私を星の世界にのめり込ませたのは、ここで紹介する藤井旭さんの著作です。特に誠文堂新光社や河出書房から村山定男さんとの共著で出版した一連の天文シリーズの影響が大きかったのです!

 

惑星をみよう / 藤井旭
 小学5年の時に土星の「わっか」を発見して以来、星空に興味を持つようになった私が最初に手にした天文書は、あかね書房から出版されていた藤井さんのシリーズでした。

 

星日記、アストロダイアリー / 村山定男、藤井旭
 ただ眺めているだけでは飽き足らなくなった、天文少年(私)の進む方向は天体観測へと向かいました(笑)。まず本屋(天文書コーナー!)で目を泳がせたのは、ムツカシイ専門書ではなく、タイトルからして親しみやすそうなエッセイ集など。
 河出書房から出版されていた『星日記』『星の手帖』に手が伸びました 。この『星日記』は、1985年からハードカバーではなくソフトカバー(ルーズリーフタイプ)になり、初年度(1985年)は500部のみ出版されました。
  カバー表紙が被るようになったのは1987年から。私が利用していたのは1997年版までですが、これ以降の出版はわかりません。ただ1985年度も『星の手帖』誌上でこっそり(笑)500部だけの出版だったから、私が知らなかっただけなのかもしれません。


ふじい旭の新星座絵図 / 藤井旭
 1976年に出版された【ふじい旭の新星座絵図】は、私が書くエッセイのスタイルの手本となったショートストーリー集です。  藤井旭さんと直接お会いしたのは1986年の『星空への招待』の時に遡ります。残念なことにチロとは本の中でしか一緒に星を見ることはできませんでしたが、エッセイを読むたびに、またラジオドラマに耳を傾けるたびに、チロと星を見上げている気分にさせてもらっています。
【ふじい旭の新星座絵図】NDC440
誠文堂新光社(1976年12月25日発行)
  この本は小学生の時に、誕生日プレゼントとして友だちからプレゼントされた本。買っていたインコ(ジャッキー)の見事な嘴さばきにより表紙の一部分が切り取られてしまいました。当時は腹が立ちましたが、今となっては懐かしい思い出。  88星座に対して、星座とは関係のない星空のエッセイが楽しい一冊。もともとは『天文ガイド・1969年9月号』に初掲載されたものを、88のエッセイと共に完成させたもの(「あとがき」より)。この文体、雰囲気。僕の『一番星のなる木』が最も影響を受けた本。プレゼントしてくれた友だちに感謝。



星座アルバム / 藤井旭
【星座アルバム】0044-3854
誠文堂新光社(1972年10月5日発行)
   星座のガイドブックの本の中で、未だにこの本を越えるものは出版されていないのではないでしょうか。それほどこのアルバムは良くできています。   藤井さんが撮った星座写真に自身で描かれた星座絵を透明のフィルムに描き、古代人が描いた姿と肉眼で見ることのできる星座の姿とを見比べることができます。星座を覚えるにはこれ以上のガイドブックはありませんでした。  現代ならインターネットによって簡単に星座線を出したり消したりすることが容易になりましたが、紙媒体の当時としては透明フィルムを挟むことで画期的な体裁になっています。  現在は春夏編と秋冬編に分けられていますが、出版時は一冊にまとまっていました。ハードケース入り。

 

カラーアルバム 星空の四季 / 藤井旭
【星空の四季】0044-3854
誠文堂新光社(1973年9月25日発行)
“カエルの鳴き声の賑やかな田舎道を歩いていると大きな大きなさそり座のS字のカーブが、向こうの森の上にいてびっくりさせられることがある”

本の帯に抜き書きされた一節、
 という文を読んで、今までに体験したことのない星空の情景に触れることができたのを思い出します。私が藤井さんのエッセイに触れた最も最初のもので、この本の中には後に“新星座絵図”として発売されたエッセイ集の先駆けとなった“私の星空”が巻末に掲載されています。

