tupichan's billboard hot 100

 ここは役に立たないレビュー「洋楽デュエット」篇のページです。洋楽を、興味を持って聴き始めたのは1983年の暮れから現在に至ります。その間、あれこれ音楽の趣味が増えましたが、ビルボードのチャート同様、この手、つまりデュエットの楽曲に憧れ続けています。ここでは、そうした心に残る名演を紹介します。

 アーティストによっては丸々アルバムごとデュエットにしてしまったり、アルバムの中にこっそりとデュエットが組まれていたり(それが名曲、名演だったりするので気を緩められないですねぇ)します。

 ここで紹介するのは、あくまでもオリジナルアルバムで、という前提です。なので、コンピもので「デュエット集」は省いています。きりないですしね。では、はじまりはじまりぃ




フランク・シナトラ


 第1作目がレコーディング、リリースされたのは1993年。この頃、フランクのライバルでもあったジョニー・キャッシュもリック・ルービンと組んで復活ののろしを上げていました。フランクが選んだ相手に対抗して、ジョニーもデュエット・アルバムをレコーディングという噂(フランクが2作目でW.アクセル・ローズを相手にデュエットするという噂があったとき、ジョニーはカート・コバーンとレコーディングするという)までありました。結局、蓋を開けてみれば、そうした話は噂で終わってしまいましたが。 そんなことをよそに、オーケストラをバックに一発録りという、アメリカ音楽界でも、そうした方法をとるのは今やフランク・シナトラとボブ・ディランだけだといいます。 オーケストラをバックに一発録りできる歌唱を持つアーティストたち。アメリカエンターテイメントの最高の舞台が、この2枚に凝縮されていると言っていいと思います。特に涙ものは、1枚目のバーバラ・ストライザントと。エンディング近くでの二人のアドリブ(お互いの名前を呼び合う)なんて、聴く度に涙が出てしまいます。これぞ一発録りの醍醐味であり、エンターテイメントといえるのではないでしょうか。 なお、このアルバムはフランクの生誕90周年記念盤としてセットでリリースされ、「II」には「♪My Way」がボーナストラックとして追加されています。

Frank Sinatra.com








トニー・ベネット


 先のフランク・シナトラのデュエット・アルバムとは姉妹作と呼んでも差し支えないアルバムです。というのも、プロデュースが両者ともにフィル・ラモーンが行っているので、サウンドの方向性が似ているためです(という私の勝手な解釈)。トニーはフランクの第1作で「♪New York, New York」で共演しているので、トニーにしてみれば、自分のアルバムでフランクを招くことが出来なかったことが悔やまれるのではないでしょうか?それにしても共演者も似通っています。そうした比較も楽しめるアルバムでしょう。
 デュエットIIの共演者の一人、レディ・ガガと、このレコーディングのあと二人でデュエットアルバムをレコーディングしています。

Tony Bennett.com








カール・パーキンス


01. All Mama's Children / Carl Perkins &John Fogerty
02. One More Shot / Carl Perkins & Tom Petty & The Heartbreakers
03. Rockabilly Music / Carl Perkins & Paul Simon
04. Distance Makes No Difference With Love
/ Carl Perkins & George Harrison
05. Give Me Back My Job
/ Carl Perkins & Bono, Johnny Cash, Willie Nelson, Tom Petty
06. Blue Suede Shoes / Jimi Hendrix Experience
07. Quarter Horse / Carl Perkins
08. Don't Stop The Music / Carl Perkins
09. Matchbox / Carl Perkins & Willie Nelson
10. Go Cat Go / Carl Perkins
11. Two Old Army Pals - Carl Perkins/Johnny Cash
12. Honey Don't - Carl Perkins/Ringo Starr
13. Wild Texas Wind - Carl Perkins/Willie Nelson
14. Restless - Carl Perkins/Tom Petty And The Heartbreakers
15. A Mile Out Of Memphis - Carl Perkins/Paul Simon
16. My Old Friend - Carl Perkins/Paul McCartney
17. Blue Suede Shoes / Plastic Ono Band


