【映画に見るギリシア神話】
 西洋人にとってのギリシア神話は、自らのルーツを語る上でも欠かすことの出来ない重要な物語であり楽しみのひとつと言えるでしょう。映画の世界でもCGなどのデジタル処理によって、伝説でしかなかった想像上の生物を蘇らすことができ、クリエイターたちの想像力をかき立て続けています。ここではDVDで簡単に入手することができるギリシア神話を題材とした作品をご紹介します。(2015年6月4日更新)


【アルゴ探検隊の大冒険】 -1963-
 ストップモーションの巨匠、レイ・ハリーハウゼンが創作した代表作にして、アポロニウス原作『アルゴナウティカ』の完全映画化。今の技術からすれば、のちの『アルゴノーツ』の方が遙かに上を行くが、このストップモーションによる映像は、技術云々はすでに超越しており、“映画を創る”人間の創造力のすばらしさを垣間見ることができるでしょう。個人的には青銅の巨人テイロスが錆び付いた音と共に動き出すシーンや、ドクロ戦士の戦闘シーンなど、活字で読みあさって自分なりに想像していた古の記憶と重なり、これぞギリシア神話を描いた映像と思わずにはいられない名シーンとして深く脳裏に焼き付いています。


【エレクトラ】 -1963-
 トロイ戦争の後日譚。ギリシア方の大将アガメムノン(Theodore Demetriou)にまつわる題材。リヒャルトシュトラウスも取り上げてます。主人公のエレクトラにはイレーネ・パパス。彼女はギリシア人俳優なので、この手の映画には多数出演しています。なので、あまり続けてみると「あれっ!? さっき殺された人じゃなかったっけ?」などと、余計な気をまわしてしまいそうです(笑)。  


【アポロンの地獄】 -1967-
 原作はソポクレスのオイディプス王のお話(スフィンクスが出てくるあの話)。これをもとに現代〜古代〜現代に場面転換するという手法をとっています。


【王女メディア】 -1969-
 オペラ歌手のマリア・カラス主演の魔女メディアの物語。


【トロイアの女】 -1971-
 トロイ戦争の後日譚。ギリシア方の大将アガメムノンの弟メネラオス(パトリック・マギー)にまつわる題材。原作は古代ギリシアの三大悲劇作家エウリピデス。アンドロマケにヴァネッサ・レッドグレイヴ。絶世の美女ヘレンはイレーネ・パパス。先の「エレクトラ」では主役でしから、続けて見るのはお勧めしません(笑)。
 イレーネ・パパスといえば、音楽ファンにはヴァンゲリスとのコラボレートが有名でしょうか。いろんなところでつながるつながる…


【タイタンの戦い】 -1981-
 こちらもレイ・ハリーハウゼンによるもので、前作よりロマンチックな作風となっている。というのも題材が星座神話の中でも有名な古代エチオピア王国の物語で、アンドロメダとペルセウスの物語。ストップモーションも随所に見られ、特にメドゥーサの表情や動きはさながら神話の世界そのもの。確かに今の技術から見れば笑っちゃうぐらいにチープなものに見えるかもしれませんが、スピルバーグやルーカス他、SF映画の第一人者たちが揃ってレイのこれらストップモーションに憧れていたと、口を揃えてコメントしているあたり、わかる人にはわかる(制作者側)名作中の名作。ゼウス役にははまり役と言えるかもしれないローレンス・オリビエが登場。貫禄あり。
 2010年春、リメイクによる新作が公開されました。題材はアンドロメダとペルセウスの物語ですが、色々な意味で別物(笑)

 

【オデュッセイア】 -1997-
 ホメロス原作の『オデッセイア』を、あのフランシスフォード・コッポラ監督がテレビ用の作品として手がけた映画(といっても実際にメガホンを取っているのはロシアのアンドレイ・コンチャロフスキー監督)。ながらくビデオのみ(しかも国内未発売で、衛星で放送されたことがあっただけ)だったのが、ようやくDVD化されました。主人公のオデッセウスはアーマンド・アサンテ。(続きを読む


