星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)



弦楽のためのソナタ
(ジョアッキーノ・ロッシーニ)

Gioachino Rossini(1792-1868)
1804年作曲
2つのヴァイオリン、チェロとコントラバスのための弦楽ソナタ

 ロッシーニが12歳の時に作曲したという弦楽のためのソナタ。私が初めて聴いたのは図書館で貸し出ししていたロンドン・バロックによる演奏でした。その後、オリジナル編成でレコーディングされたSACD盤を探し、ようやく見つけたCDです。
 モーツァルトを思わせるメロディに溢れたこの作品は、少年ロッシーニ(老いたロッシーニもいる)の無垢な心を描いているかのような清々しさは、SACDによってさらに奥行きを増し、透明感が増すばかりです(この空気感、透明感、奥行きこそがSACD最大の売りのような気もしますが、あくまでも個人の感想です)。

 このアルバムはカップリングにホフマイスター(Franz Anton Hoffmeister, 1754-1812)の弦楽四重奏曲を加え、2枚組(別売)でリリースされました。若い演奏者たちの潑溂とした演奏は、まるで天空に靡くそよ風のような心地よさ。SACD盤は他にもアッカルド/イタリア四重奏団とCDが2021年、ステレオサウンドからリリースされました。



交響曲 第4番 変ロ長調 OP.60
(ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン)

Ludwig van Beethoven(1770-1827)
1806年作曲〜

 ジャケットを見ただけだと、稀代の指揮者カルロス・クライバーがノリノリになって指揮しているぶっ飛んだ印象を受けるのですが、このレコーディングは、カール・ベーム追悼演奏会の時の写真、そして演奏。そのライヴ盤がSACDとして登場。体裁はなんとエソテリックか?と目を疑ってしまったほどそっくりの雰囲気でした。なんかこうなると、付加価値が増したようで、持っているだけで音楽の奥にまで入り込んでしまったのではないかと思ってしまいます。
 
  このアルバムを購入して(もともとライヴ盤は嫌いだったのですが、まぁ、クライバーの演奏が聴けるなら仕方ないか…」と思っていたところでのSACD化だったので、買わないわけにはいかず、一聴して考えが一変してしまいました。ライヴ聴くならSACDでしょう!先程のロッシーニの盤でも書きましたが、このフォーマットの凄いところは空気感。ライヴならではの緊張感や会場のピンと張りつめた空気までもがパッケージされているような感じ(特にマルチならなおさら)。それがジャケットのクライバーのノリノリ感を伝えられないはずはないでしょうという感じです。




Diabelli Variations/6 Bagatelles
(ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン)
Ludwig van Beethoven(1770-1827)
〜1823年作曲〜

 1827年に亡くなったベートーヴェン「晩年の傑作」とされています。私がこの曲を初めて聴いたのはアナトール・ウゴルスキのデビューアルバム(1992)でした。どうもとっつきにくかったのですが、ここにきくSACD、しかも作曲が完成した年に制作されたオリジナルのアントン・ワルター製のフォルテピアノということで、まずはピアノの音色から入って、当時の空気を身体に吸収させたいです。当時の、星空に想いを寄せていたベートーヴェンの見た星の輝きも想像出来るといいです。

  ワルター製のピアノは、比較的コピーでのレコーディングを耳にしますが、このディアッベリは初めてオリジナル(音が出るように修復したり…)でのレコーディングされるようです。XRCDでリリースされたスコダの演奏では、同じワルターでももっと年代の古い1800年頃のピアノを演奏していました。現在、リスト編曲による交響曲シリーズもコピーではなくオリジナルを用いてくれ、これでこの変奏曲もあわせると、ベートーヴェンの主要なピアノ作品がオリジナルの音色で聴くことができて嬉しい限り。



ヘクサ・メロン(6人の作曲家の合作変奏曲)
〜1837年作曲〜

 リストとショパン。パリでこの二人の饗宴が実現していたら、さぞかし音楽史のエピソードとしては面白かったんじゃないかなぁ、と思わせる企画でしたが、あいにく実現しなかったようです。ベートヴェンの『ディアッベリ』も、ディアッベリの依頼で複数の作曲家たちが集まって一つの組曲を完成させるというイベントでしたが、この『ヘクサメロン』も同じように、クリスティナ・トリヴルツィオ・ベルジョイオーソ侯爵夫人がリストへ発案したことがことの発端でした。構成は以下の通り。