 カールのラストアルバムとなったデュエット集。ジミヘンとジョン・レノン、そしてリンゴ・スターを除く演奏は、すべて1996年にカール・パーキンスと共演するために、このセッションに共演したアーティストです。曲はお馴染みの1(1956)、6(1955)、9(1956)、11(1975)、12(1955)、14(1965)、16(1981)、17(1955)で、それ以外はこのアルバムのために書き下ろされた曲をレコーディング。

 たとえばバラバラではあっても、カールのためにビートルズの面々が集まってきたことを思いながら、この古き良き音楽に耳を傾けたり、5のトラヴェリング・ウィルベリーズ風のセッションを描きながら、すべての曲が肩肘張らずに楽しめる一枚に仕上がっています。

 フランク・シナトラに始まった大物歌手がジャンルを超えたデュエット・アルバムをレコーディングすると、ファンとしては、なにか複雑な思いがよぎります…









シェエリル・クロウ


01.Prove You Wrong/ Sheryl Crow & Stevie Nicks, Maren Morris
02. Live Wire/ Sheryl Crow & Bonnie Raitt, Mavis Staples
03. Tell Me When It's Over/ Sheryl Crow & Chris Stapleton
04. Story of Everything/
Sheryl Crow & Chuck D, Andra Day, Gary Clark Jr.
05. Beware of Darkness
/ Sheryl Crow & Eric Clapton, Sting, Brandi Carlile
06. Redemption Day/ Sheryl Crow & Johnny Cash
07. Cross Creek Road/ Sheryl Crow & Neil Young, Lukas Nelson
08. Everything Is Broken/ Sheryl Crow & Jason Isbell
09. The Worst/ Sheryl Crow & Keith Richards
10. Lonely Alone/ Sheryl Crow & Willie Nelson
11. Border Lord/ Sheryl Crow & Kris Kristofferson
12. Still the Good Old Days/ Sheryl Crow & Joe Walsh
13. Wouldn't Want to Be Like You/ Sheryl Crow & St Vincent
14. Don't/ Sheryl Crow & Lucius
15. Nobody's Perfect/ Sheryl Crow & Emmylou Harris
16. Flying Blind/ Sheryl Crow & James Taylor
17. For the Sake of Love/ Sheryl Crow & Vince Gill


 自称「ラストアルバム」と公言している2019年のアルバム(彼女の公式サイトを覗くと「In The End」なるメッセージが…)。ジャケットはお尻の破けたポケット… 裏ジャケは本人の後ろ姿… 哀愁を感じてしまいます。 こんな幕引きはダメですよ。こんなにも素晴らしい共演者を見つけ、後世に残る名盤を作り上げたんですから。
 共演者たちは、なるほど~ のアーティストから、知らないうちに交遊を広めていたんであろうアーティストまで様々24名。スケジュールの都合で非常にもったいない(笑)共演の仕方まで、いつまでも聞き込んでいくであろう名盤となってます。


Sheryl Crow.com







 なんとこの手のレコードをB.B.キングまでもが演ってくれました。しかも彼の場合は、そのあとも続くので嬉しい限りです。こうした企画物は、一種のお遊び的な感覚(あくまでも本人)から生まれるのでしょうが、ファンにとっては「うおお~っ!」といった組み合わせなどがあって、あなどれない企画なわけです。B.B.の場合は特にギターバトルなんかも期待できるのでなおさら。その最初の一枚は、このレコーディングの後になくなられているアーティストも含まれているので、「間に合った」といって喜ぶべきなのか、こうしたアルバム自体が伏線になってしまうのか…



B.B.キング


01. Playin' With My Friends/ B.B.King with Robert Cray
02. Since I Met You Baby/ B.B.King Katie Webster
03. I Pity The Fool/ B.B.King Buddy Guy
04. You Shook Me/ B.B.King John Lee Hooker
05. Something You Got/ B.B.King Koko Taylor
06. There's Something On Your Mind/ B.B.King Etta James
07. Little By Little/ B.B.King Lowell Fulson
08. Call It Stormy Monday/ B.B.King Albert Collins
09. You're The Boss/ B.B.King Ruth Brown
10. We're Gonna Make It/ B.B.King with Irma Thomas
11. I Gotta Move Out Of This Neighborhood /
/ B.B.King with Nobody Loves Me But My Mother
12. Everybody's Had The Blues/ B.B.King Joe Louis Walker