【アルゴノーツ】-2000-
 アポロニウスの『アルゴナウティカ』が原作であり、レイ・ハリーハウゼン監督のストップモーションの大傑作『アルゴ探検隊の大冒険』のリメイク版。最近のCGによる特撮は、こういった伝説モノには最大限の威力を存分に堪能することができますが、この映画もその恩恵にあずかったと言えるでしょう。ゼウスはギリシア彫刻で見たのと同じような顔の役者を起用しています。ちょっと威厳に掛ける(笑)か。(続きを読む


【ギリシア神話】
 セサミ・ストリートのパペットで有名なジム・ヘンソンが制作、マイケル・ガンボンが語り部となって【ダイダロスとイカロス】【オルペウスとエウリュディケ】【ペルセウスとメドゥサ】【テセウスとミノタウロス】の4話を紹介してくれます。そのうち3話が星座神話と関わりの深いものです。

【オデュッセイア】 -2008-
 ホメロス原作の『オデッセイア』が、今度は『ハムナプトラ』でイムホテップ役だったアーノルド・ヴォスルーが演じて製作されました。エピソードとしては、長大な叙事詩を描くのではなく、一つの英雄伝を丹念に(原作に脚色した形で)描いています。全編的な展開を期待すると肩すかしを食らうかもしれません。


【イリアス】他、叙事詩の環をコンパクトにまとめたのが、ここで紹介する三作で、特に2004年作となる『トロイ』はオリンピックの開催がギリシアに戻った年に公開され、人気俳優を起用したハリウッド超大作となりました。

私にとっても好きな作品であるので、こちらは、ちょっとだけ楽しんでみようかと思います。
 →別ページを覗いてみる トロイ


 

 


   
 そうこうしているうちに時は流れ、映画公開から4年目に、(ようやくというか)ディレクターズカット版がリリースされました。公開当初から、これだけお金を掛けているのに、まして巷ではディレクターズカットという物が流行、DVDという商品として売られる際には、ほとんどといって良いほど「ディレクターズカット」になっているのに「どうして?」という思いがずーっとありましたが、ようやく解消! 

 さて、いつのまにか発売されていたこのディスク。本編が163分から196分へと3時間を超える大作となっています。初回盤と同じ二枚組ですが内容が変更されました。特典映像については、廉価盤から1枚ものになり映像特典がすべてカットされましたが、復活。トロイの舞台裏、トロイに迫る、ギリシャ船という3つのコンテンツがついかされましたが、ギリシャ神話ギャラリーがカットされています。あと本編の開始前に監督、ウォルフガング・ペーターゼンによるイントロダクションが入ってます(スキップ可能)。オーディオコメンタリーは入っていません。

 それにしても30分拡大版である本作は、消化不良気味だったこの映画の魅力をようやく十分に伝えてくれるものになりました。ご覧になった方は、最初から満足だった方もいらっしゃるでしょうが、やはり原典としてホメロスの叙事詩の名をオープニングで謳っているので、劇場公開版は、個々のキャラクターの性格付けが薄いという印象は拭えませんでした。

 

 


 以下に紹介する映画は、正直言って「ギリシア神話」と言って良いものなのかどうか迷ってしまいます。確かに「ギリシア神話」に登場するキャラクターがこぞって銀幕に登場しますが、その内容は現代作家、脚本家の手による創作だからです。
 まぁ、もともとギリシア神話なんてどこの誰が想像したかわからない人類の遺産でもありますから(私はこのような脚色はあまり気にしません)。そんなこと言っちゃったら、映画化されたギリシア神話はすべて当てはまっちゃいます。逆に「映画だから」と割り切って楽しんでいるところもあります。


とはいえ、あまりにも内容が書き換えられてしまうのには閉口してしまいますが・・・




タイタンの戦い

 アバターを見てないときにこの映画をみたので、そのイメージもなく、すんなりと坊主頭のペルセウスを、なんら違和感もなく入り込めました。

 この映画でもハデスは悪役。ゼウスにはリーアム・ニースン。ハリーハウゼンのオマージュキャラクターが多数出演。ストーリーは大胆に書き換えられてしまっていますが、語り部が変わればそんなもん、と割り切って楽しみましょう! 今一度、ハリーハウゼン版を見てからだと、楽しさ倍増!


 古典のリメイクは2014年現在ここまで(このぐらい)、としておきましょうか。

 以下に紹介する作品は、ギリシア神話のキャラクターたちが現代作家(脚本家)の手によって生まれ変わった作品、という映画たちです。

 映画になった時点で、いろいろな設定変更はやむを得ず。「映画のギリシア神話」と割り切ってみると楽しめると思います。今後、こうした作品は映画作家の手によって、ますます制作されていくのではないでしょうか?