Introdution - Tema. AAllegro marziale(フランツ・リスト)
クラウディス・タンスキー
Variation 1: Ben marcato(ジギスモント・タールベルク)
Variation 2: Moderato(フランツ・リスト)
Variation 3: I. Di bravura(ヨハン・ペーター・ピクシス)
- Variation 3: II. Ritornello(フランツ・リスト)
Variation 4: Legato e grazioso(アンリ・エルツ)
Variation 5: I. Vivo e brillante(カール・チェルニー)
- Variation 5: II. Fuocoso molto energico(フランツ・リスト)
Variation 6: I. Largo(フレデリック・ショパン)
- Variation 6: II. Coda(フランツ・リスト)
Finale. Molto vivace quasi prestissimo - Allegro animato (フランツ・リスト)

 リストが中心になり、それぞれの変奏を別の作曲家が捜索し、つなぎもリストが手を加えたとのこと。テーマとなっているのはヴィンチェンツォ・ベッリーニのオペラ『清教徒』中の「清教徒の行進曲」で、とってもリスト的(笑)なお、このアルバムでは初演に倣って6人のピアニストたちが共演しています。その6人のピアニストは以下の通り。

ヨハン・ブランシャール(Johann Blanchard)
レオン・ブッヘ(Leon Buche)
※このピアニストは兼作曲家らしく、最後にHexameron over the cloudsという曲を自演しています。
カルロ・ゴイコエチェア(Carlos Goicoechea)
カロリーヌ・セリュー(Caroline Sorieux)
吉兼加奈子(Kanako Yoshikane)
※ザルツブルク・モーツァルテウムに在学中に参加。ヘクサメロンの他チェルニーによる「シューベルトの有名な主題による変奏曲Op.12」をレコーディング。
クラウディス・タンスキー(Claudius Tanski)

 残念なのは、その6人の作曲家に対応した演奏ではないことかなぁ。せっかくだからリストならリスト役とかに徹した方が面白かったのに…
 ちなみに、この1837年には「ピアノの決闘(リストvsタールベルク)」が行なわれ、差し障りのない引き分けの結果になったとか… (タールベルクは世界一のピアニスト、リストは唯一のピアニスト)

 私がこのアルバムで興味をひかれたのは、イタリアでもヴェルディを中心とした『レクイエム』の合作があったように、元々は複数の作曲家たちが集まって一つの組曲を完成させる、ということよりも、余白に収録された、それぞれの作曲家たちのソロ作品。特に当時リストとピアニストとしてライバル同士だったタールベルクの♪夜想曲 ホ長調 Op.28です。なかなかレコーディングに恵まれない作曲家とのことで、このアルバムで初めて彼の夜想曲を耳にすることができました。
  彼は他にもOp.16(2曲)、Op.21(3曲)、Op.35(2曲)、Op.51bisに夜想曲を残し、計9曲作曲してくれています。

 なお、このアルバムではMDGレーベルのピアノ作品らしく1901年製のスタインウェイを奏でてくれています。(Steinway Concert Grand Piano D, 1901 #100938 "Manfred Burki")





ニーベルングの指輪
(リヒャルト・ワーグナー)

Richard Wagner(1813-1883)
〜1854から1874年に掛けて作曲〜

楽劇「ラインの黄金」(1854年作曲、1869年バイロイトにて作曲者本人の指揮で初演)
楽劇「ワルキューレ」(1856年作曲、1870年バイロイトにて作曲者本人の指揮で初演)
楽劇「ジークフリート」(1856-71年作曲、1876年バイロイトにて作曲者本人の指揮で初演)
楽劇「神々の黄昏」(1869-74年作曲、1876年バイロイトにて作曲者本人の指揮で初演)


