ウィンダム・ヒルの掲示板

Photo by Toshiharu Minagawa.



WH-1027
VAPOR DRAWINGS / Mark Isham
Produced and Engineered by Steven Miller.

 

 

 

Windham Hill Records, 1983

01. Many Chinas
02. Sympathy and Acknowledgement
03. On The Thershold Of liberty
04. When Things Dream
05. Raffles In Rio
06. Something Nice For My Dog
07. Men Before The Mirror
08. Mr.Moto's Penguin(Who's Be On Eskimo's Wife ?)
09. In The Blue Distance

Peter Van Hooke ; Snare Drum, Electronic Percussion


  ウィンダム・ヒルのカタログでは27番目という初期の番号からエレクトロニクスのサウンドが登場しています。鬼才という称号をつけられることもあるマーク・アイシャムですが、ウィンダム・ヒル・デビューは、映画音楽でもなく、純粋な作品集として レコーディングされていました。

 日本にウィンダム・ヒルが紹介された頃のレーベルイメージは、ウィリアム・アッカーマンやジョージ・ウィンストンをはじめとするギター、ピアノなどが主体のソロ作品が前面に押し出されて紹介されていたので、このマークのエレクトロニクスには非常に驚かされました。
 しかし、レーベルとしては2枚目にヴォーカル(Linda Waterfall)、7枚目にバンド(KiddAfrika)、22枚目にShadowfaxが登場し、いずれは予想できたかもしれません。

 マーク・アイシャムといえば、現在は映画音楽の鬼才(手がけた作品は数知れず、私が観た映画のあちこちにもクレジットされています)として名が通っているのかもしれませんが、1983年のデビューアルバムがウィンダム・ヒルからリリースされ、レーベルとしても素晴しいアーティストを送り出すことができて誇らしいでしょう。

 本作は映画音楽とは別に、純音楽作品として制作されましたが、曲の隅々に映像が見え隠れしているようで、音の万華鏡とさえ言われるシンセサイザーミュージックの代表的作品といえます。アルバムジャケットも、それまでのレーベルのイメージ(風景とか)とは思えない無機質な感じがして、なんとなくエレクトロニクスな音のイメージもしやすいかもしれません。 
 なお、ほとんどの楽器をこなしていますが、数曲でパーカッションにPeter Van Hookeが参加しています。

01. Many Chinas
 ウィンダム・ヒルの新しい一面を予感させるようなビートと、マークのキーボード、そして彼のもうひとつの顔であるトランペットによるコラボレーション。

02. Sympathy and Acknowledgement
 ありがちなシンセサイザー音楽、といった感じで、ヴァンゲリスやジャールのような雰囲気が全編を漂っています。

03. On The Thershold Of Liberty
 マーク版のボレロとでもいったら良いでしょうか。朝霧の中を進軍する兵隊たちのようです。もしかしたら、この曲、名優ジェレミー・アイアンズが語るラビット・イヤーの【錫の兵隊】に使われても、なんら違和感を感じません。実に生き生きとした行進が目前に浮かんでくるようです。

04. When Things Dream
 ウィンダム・ヒルらしいアコースティック・ピアノのオープニングで始まり、中間から幽玄なシンセサイザーが登場。真冬の高山を飛んでいるような雰囲気に身も心も「シャン」とさせられるかのようです。

05. Raffles In Rio
 コロコロとした音が印象的で、その音のイメージからアンディ・ナレルのスティール・ドラムっぽい雰囲気があります。

06. Something Nice For My Dog
 かわいらしい音色、もうちょっとデジタルっぽい音(乾燥した)だったら、たむらしげるのアニメーションに似合いそう。

07. Men Before The Mirror
 この曲のみウィンダム・ヒルの映像作品「もうひとつのアメリカ」の第四作目、『WINTER』で耳にしていたから、冬のイメージで聴いてしまうのも無理はありませんが、逆に考えれば、それだけに映像的な楽曲といえるのではないでしょうか。この曲や、『WINTER』のために書き下ろされた“Winter”など、ヴァンゲリスの『(南極物語)』や、サントラ『植村直巳物語』に入れても違和感を感じないかもしれません。

08. Mr.Moto's Penguin(Who's Be On Eskimo's Wife ?)
 オープニング同様ビートが静と動のコントラストをつけた曲。

09. In The Blue Distance
 エンディングにふさわしいスケールの大きな曲。『ウィンター・コレクション』に収められた“二都物語”に似た雰囲気を持っています。

〜Discography(映画のスコアを除く)〜
VAPOR DRAWINGS(1983) ; WH-1027
FILM MUSIC(1985) ; WH-1041
CASTALIA(1988)
TIBET(1989) ; WH-1080
MARK ISHAM(1990)
SONGS MY CHILDREN TAUGHT ME(1991)
BLUE SUN(1995)
A WINDHAM HILL RETROSPECTIVE(1998)
MILES REMEMBERED : THE SILENT WAY PROJECT(1999)
PURE MARK ISHAM(2006)