 

【ヘラクレス】

 ハリウッド版「ヘラクレス」は監督がブレット・ラトナー 、ギリシア神話最大の英雄を演じるのはWWEのスーパースター、ザ・ロックことドウェイン・ジョンソン。そして「トロイ」と同じく大作の陰にケーブルテレビ版あるのですが、この英雄の場合は、ロードショーされたもう一つの映画が存在します。日本では一足お先にロードショー公開された「ザ・ヘラクレス」は監督がレニー・ハーリン 、ヘラクレスをケラン・ラッツが演じ、こちらは撮影段階から3Dで制作していたという正真正銘の3Dシネマだったので、見たかったのですが、願いかなわず。

 そして、アメリカは金が余っているのか、なんなのか? もうひとつのWWEスーパースターが絡んでいる「ヘラクレス〜帝国の侵略~ [DVD] 」が製作されました。2015年現在は元WWEスーパースターであるジョン・モリソンことジョン・ヘニガン、監督はニック・リオン 。ポスターにはしっかり「WWE'S」とクレジットされていますけと… ちょっと似合わないかなぁ、といった印象があります。こちらは日本での公開はなく、DVDのみのリリースです。
 なお、原題は「REBORN」となっているので、神話を題材にしているというよりも、ヘラクレスというキャラクターを使って(英雄の生まれ変わり)、暴れまわるといったストーリーです。

 というわけで、今まで様々な監督&俳優がチャレンジしてきたヘラクレスに、新たな1ページが刻まれるでしょうか。三者三様ですが、どれが好みかと言ったら、貫禄から言っても、美男子という英雄ではないので、体型から言ってもロック様に分がありかなーと(WWE贔屓です…)。

ちなみにヘラクレスはギリシア神話名、ヘルクレスはローマ神話と星座名、英語ではハーキュリーです。

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々
 コピーに「ファンタジー」とある通りの内容です。ギリシア神話に登場するキャラクターが多数登場してくれるので、ファンにとっては嬉しいかもしれません。ギリシア神話を読んでおくと、更に楽しめます。

 ゼウスにショーン・ビーン(ロード・オブ・ザ・リングでボロミア役)。メデゥーサにユマ・サーマン(美しすぎる!)。今まで見てきたケイローンとしては最もバランスがとれた(笑)ピアース・ブロスナン。洋楽ファンならニヤリとさせられるシーンがいくつも。ハデスなんてアリス・クーパーに演らせればいいのに、と思ったもんです。

インモータルズ −神々の戦い−

 にわかに映画界にギリシア神話ブームがやって来たのでしょうか? 『タイタンの戦い』のオマージュ作品やら『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』など。
 
そこに来て今度はゲーム「WAR OF THE GOD」がベースになった『IMMORTALS』が公開されました。憎っくき悪役(観客の嫌悪感を見事に掴んだ)にアカデミーでもノミネートされた『レスラー』のミッキー・ロークが演じています。主役はギリシア神話三大英雄の一人に数えられることもある地味なテーセウス。非常に楽しみにしていた映画だったのですが、この映画の残虐シーンと言ったら、まるで『バイオ・ハザード』とか見ているよう。そして拷問シーンとか(男性は股間を押さえたくなっちゃいますわ)ふんだんに描かれていますが、何が言いたいんだ、この映画は、と思いました。これはギリシア神話を楽しむ映画とは、ちょっと路線が違います。気を付けましょう(笑)


タイタンの逆襲
  2010年に名作「タイタンの戦い」をリメイクしたキャスティングで制作された続編。ギリシア神話のキャラクターを起用してはいますが、この作品は完全な現代作家(脚本)たちの創作になるわけで、ここで紹介するのもどうかと迷いました。この映画が公開される前に、すでに第三弾の制作が発表されました。
 ペルセウスがアンドロメダを救いだし… ここまでは古典で読むことができるギリシア神話どおりですが、その続編である今作は現在の創作なので、純粋にギリシア神話の説話ではありません。「ああ、やっぱり本を読んでいるのが一番だ・・・」などと思ってしまったり。


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