 オーディオ雑誌でおなじみのステレオサウンド社が手がける上記全曲盤のハイライト盤です。選曲されている曲は以下の通り。

01. 楽劇《ラインの黄金》第4場:神々のヴァルハラヘの入城
02. 楽劇《ヴァルキューレ》第3幕 第1場:ヴァルキューレの騎行
03. 楽劇《ジークフリート》第2幕:森のささやき
04. 楽劇《神々のたそがれ〉序幕: ジークフリートのラインへの旅
05. 楽劇《神々のたそがれ》第3幕 第1場: ラインの乙女たちの歌
06. 楽劇《神々のたそがれ》第3幕 第2場:ジークフリートの葬送行進曲
07. ジークフリート牧歌

 全曲盤も購入したことだし、今回は見送るかーと思っていましたが、以下の曲目を見ると、原盤に初収録されたという「ジークフリート牧歌」も収録されていることに気づきました。
  そういえば、日本盤の『ハイライト』には収録されていませんでした(レコードの収録時間から見送られたのでしょうね)。最近になってオリジナル原盤どおりの収録曲のCD化もリリースされましたが、今回が初SACD化となるようです。

型番:SSHRS-055(ステレオサウンド)

ウィーンフィルvsベルリンフィル


 なお、タワーレコードも独自にSACD化を行い、同じくハイライト盤もリリースされています。

楽劇《ラインの黄金》第4場
01. おうい!おうい!ここへ来い、雲よ!
02. 夕べの空は陽に映えて
03. ラインの黄金! ラインの黄金!

楽劇《ヴァルキューレ》第3幕
04. ホーヨートーホー! ハイアハー!(ヴァルキューレの騎行)
05. さらば、勇ある輝かしき子よ(ヴォータンの別れ)
06. 神たるわしよりもさらに自由なる者が彼女を花嫁にするのだ!
07. ローゲよ聞け! よく聞け!(魔の炎の音楽)

楽劇《ジークフリート》
08. ホーホー! ホーホー! ホーハイ!鍛えろ、金槌、堅い剣を!(鍛冶屋の歌) -第1幕-
09. 俺のお母さん、人間の女! -第2幕-
10. ジークフリートの角笛 -第2幕-

楽劇《神々のたそがれ〉第3幕
11. ジークフリートの葬送行進曲
12. ラインの岸辺に、大いなる薪を
13. ブリュンヒルデの自己犠牲
14. からすたちよ、飛んで行け!

型番:4853364(Tower Records)




交響曲 第4番 変ホ長調
(アントン・ブルックナー)
型番:WPCS-13853
Anton Bruckner(1824-1896)
〜1874年第1稿完成〜

 リリース当初のボロクソな批評、今ではすっかり影を潜めたムーティの初ブルックナー。しかも振った相手はカラヤンからの指名でベルリン・フィル。両者の関係が悪化していたので、なるべく信頼のおける相手に託したのでしょうね、確かムーティはカラヤン・チルドレンだったような…

 個人的にはブルックナーに思い入れはほとんどないので、ムーティ繋がりの惰性(あとジャケ買いだったような気が…)で手を伸ばしたのですが、彼のこれまでの演奏と比べると、やや異質な雰囲気は否めませんでした。まだ同時期にレコーディングされていたマーラーの方が似合っていたんじゃないかと。ただ、相手のベルリン・フィルの音はカラヤンの影響を振り解いていなかったのか、とても美しいブルックナーを奏でてくれていたと思います。そんなあやふやな記憶を呼び覚ましてくれたのが、今回(2024)タワーが企画してくれた「ブルックナー生誕200年記念SACDハイブリッド・シリーズ」の一枚。他にも第6番や、マゼールとベルリンの第7番、第8番も(指揮者とオケの組み合わせが)気になるところなのですが…

 ブルックナー・イヤーの今年(2024)は、様々な名演・名盤がSACD化されているのでアップアップ状態ですが、あとは手を出すならショルティがカルショウと組んだ7番、8番ぐらいかなぁ(ワーグナー、ヴェルディなどのコンビを考えると、すごい名盤になってそうなのですが、なぜがピンと来なかったので食指がまだ伸びずにいます)。

もどる(SACDで聴く名曲たち)home(一番星のなる木)