1995年にリリースされたアルバムのお気に入りを紹介します


  私はロマン派の音楽で、というよりはおそらくはすべての音楽で、控えめであろうことをすることを好まない。これが、あらゆる有能な指揮者たちの中でピエール・ブーレーズを最も退屈な存在だと個人的に思う理由である。(ジョン・カルショー)

 そんなブーレーズが、同じく「ウィーン・フィルはマーラーが嫌い」という集団を相手に、当初はブーレーズらしく器楽曲のみ(つまり1、5、6、7、9番)の予定が、2010年に未完の第10番をリリースして、交響曲全曲録音を完成させてしまいます。 ここで聴かれるマーラーは、どのマーラー指揮者からも聴くことが出来ない、純粋な音楽として鳴り響き、そのパートナーがウィーンフィルという名うての楽団だけあって、ここで生まれた一音一音が19世紀末の音楽観を見事に表しているのではないでしょうか?