星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

Fernand de la Tombelle, 1854-1928
 
 

弦楽四重奏曲 ホ長調 Op.36
I. Largo ma non troppo - Allegro
II. Allegretto assai scherzando
III. Adagio con molto sepressione
I. Allegro con brio

マンデルリング四重奏団
(Mandelring Quartett)
Sebastian Schmitdt; Violin
Nanette Schmitdt; Violin
Andreas Willwohl; Viola
Bernhard Schmitdt; Cello



 1854年生まれのフェルナン・ド・ラ・トンベルは、ドビュッシーやラヴェルの先輩格にあたるフランスの作曲家です。メーカーなどのプロフィールには天文学者という言葉があり、思わず飛びついてしまった一枚(他に民謡収集家、詩人、画家、彫刻家、写真家などなど多彩な顔を持っている。今と違って何でもアリの時代が感じられますねぇ)。
  なかなか演奏される機会のない作曲家のようですが、この弦楽四重奏曲に限っては、すでに2012年に世界初録音としてサティ四重奏団のレコーディングがあり、そこには作品35のピアノ三重奏曲も含まれています。カタログ上では2枚目となる初レコーディングのようですが、マンデルリング四重奏団は、私の好きなラヴェルとのカップリング。

 トンベルはプロフィールにある「天文学者」というよりは、サン=サーンスやケックランのようなアマチュア天文家だったのかもしれません。だからといってプロフィールのような経歴(天文学者)を持っていなかったとしても、星空への興味を持った作曲家の作品は、それだけでも興味深く接してしまいます。

 このアルバムに収録されている弦楽四重奏曲は、他のフランスの作曲家と同じく番号がついておらず、すなわち1曲しか作曲していません。第1楽章はゆったりとした雰囲気で始まる抒情楽章は、星を眺めながら見るにはピッタリ。ということはもしかしてトンベルはそんな情景を思い浮かべながら書いたのでしょうか? 夜想曲の中に混じって聴きたい楽章です。他の三つの楽章も調性音楽なので聴きやすく、ロマン派といった雰囲気の曲。





 
 

チェロ・ソナタ ニ短調 Op.36
I. Allegro
II. Lentement
III. Allegro vivace

チェロとピアノのためのアンダンテ・エスプレッシヴォ

Nadine Deleury; Cello / Mary Siciliano; Piano

☆☆☆

ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 Op.40
I. Allegro agitato
II. Andante
III. Allegro molto

雲の上で
子守歌
月の光
あなたの青い瞳を閉じて

Lillian Scheirich; Violin / Mary Siciliano; Piano

 もう一枚トンベルで探し当てたのはヴァイオリンとチェロが主役の室内楽集。やっぱり静かに星空を眺めたい私には、オケより室内楽の方に目が向いてしまいます。そんな期待を胸に、まずはチェロソナタから聴き始めましたが、こちらもロマン派の、演奏家が眉間にしわを寄せて弾きまくっている情景が目に浮かんでくるような作品から始まります。次のチェロとピアノのためのアンダンテは、朗々と歌うような単一楽章で、やはりロマン派の香り漂うメロディの曲。
 主役がチェロからヴァイオリンに代わるのは3曲目から。ヴァイオリンソナタ、そしてヴァイオリンのための小品へと続きます。どの曲も瞑想的で、技巧的というよりは「聴かせる」タイプ。そしていずれの曲もピアノが伴奏というよりは、「のための」というぐらいですから、ピアノも重要なメロディで、チェロ、ヴァイオリンに寄り添っています。なのでピアノだけの作品も聴いてみたくなります(探してみよう)。ソナタの第2楽章など、穏やかな星空を想像したくなるような楽想が展開します。

 そしてお目当ては、1889年に書かれたヴァイオリンとピアノのための「月の光」。もとは歌曲なのかなぁと思えるようなメロディ。ドビュッシーとはまた違った静かなセレナーデ。


 





Fernand de la Tombelle(1854-1928)

 
~1850年代生まれの作曲家~
ヴァンサン・ダンディ(1851-1931)

エルネスト・ショーソン(1855-1899)
エドワード・エルガー(1857-1934)
エンゲルベルト・フンパーディンク(1854-1921)
 

 この時代の音楽はロマン派、国民楽派といった様々な音色を追求した音楽が生まれました。天文学では写真技術が天文学の世界に革命をもたらした時代です。

天文学史と音楽史(1854〜)


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