星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

夜想曲(ノクターン)や、それに近い曲をご紹介します。星空を眺める際のB.G.M.の選曲にどうぞ。
 「夜想曲(やそうきょく)」なんて素敵な和訳でしょうか。もともとラテン語の「Nox」という「夜」を意味する言葉が語源になっています。そのラテン語も、元をたどるとギリシア神話に登場する「夜の女神ニュクス(Nyx)」にたどり着きます。明治大正の頃、西洋文化が日本に輸入された際「Nocturn」の訳語として、「夜想曲」があてはめられたそうですが、「夜曲」としなかったところに、これを訳した人のセンスの高さが伺われます。ただし、「夜曲」に関しては、すでにセレナードの訳語として使っていたこともあり、混同を避けるために「夜想曲」としたとか。命名時の記録が残されていないので「いつ、誰が」ということは全くわかりません。

また、夜想曲を英語で「ノクターン」、イタリア語で「ノットゥルノ」、フランス語で「ノクチュルヌ」と言いますが、どれも同じタイプの曲です。似たような形式に「セレナード」があり、モーツァルトは(恋人や女性を讃えるための曲として)好んで書き、ハイドンは弦楽合奏(三重奏や四重奏)に「セレナード」と表現せず、「ノクターン」と題した弦楽四重奏曲(Op.1-1/1-2/1-4/2-1/2-6)を書いています。そうした曲もいずれ紹介していこうと思います(とにかくハイドンはいい!)。

 さて、私の夜想曲(ノクターン)探しは、ジョン・フィールド的な曲です。星を眺めるときのB.G.M.として穏やかな雰囲気が漂う曲を探しています。中には組曲や曲集の中に置かれた夜想曲もあれば(グリーグ、メンデルスゾーン)、ショパンやフォーレのように夜想曲だけでまとめた大型の作品集も存在します。

 しかし、フィールドが魅せてくれるような、全曲穏やかなノクターンとなると、やや単調になるきらいがあるのか、ショパンやフォーレは、フィールド的な性格の中に、コントラスト(静と動)を置くことによって、ピアニスティックな一面を見せてくれています。ピアニストの立場に立ってみると、そちらの方が「見せ場」があるから好まれるのでしょう。私の求めている静かな曲想ならまだしも、そうしたピアニステックな性格を持つ曲想だと、「静かな星の瞬く夜」とは遠くなってしまいます。

 こうなると、私の求める夜想曲としては、不向きになのです。夜想曲を探していると「夜想曲」というタイトルではないにも関わらず、タイトルに夜の情景を思い起こさせる曲(いわるゆ抒情楽章のような)や、やはりアダージョで書かれている曲に夜想曲的な性格を見つけることができます。それらの曲は夜想曲、と銘打ってくれれば仲間に入れてあげるのに~と思うわけです(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン)。



19世紀ロシアの夜想曲集 第1集 -2023-


ミハイル・グリンカ[1804-1857]
カルル・ハルトクノフ[1796-1834]
アントン・ルビンシテイン[1829-1894]
ピョートル・チャイコフスキー[1840-1893]
アレクサンドル・スクリャービン[1872-1915]
コンスタンチン・アンチーポフ[1859-1927]
アレクサンドル・グラズノフ[1865-1936]
ヴァシーリー・カリンニコフ[1866-1901]

 バート・ファン・オート(Bart van Oort)による夜想曲シリーズ。今回はロシア物にスポットを当てているようです(前回は広くヨーロッパ)。夜想曲の創始者フィールドがロシアにゆかりを持っているためで、このアルバムのオープニングを飾っているグリンカなどフィールドに師事した一人です。

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