クラシックと洋楽しか聴かない私ですが、どういうわけか久保田早紀さんだけは全部のアルバムを持っているほど良く聴く邦楽アーティストです。それもそのはず、彼女は1980年初等に、ラジオ短波の番組『Viva! スカイウオッチング』の初代パーソナリティを務めた天文ファンだったからです。

(2017/08/06 UP DATE)


夢がたり(1979)
1. プロローグ…夢がたり 1. 白夜
2. 朝 2. 夢飛行
3. 異邦人 3. 幻想旅行
4. 帰郷 4. ナルシス
5. ギター弾きを見ませんか 5. 星空の少年
6. サラーム  


 今考えてみると、このアルバムのリリースが1979年、ということがわかっているので、そうすると私の星見の始まりは、この年という断定ができるのです(笑)つまり、私のその後を決める重要なターニングポイントとしての目印となってくれる存在なのです。これが初めて邦楽アーティストのアルバム購入だったのですが、疑問に思ったことが一つあって、それまではクラシックのレコードとかを買うと、解説書が入っていましたが、このレコードには解説書が入っていない、ということでした。それが普通なんでしょうが、「もしかしたら自分の持っているレコードだけが不良品なんじゃないか?」とか思ったりしました。そして、その後(2ndアルバム『天界』でも同様ということに気づき)、ようやく歌詞だけということを納得したのでした(笑)。
 さて、この『夢がたり』ですが、オープニングの羽田健太郎のピアノで始まり(これも驚きで、久保田早紀が弾いているのだとばかり思っていました)、超有名曲♪異邦人へと流れ込みます。
当時、喜多郎の担当したNHKスペシャルの『シルクロード』が大ヒットしたことと、このシングルがCM(サンヨー)に使用され、シルクロードのテーマなどと副題が付けられて、その関係性がさっぱりわからなかったことを覚えています(笑)。

 私がこのアルバムが好きなのは、エンディングに収録された曲、♪星空の少年 。姉のカセットテープに久保田早紀の曲が、なぜかこれが1曲だけ録音されていて、カセットインデックスを見かけて聴かせてもらったのがきっかけでした。特に澄んだヴォーカルとストリングスのハーモニーが、まさに天界の透明感、そしてきらめく星空の美しさを音に描いたような音楽として私の心に鳴り響いたのでした。その後、ラジオ短波の『Viva! スカイウオッチング』のテーマ曲(本人もDJとして出演)にも使われ、この曲が広く天文ファンにも知れ渡ったのでした(当時、天文ガイドにも星の好きなアーティストとして紹介されていましたが、どういうわけか、この曲に関しては一切触れられていませんでした。もしかしたら担当者は全く彼女の音楽を聴いていない人だったとか?)。

天界(1980)

1. シャングリラ 1. 葡萄樹の娘
2. 天界 2. 25時
3. 碧の館 3. 田園協奏曲
4. 真珠諸島 4. みせかけだけの優しさ
5. アクエリアン・エイジ 5. 最終ページ

 『天文ガイド』で紹介された久保田早紀さんの、ニューシングルとして、このアルバムの♪天界が紹介されていました。1984年の『真夏の夜の星空ラジエンテーリング』では、「ちょっと前の曲になるんですけど…」と言って紹介していた♪アクエリアン・エイジが収録されています。私に取っては、とにもかくにもアルバムタイトルが気に入っています。「この人は、本当に宇宙、星が好きな人なんだなぁ」と思ったものです。ただし、歌の内容はそれに特化したわけではなく、ありがちな色恋沙汰の内容なのですが… (天界レビュー

サウダーデ(1980)

1. 異邦人 1. サウダーデ
2. アルファマの娘 2. 9月の色
3. トマト売りの歌 3. 憧憬
4. 18の祭り 4. 真夜中の散歩
5. 4月25日橋 5. ビギニング

 変則的なアルバムで(ジャケットも観音開きで三面になるワイドショット)、A面(CDでは5曲目まで)には、彼女の憧れだったファドのグループとの共演、B面がこれまでの久保田早紀を伝える内容になっています。。「サウダーデ」とは、ポルトガル語で情景という意味だそうで、そうなるとB1とB3が同じ意味ですね。 それはさておき、A面のなんと自然なサウンドを聴かせてくれるのでしょうか?彼女の歌声や、今までの雰囲気、そして歌詞までもがこのときのために温存されていたと思えて来ます。特に再録となった ♪異邦人なんかは、よっぽどこっちの方がピッタリのような気がします。

