Photo by Toshiharu Minagawa. |
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01.Unaccountable Effect(Liz Story/Mark Isham) Windham Hill Records, 1985 |
無機質な音と暖かい心温まる音が同居した不思議な雰囲気の曲ではじまります。ピアノソロでデビューしたリズ・ストーリーですが、この2ndではエレクトロニクスの鬼才といわれるマーク・アイシャムとのコラボレーションで幕が開きます。 今では様々な音楽性を誇るウィンダム・ヒルですが、この当時(1984〜1985ごろ)、アコースティックサウンドの代名詞とされていたウィンダム・ヒルにエレクトロニクスは珍しく、マーク・アイシャム(WH1027 VAPOR DRAWING)とシャドウファクス(WH1022 SHADOWFAX、WH1029 SHADOWDANCE)だけでした。ここでリズと共作・共演しているマークは、すでに映画音楽を数多く手がけ、ソロ・アーティスト(主にトランペットとシンセサイザー)として、かなりのキャリアを積んでいるアーティストです。この曲が、ピアノに2人並んで作曲… と想像すると楽しいのですが、リズのピアノにマークがシンセを被せたというのが正直なところでしょうか。 それにしても、映画を数多く手がけるだけあって、実に描写的です。リズの奏でるスタインウェイの澄んだ響きと、マークのエレクトロニクス特有の無機質な透明感。まるで泉から湧き出す汚れのない水のように、眺めているだけで飲み込まれていってしまうような感覚。反対に硬質な感触は、砂粒でしょうか?そう、まさしくジャケットに映し出されている砂漠の一粒一粒。あるいは水晶のような透明感ある粒が響きあう音。自分がジャケットの中に入り込んでしまったかのようです。 (このあと、ウィンダム・ヒルもエレクトロニクスの部門を設立し、第一弾としてアッカーマンが自らプロデュースしたコンピレーション『麗(SOUL OF THE MACHINE)』をリリースします。ティム・ストーリー、ショーン・ヘルツ、フィリップ・セスなど、後にレーベルで活躍するアーティストを含んでいます) 新しい試みで全編を奏でるのかと思いきや、リズとマークのコラボはオープニングの1曲だけなのです。2曲目以降は1stでみせた独特のシャープなリズムを主軸とした楽曲が並びます。1stアルバムの10曲だけじゃ物足りないと思ったら、絶対にこのアルバムはお勧めです。ここでも一音一音が際立って美しく鳴り響いています。エンディングの“Deeper Reasons”には、パーカッションにBob Contiを迎え、リズ本人にもドラムスを叩かせています。 『SOLID COLORS』の時にも書きましたが、ウィンダム・ヒルは、同じ楽器奏者でも本当に個性的だと感心してしまいます。このタッチはリズ以外の誰でもないし、ジョージ・ウィンストンとリズは同じスタインウェイ・アーティストであるにもかかわらず、まったく音色が異なるのです。 このアルバムはMark Dukeに捧げられています。2曲目は母であるAida Storyに(リズのHPに載っているママはとっても素敵)。そしてエンディングを妹Caharine Storyに。 |