以下のアーティスト(ロック系)のアルバムにも参加しています。
BOTH SIDES NOW (2000)/ Joni Mitchell
TAMING THE TIGER (1998)/ Joni Mitchell
VOODOO LOUNGE (1994) / The Rolling Stones
HUMAN TOUCH (1992) / Bruce Springsteen
STORYVILLE(1991)/ Robbie Robertson




以下はウィンダム・ヒルからリリースされているアルバム(レビューはおいおい)
FILM MUSIC(1985) ; WH-1041

01. Mrs. Soffel
02. Times of Harvey Milk
03. Never Cry Wolf

TIBET(1989) ; WH-1080

01. Tibet, Part I
02. Tibet, Part II
03. Tibet, Part III
04. Tibet, Part IV
05. Tibet, Part V

A WINDHAM HILL RETROSPECTIVE(1998)

01. Men Before the Mirror
02. Alina
03. Tale of Two Cities
04. Tibet, Pt. 2
05. Times of Harvey Milk
06. Winter
07. On the Threshold of Liberty
08. Spangled Heart-Belonging to
08. Spangpangled led All Time and Earth
09. In the Blue Distance
10. Emperor and the Nightingale
11. Sympathy and Acknowledgment
12. Tibet, Pt. V



※手にはさりげなくトランペット

PURE MARK ISHAM(2006)

01. SEEKING ISAIAH
02. Raffles In Rio
03. Lazy Afternoon
04. Thumbelina
05. On The Threshold Of Liberty
06. Pittsburgh 1901 (Theme from Mrs Soffel)
07. And Miles To Go...Before He Sleeps
08. Azael
09. Spangled Heart-Belonging to
08. Spangpangled led All Time and Earth-
09. featuring Jeremy Irons
10. Men Before The Mirror
11. A Tale Of Two Cities
12. Tibet Part II
13. In The Blue Distance
14. All Blues

 『SONGS MY CHILDREN TAUGHT ME(子供たちが教えてくれた)』は、お話と音楽、ラビットイヤーからの音楽集です。本来は映画俳優のナレーションも入っていますが、この作品集は、ナレーションのない音楽のみを収録しています。映画音楽を数多く手がけてはいますが、こういった耳だけで楽しむお話し集での音楽も、想像をかき立てる曲が並んでいます。

以下はマーク・アイシャムが担当したお話し集。そうそうたる俳優とのコラボレーションが楽しめます。
国内盤はリストにレーベルの番号がふってあるタイトルのみCDとLDがリリースされました。

・WH0702 THE STEADFAST TIN SOLDIER(錫の兵隊/アンデルセン)
/ Jeremy Irons(寺田農& Mark IAshamt & Mark Isham

・WH0706 THE EMPEROR AND THE NIGHTINGALE(うぐいす/アンデルセン)
/ Glenn Close(竹下景子& Mark Ishamt & Mark Isham

・WH0712 THUMBELINA(おやゆびひめ/アンデルセン)
/ Kelly McGillis(竹下景子& & Mark Isham

・THE EMPEROR'S NEW CLOTHES(はだかの王様/アンデルセン)
/ Sir John Gielgud & Mark Isham

・THE BOY WHO DREW CATS(猫を抱く小僧/小泉八雲)
/ William Hurt & Mark Isham

SONGS MY CHILDREN TAUGHT ME(1991) ; WD-1102

THE STEADFAST TIN SOLDIER(錫の兵隊);
01.The Doors of Life Unveiled
02.Love Song To A Ballerina
03.A Nocturnal Waltz
04.Entering The Kingdom Of Nature
05.Journey Through The Poem Of A Tempestuous Sea
06.Love's Ash Dissolves
07.A Spangled Heart-Belonging To All Time And Earth

THE EMPEROR AND THE NIGHTINGALE(うぐいす) ;
08. In China, You Know, The Emperor Is Chinese
09.Travellers From Foreign Lands
10. A Journey To The Edge Of The Sea
11.The Nightingale At Court
12.High Imperial Bedsidetablesinger (Firstclass On The Left)
13.Awaiting The Angel Of Death
14.A Visitation
15.The Nightingale Returns
16.The Emperor And The Nightingale

THUMBELINA(おやゆびひめ) ;
17.Thumbelina
18.The Son Of Mrs. Toad
19.Butterflies Frolic And Junebugs Despair
20.In The Forest Of Life
21.Invitation From A Field Mous
22.Mr. Mole-Of The Grey Coat
23.To Step From The Border Of Death
24.The Landscape Of Summer Comes To An End
25.The Swallow's Song
26.Home To The Sunny Countries
27.Alina

THE EMPEROR'S NEW CLOTHES(はだかの王様) ;
28.An Imperial Praeludium
29.Here Come The Weavers
30.Quatracinium (Opus 87)
31.A Faithful Old Minister
32.A Complicated Fish Motif (Woven)
33.Fanfare For The Imperial Portrait
34.A Trusted Official
35.The Emperor's Dream
36.An Imperial Inspection
37.The Weaver's Nocturne
38.The Imperial Fitting
39.The Emperor's Procession-An Imperial Postludium


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