 さて、そのA面ですが、アルバムタイトルの 憧憬さながらに、彼女はポルトガル(リスボン)に足を運んで、素晴らしいセッションができたようです。現地のミュージシャンとの共演は、新境地をもたらせてくれたのでしょう。全く雰囲気の違ったアルバムとなりましたが、たった5曲とはもったいない。今ならきっと、フル・アルバムに仕上げただろうし、未発表テイクなど残っているのではないでしょうか?B面も、当時の久保田早紀らしいサウンド(♪9月の色はシングルでした)です。

Guitaria Partuguesa; Antonio Chainho
Guitaria Partuguesa;Antonio Parreira
Viola; Martinho d'Assuncao
Viola Baixo(Acoustic Bass); Pedro Nobrega

エアメ−ル・スペシャル(1981)

1. プロローグ 1. アミューズメント・ゾーン
2. オレンジ・エアメール・スペシャル 2. 上海ノスタルジー
3. キャンパス街'81 3. アンニュイ
4. 日本の子供達 4. パノラマ
5. 1999 5. 長い夜
 このアルバムだけが、どういうわけかMASTER SOUND(DM)シリーズに取り上げられ、今で言うところの高音質化されました。また、それまでのイメージとはガラリと雰囲気が変わった♪オレンジ・エアメール・スペシャルがCMソング(キリン)に使われ、そのキャッチーなメロディがお茶の間に良く流れていたのを覚えています。
見知らぬ人でなく(1982)

1. ザ・シティー 1. 木々が大きかった頃に
2. 見知らぬ人でなく 2. ねがい
3. らせん階段 3. ロンリー・ピープル
4. 夏の夜の10時30分 4. ステージ・ドア
5. ジャスト・ア・フレンド 5. 車窓
 久保田早紀のアルバムの中では一番好きなジャケットです。そして、彼女を聴くようになってから、初めてニュー・アルバムとしてリアル体験することになります(笑)。なので、結構真剣に耳を傾けて聴いていた思い出があります。ただ、まだまだ邦楽を聴く習慣がなかったので(2017年の今もってですけど…)、彼女のイメージを追いかけていた感があり、アコースティックな曲(具体的にいえばストリングスだけとか、ピアノの弾き語り)以外は、なかなか馴染めなかったかもしれません。
ネフェルティティ(1983)

1. ネフェルティティ 1. ジャワの東
2. ジプシー 2. 肌寒い午後の日
3. ソフィア発 3. 愛の時代
4. 砂の城 4. 冬の湖
  5. 最終便
モノクロでもお美しい方なので、ジャケ買い目的で売れそうなアルバムですが、しっかりと内容で決めてくれていると思っています。タイトルとなっている『ネフェルティティ』ですが、紀元前14世紀のファラオの正妃の名前で、歌の内容、というかアルバム全体がそうした中近東(もうファドは歌われない)をテーマに歌われています。オープニングのSEなんかも神秘的(と、思わせておいてポップソングへと…)。

  印象的な曲は、全部に当てはまるのですが、今までにない彼女のスタイルとしてアピールしてくるのは ♪ソフィア発 でしょうか? バックのアレンジがもっとヘヴィだったら、完全に違うアーティストが歌っていると思ってしまいそうです(あえてアレンジでイメージを作り出したか?)。そして続く ♪砂の城 はラヴェルのボレロのリズム(ほんのちょっとだけソロ楽器のメロディも登場)がベースになっていて思わずニヤリと。そしてタイトルだけで想像して、真っ先に聴きたいと思った ♪肌寒い午後の日 がレゲエ調にビックリしましたが、ダブルトラックのハーモニーが美しい曲。

夜の底は柔らかな幻(1984)

1. メランコリーのテーブルクロス 1. 夜の底は柔らかな幻
2. 月の浜辺ボタンがひとつ 2. ピアニッシモで…
3. ねじれたヴィーナス 3. フェニキア
4. 9月のレストラン 4. 見えない手
5. 寒い絵葉書
 ラストに収録され、子供たちの合唱が加わる ♪見えない手 はいいですね。パット・ベネターの♪ We Belong、ティナ・ターナーの ♪We Don't Need Another Hero、はたまたピンク・フロイド ♪Another Brick In The Wallを彷彿とさせるようです。そして何かを暗示させるかのように、これが久保田早紀としてのラスト・アルバムとなってしまいました。エキゾチックな出で立ち。