星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

宗教裁判で傷ついたガリレオ・ガリレイは
幽閉先(自宅)で傷心の日々を送っていたのでしょうか?
太陽観測で、ほぼ失明し、研究も実験もできなくなってしまったのですから

そんな彼の心の慰めとなったのは
父ヴィンチェンツォ(Vincenzo Galilei: c.1525-1591)、
そして弟のミケランジェロ(Michelagnolo Galilei: 1575-1631)
彼らが作曲したリュート音楽だったのかもしれません。

幸いなことにヴィンセンツィオも、ミケランジェロの楽曲も楽譜が残され
たびたび演奏されています。
嬉しいことにレコーディングも。

ガリレオが聴いた、あるいは弾いたかもしれないと考えると
今まで、伝記などでしか接していかなった彼の存在が
急に身近な存在になってくる事が不思議でなりません。






MUSICHE PER LIUTO/ Christian Zimmermann

♪ミケランジェロ・ガリレイ[1575-1631]:
コッレンテ、ヴォルタ、
トッカータ、
サルタレッロ、
他(全15曲)


♪ヴィンチェンツォ・ガリレイ[c.1520-1591]:
パッサメッツォ、
ファンタジア・オッターヴァ、
リチェルカーレ・テルツォ、
ガイヤルド、他(全17曲)


 2021年にレコーディングされました。楽器は当時のコピーです。リュート1本による演奏なので、ややもすると単調な音色に飽きてしまいそうな雰囲気の一枚ですが、この親子や超有名な兄に少しでも興味を持っているリスナーであれば、16世紀の音楽界と科学界の両方を知ることができる貴重な一枚と言えるのではないでしょうか?





♪ソナタ ハ短調(ニ短調)
(Toccata VIII/Corrente XVI/Corrente XVII/Passamezzo I/Saltarello I)
♪ソナタ ト短調
(Toccata VII/Corrente XII/Corrente XIII/Corrente XIV/Corrente XV)
♪ソナタ ト長調
(Toccata IV/Corrente VI/Volta VIII)
♪ソナタ ヘ長調
(Toccata III/Corrente III/Corrente XVII/Volta VII)
♪ソナタ ニ短調(ハ短調)
(Toccata I/Seconda Parte/Terza Parte/Gagliarda I/Gagliarda II/Volta I)
♪ソナタ ハ長調(ニ長調)
(Toccata II/Volta II/Volta III/Volta V)
♪ソナタ 変ロ長調
(Toccata IX/Corrente XX/Volta XII)
♪ソナタ イ短調
(Toccata V/Corrente VII/Corrente IX/Volta IX)
♪ソナタ ヘ短調
(Toccata VI/PassamezzoII/Volta XI/Saltarello II)


 2019年時点の最新アルバム。今までは父(Vincenzo Galilei)の楽曲ばかりにスポットが当てられていた感がありましたが、ポツリポツリと弟ミケランジェロの作品も取り上げられるようになってきました。
 素朴なリュート一本による楽曲ですが、星空を目の前に耳を傾ける時、悠久の時を隔てて彼らの活動していた時代へとタイムスリップできそうです。





Michelagnolo Galilei(1575-1631)
♪リュートのためのダブラチュア集 第1巻
ソナタ ヘ短調
(Toccata/Corrente/Volta/Passamezzo/Saltarello)
ソナタ 変ロ長調
(Toccata/Corrente/Volta/Volta)


Vincenzo Galilei(c.1525-1591)
♪Alcun non puo saper
♪ファンタジア第3番


Michelagnolo Galilei(1575-1631)
♪リュートのためのダブラチュア集 第1巻
ソナタ ハ短調
(Toccata/Corrente/Corrente/Corrente/Passamezzo/Saltarello)
ソナタ ハ長調
(Toccata/Volta/Volta/Volta/Volta)

♪トッカータ ニ短調
 

Vincenzo Galilei(c.1525-1591)
♪カリオペ
♪ポリムニア
♪ウラニア


Michelagnolo Galilei(1575-1631)
♪リュートのためのダブラチュア集 第1巻
ソナタ ト長調
(Toccata/Corrente/Corrente/Volta)
ソナタ イ短調
(Toccata/Corrente/Corrente/Volta)

♪トッカータ ヘ長調


 ジャケットに使われている筒状のシロモノ。これはガリレイが製作した天体望遠鏡です。息子は偉大な天文学者、父は平均律やオペラの発展に寄与した音楽学者。そんな環境に囲まれて、弟のミケランジェロは父と同じ道を歩み、ポーランドの宮廷でリュート奏者になりました。兄のガリレイは父よりもリュートの腕があったとか、実験にはリュートの弦を使ったとか、彼もリュート(音楽)との関わりがあったようです。

 このアルバムの主人公であるミケランジェロは、兄よりも早く亡くなったため、その妻と子供4人は義兄を頼ってイタリアに来ました。しかしその後、全員がペスト(いわゆる黒死病)で死亡するという悲劇が伝えられています。




 
 
 
 

 天文学者ガリレオ・ガリレイの弟、ミケランジェロの作品集。残念ながらデジタル・ダウンロードというフォーマットでしか手に入らず(CDはべらぼーに高いので、私は仕方なくダウンロードしました)。トッカータを中心とした選曲ですが、どこかの教会、もしくは修道院なのでしょうか、のどかな野鳥の声が良く聴こえます。時を超えて、400年以上前の世界が広がりす。






♪リュートのためのダブラチュア(1584)
Tone I
(Passamezzo antico/Romanesca antica/Saltarello/Passamezzo moderno/Romanesca moderna)
Tone II
(Passamezzo antico/Romanesca antica/Saltarello/Passamezzo moderno/Romanesca moderna)
Tone III
(Passamezzo antico/Romanesca antica/Saltarello/Passamezzo moderno/Romanesca moderna)
Tone IV
(Passamezzo antico/Romanesca antica/Saltarello/Passamezzo moderno/Romanesca moderna)


 ガリレオの父、ヴィンチェンツォは、初のオペラ作品が誕生のきっかけとなるカメラータの一員であり、音響学、音楽理論の発展に大きくその名を刻んでいます。息子の偉大な業績の陰に隠れていますが、父の音楽での貢献も大きく、ここにレコーディングされた曲集も、のちにバッハへと引き継がれることになる重要作のようです。




 
 
 
 
 

 以前からリリースされていたのは知っていましたが、やっと手にいれることができた待望の一枚。ルネッサンスの音楽は、今では数多くの作品を聴くことができるので、別段珍しいものでもないのですが、やはり息子にガリレオという大物(笑)というだけで、おのずと(私の)扱いが変わってくるのは仕方がありません(笑)。最近の古楽演奏には、当時のオリジナル楽器を使ってレコーディングをしてくれることも珍しくはありませんが、リュート奏者のAndrea Damianiは1990年に製作されたレプリカを使用しています。ここに聴く音楽は、リュート・ソロのため、何曲か聞き進めていくうちに、だんだん単調な音色にだれて来てしまいますが、そんなことに関係なく「あのガリレオも奏でたかもしれない」という希少価値のために星空の下で聴く喜びを体験できます。

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