の発見 |
太陽周期と地球現象との関連性を求めて |
七十年間黒点が見えなかった! |
一度は確認された金星の衛星 |
金星にヒマラヤを見た |
《ホイヘンス土星の環十四番勝負》
その前夜 |
《ホイヘンス土星の環十四番勝負》 なぞのアナグラム |
《ホイヘンス土星の環十四番勝負》
環の厚さに対する苦悩 |
《ホイヘンス土星の環十四番勝負》 傷だらけの勝利 |
発見者を決めるルール |
ハーシェルは天王星の環を見たか |
学界をわかした海王星の環 |
へんな天文学者ニコルソン |
四八歳からの転身 |
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斉田博さんは1978年に創刊された『星の手帖』創刊号から1982年の17号まで(11号はお休みしました)
『星を近づけた人びと』の続編ともいえる「天文意外史」というタイトルで連載を執筆してくれました。こちらは、単行本になるにあたり『宇宙の挑戦者』という単行本にまとめられました(加筆とともに掲載されなかったエピソードも追加されています)。
ただ、残念なことにVol.18には「天文意外史」ではなく、斉田さんの訃報が掲載され、氏のご冥福をお祈りするとともに、とても残念に思いました。
このシリーズを引き継ぐ形で、VOL.31から天文屋・石田五郎さんが「天文史」を担当しています。 |
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