4月23日
 午前3時に目覚ましをセットしたものの、すでにフトンに入る前から雲行きが怪しそうに思えた。というのも、今までの経験上、たいてい当日は曇るからだ。昨夜は、そうならないように祈りながら、珍しくギラギラしている星たちを望遠鏡でいくつか覗いた。シリウス、ポルックス、アルファルド…。ここからだと年に数回しか見ることができなくなってしまったからす座がこちらの様子を気にしながら隣の家の屋根の上に飛び乗って首をかしげている。

 体のリズムもあるから、たとえ3時起きのつもりで9時にフトンに入っても、0時過ぎに目がさめてしまった。ねぼけ眼とカーテン越しという状況の中でも、なんとなく曇っている感じがする。おそるおそるカーテンから覗くとポツポツ(それもかなり明るい)星が浮かび上がってきた。あれこれパターンを考えながら結んでいくと、さっきまでからすがとまっていた屋根に、へびつかいが足を掛けている。この部屋からへびつかいが見られるなんて、もしかしたら初めてのことかもしれない。あと3時間たてば体験したことのない情景を見る幸運に浸れるだろうか。

 午前3時に目覚し時計はきっちりと仕事を果たした。3時間前の様子とはだいぶ変わった星座たちが架かっているだろうとカーテンを開けると、のっぺりとした灰色の空に変わってしまっている。確かに変わってしまっていたが、こんな変化は望んでいなかった。「こりゃダメだ」とあきらめ、目覚ましを出勤に合わせなきゃと思っているうちに寝込んでしまった。実にいい気分で。

 “ハッ”と何かに気づかされて(もうあきらめたとき、こういうことはない)フトンから抜け出すと、カーテン越しに月とその下に明るい輝星が縦に並ぶ光景が目に飛び込んできた。
 

(昔の人たちは、このように惑星同士のランデブーに畏敬の念を覚えたことだろう。ある時など、キリスト誕生に関わるとされる“ベツレヘムの星”として捉えたとさえ言われているぐらいだから)

カーテン越しに見た光景は、まったく違う世界で、何か大変なことが起きているということぐらいにしか対処できない、自分の存在の小ささを味わうような気分だった。これを見て何とも思わない人がいるんだろうか?それぐらい天界での出来事は人間を恐怖に陥れる力を持っている。神々の行動に左右されていると考えてしまうのも、ある意味で自然なことなのかもしれない。

---星空夜話(1997)


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