 この『ブルース・サミット』はアルバム・タイトル通り納得の人選でしょうか? 1988年にはU2とツアーに出てしまうぐらい他流試合の多かったB.Bでしたが、ここでは奇を衒うことなくブルース正攻法のアーティストで固められています。まぁ、欲を言うならばモダンなサウンドで正装されてしまっていることでしょうか? バディ(3)、フッカー(4)の絡みは「ブルース聴いてて良かった!」という組み合わせ出し、コリンズ(8)なんかは「この人ダイジョウブか?」といった笑っちゃうサウンドまでいろいろ入ってますから、聴いていて飽きないのは当然。そして「●●と演ってくんないかな~」というファンの願望は、このあとのリリースで満たされることになっていきます。


B.B.キング


01.If You Love Me/ B.B.King with Van Morrison
02. The Thrill Is Gone/ B.B.King with Tracy Chapman
03. Rock Me Baby/ B.B.King with Eric Clapton
04. Please Send Me Someone To Love/ B.B.King with Mick Hucknall
05. Baby I Love You/ B.B.King with Bonnie Raitt
06. Ain't Nobody Home/ B.B.King with D'Angelo
07. Pauly's Birthday Boogie/ B.B.King with Jools Holland
08. There Must Be A Better World Somewhere/ B.B.King with Dr.John
09. Confessin' The Blues/ B.B.King with Marty Stuart
10. Hummingbird/ B.B.King with Dionne Warwick
11. Bring It Home To Me/ B.B.King with Paul Carrack
12. Paying The Cost To Be The Boss
/ B.B.King with The Rolling Stones
13. Let The Good Times Roll/ B.B.King with Zucchero
14. Dangerous Mood/ B.B.King with Joe Cocker
!5. Keep It Coming/ B.B.King with Heavy D
16. Cryin' Won't Help You/ B.B.King with David Gilmour
17. Night Life/ B.B.King with Willie Nelson


 前作『ブルース・サミット』から比べると、ブルース一辺倒の人選ではなく、カントリー、ロック、R&Bからのアーティストが多くなりました。ロック寄りが好みの私としてはストーンズ(12)、ギルモア(16)を最初に聴いてしまいましたが、アルバム統一感の中でのレコーディングだったので、抜きん出てロックしているとかにはなっていなかったのが残念でした。特に歌のうまいソウル・シンガーといったアーティストが多いという印象です。



B.B.キング


01. Early In The Morning/ B.B.King with Van Morrison
02. Tired Of Your Jive/ B.B.King with Billy Gibbons
03. The Thrill Is Gone/ B.B.King with Eric Clapton
04. Need Your Love So Bad/ B.B.King with Sheryl Crow
05. Ain't Nobody Home
/ B.B.King with Darryl Hall & John Oates
06. Hummingbird/ B.B.King with John Mayer
07. All Over Again/ B.B.King with Mark Knopfler
08. Drivin Wheel/ B.B.King with Glenn Frey
09. There Must Be A Better World Somewhere
/ B.B.King with Gloria Estefan
10. Never Make Your Move Too Soon
/ B.B.King with Roger Daltrey
11. Funny How Time Slips Away/ B.B.King with Bobby Bland
12. Rock This House/ B.B.King with Elton John


 かつてインタビューで「彼はワシの息子だよ…」と嬉しそうに語っていたビリー・ギボンズとの共演を含み、今回も待ってましたのアーティストと組んだデュエット・アルバムの3作目。前作も参加していたアーティストもいますが、今回はB.B.の80歳を祝うために編まれたアルバムなので、ダブりはしょ~がないか!(笑)


B.B.King.com








ジョン・メイオール


01. A World of Hurt/ John Mayall with
02. Along for the Ride/ John Mayall with
03. Put It Right Back/ John Mayall with
04. That's Why I Love You So/ John Mayall with
05. Yo Yo Man/ John Mayall with
06. If I Don't Get Home/ John Mayall with
07. Testify/ John Mayall with
08. Early in the Morning/ John Mayall with
09. Something About My Baby/ John Mayall with
10. So Many Roads/ John Mayall with
11. World War Blues/ John Mayall with
12. California/ John Mayall with
13. She Don't Play By the Rules/ John Mayall with


