鏡の中の鏡(SPIEGEL IM SPIEGEL) とてもシンプルな曲で、ピアノの三連音が星のきらめきを思わせてくれるような、美しく透明感のある音楽です。アルヴォ・ペルト(1933- )によって書かれ、私のツボに見事におさまった小品。これを夜想曲と呼んでも差し支えないのではないでしょうか? 夜の闇を動くものが人の目に感知されるのは動く物体にほかなりません(光源)。その代表的なものと言ったら星のまたたきであり、流れ星とか、そういう類しかないでしょう。ペルトのこの曲は、不変の時の流れと、気づかないけれど確かに動き続けている(日周運動という)天界の星々を見事に表現しているとしか思えません。確かに音楽だけに注目すれば、退屈と思う人がいてもおかしくはないと思います。変化のない単調な曲調なので、この調べに耳を傾けていると、苦痛と感じる人もいると思います。同じように、ただ単に星空を眺めているだけだと、何も変化を起こさない星空に退屈さを感じるひともいるでしょう。それが苦手なんだ、という人が。 しかし、この曲を流しながら星空を眺めてみると、これ以上、動かない星空の動きを感じられる音楽はないと思えてくるのです。だからといって防寒着に身を包んで構える必要もありません。「星を眺める」ということに「こうしなければならない」というスタイルはないのですから。つまり、駅から家までの帰り道(10分ぐらいがちょうどいい)にだって仰げるし、寝る前の戸締りの時でもいい。そして携帯プレイヤーという便利なものがあって、そんなわずかな日常の時間でも、星と音楽とかが身近に感じられるだろうから。 |
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