 B.B.キングのデュエットアルバムが、その後も続けてレコーディングされ、エリック・クラプトンと二人だけでアルバムを一枚、丸々作ってしまったことは驚きましたが、「あの」ジョン・メイオールまでもがデュエットアルバムをリリースするとは驚きでした(当然「嬉しい」ね)。しかも売れることとか全く無視したような共演者たち。これはもう玄人向けの内容です。

John Mayall.com





 今まで紹介してきたデュエット物とは、少々傾向が違うのですが、収録曲の中にはヴォーカルによるデュエットも含まれているので紹介します。このアルバムは、ウォーレン・ヘイズが率いる3ピースバンドのGov't Muleが、メンバーだったAllen Woody(Bass)を追悼するために企画され、1曲づつベーシストを交代して全曲レコーディングされています。
 また、このシリーズがステージでも展開され、パッケージとしてもリリースされました(THE DEEPEST END : LIVE IN CONCERT)。

 The Allman Brothers Bandを出入りしながらも、こちらのバンドは音楽的にもメンバー間の確執もなく安定した活動を続けていましたが、2001年にリリースされた『LIFE BEFORE INSANITY』後にベーシストのAllen Woodyがなくなり、この企画が持ち上がりました。すなわち曲によってベーシストをゲストで呼ぶというスタイル。しかもジャンルは多岐に渡り、一体誰のシュミなんだと詮索するのもファンとしてはアルバムクレジットを見るのが楽しみなアルバムです。オールマン譲りのアメリカンロックなだけに何ら違和感ない共演もありますが、中には音楽性が水と油のと言っていいようなスタイルの違いもあります。特にChris Squire(YES)やTony Levin(King Crimson)などの曲は非常に興味深いです。ただ全体的にいえるのは、だからといってベーシストを持ち上げているわけでも、ベースを主役にしているわけではありません。そんなことをしたら亡くなったAllenが浮かばれません。あくまでも主役はWarrenであり、彼の骨太なギターでありダミ声です

THE DEEP END Vol.1(2001/10/23)
01.Fool's Moon /Jack Bruce ; Vocals, Bass
02.Life On The Outside /Larry Graham ; Vocals, Bass
(Audley Freed ; Guitar/Eddie Harsch ; Organ)
03.Banks Of The Deep End / Mike Gordon ; Bass
04.Down & Out In New York City / Flea ; Bass
05.Effigy / Mike Watt ; Bass/Jerry Cantrell ; Vocals
06.Maybe I'm A Leo/Roger Glover ; Bass
07.Same Price/John Entwistle ; Bass
08.SoulshineMike Weeks ; Bass
(Little Milton ; Vocal,Guitar / Chuck Leavell ; Organ)
09.Sco-Mule/Chals Wood ; Bass
10.Worried Down With The Blues/Oteil Burbridge ; Bass
(Gregg Allman ; Vocals, Organ/Derek Trucks ; Slide Guitar)
11.Beautifully Broken/Stefan Lessard ; Bass
12.Tear Me Down/Bootsy Collins ; Bass,Vocals
13.Sin's A Good Man's Brother/Allen Woody ; Bass

THE DEEP END Vol.2(2002/10/08)
01.Trying Not to Fall/Jason Newsted ; Bass
02.Time to Confess/George Poter Jr. ; Bass
03.Greasy Granny's Gopher Gravy, Pt. 1/Les Claypool ; Bass
04.Greasy Granny's Gopher Gravy, Pt. 2/Les Claypool ; Bass
05.What Is Hip?/Rocco Prestia ; Bass
06.World of Confusion/Tony Levin ; Bass
07.Hammer & Nails/Meshell Ndgeocello ; Bass
08.Slow Happy Boys/Jack Casady ; Bass
09.Sun Dance/Chris Squire ; Bass
10.Lay of the SunflowerPhil Lesh ; Bass
11.Catfish Blues/Billy Cox ; Bass
12.Which Way Do We Run?/Dave Schools ; Bass
13.Babylon Turnpike/Alphonso Johnson ; Electric Upright Bass


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