“十月も中旬を過ぎてナス連峰に初雪が降ると、それまでとろんとしてさえなかった星空が急に輝きを増して私の星空の季節が始まる”

 これらのエッセイを読んで、遠い福島の星空へ思いを馳せたものです。「氷の中の星空」「怪談ばなし」「地震」「動物たち」「山火事」の五篇のうち三篇にチロも登場します。

 

ガイドブック / 藤井旭
【天体写真の写し方】(1970年8月15日発行)
【星座ガイドブック】(1974年7月25日発行)
【全天 星雲星団ガイドブック】(1978年10月10日発行)
0044-3854誠文堂新光社
 何度も何度も読み返した本。このガイドブックこそ、私の星への興味を一気に高めてくれた本です。

『星座ガイドブック』は、秋冬編もあるのですが、整理されてしまったのか、どこかに隠れてしまいました。その秋冬編のまえがきに綴られたエッセイに描写された星空、雪穴の中にチロと一緒に映っているポートレイトなど、身近な星の楽しみ方を、どれほど教えてもらったことか!

 

星の旅 / 藤井旭
【星の旅】0044-067611-0961
河出書房新社(1976年9月14日発行)
 前出の書籍に書かれた内容が白河観測所を中心とした日本各地が舞台なら、こちらは海外編。当然チロは出てきませんが、藤井さんの巧妙な語り口の旅行記が楽しめ、あっという間に世界一周をしてしまいます。こちらは旅行記としても、かなり本格的なボリュームです。当時は硬いイメージのあった河出書房より出版。

 

星座への招待 / 村山定男、藤井旭
新版 天文学への招待 / 村山定男、藤井旭
【星座への招待】0044-067611-0961
河出書房新社(1972年7月20日発行)

【新版 天文学への招待】1044-067503-0961
河出書房新社(1975年8月20日発行)
 村山&藤井コンビの絶品。最初に手にした専門書がこれ。順番としては『天文学への招待』のあと、『星座への招待』でした。私が持っている『天文学への招待』は新版で、元々1969年に出版され、その後姉妹本として『星座への招待』が出版されました。この頃は、天文ガイドへ「新星座絵図」のカットがポツリポツリと見受けられましたが、ここでは一枚を登場してきません。また、あのデカ鼻のキャラクターも、まだ定まってない感じの初期の顔をしてあちこち登場しています(チロもまだいない)。

 

カセット 四季の星座めぐり/ 藤井旭
【カセット 四季の星座めぐり】0044-3854
制作:東芝EMI株式会社
誠文堂新光社(1979年12月15日発行)

 なんと音声による星空のメディア。ナレーションは宮崎たまみさん。カセット2本組。中学生の私は大枚叩いて購入したと思います。
  当時、ウォークマンなるものが発売され、屋外での音楽やら、こうしたメディアを持ち出せることに、それだけで喜びを感じていたのですが、そこに来てこうした音によるメディアはとても嬉しく思いました。
  現在はmp4にして、あの当時以上に持ち出し回数は多くなっているのですが、遥か彼方からやってくる星の光を眺めながら、こうして昔の音源を聴くというのには、なにやら感慨深いものがあり、手放せません。



 私が中学生のときチロが亡くなり、「犬の天文台長」という珍しさもあって、メディア各誌でも大きく報じられました。新聞では朝日新聞が社会面で写真入りで報じられショックを受けたのを覚えています。“満月の夜、チロは星になった” 天声人語でも取り上げられました。その後、以下のラジオにてドラマが放送されました。幸いにもエア・チェックしたテープが現存し、今ではCDに焼いて、時々偲んでいます。
ラジオスペシャル【星になったチロ】
放送;1982年1月9日
出演;草野大悟/村松克己/山西みちひろ/笠原広子/南二郎(チロ)
効果;イメージ・ファクトリー
技術;井口みきお
演出;上山ゆうきち
脚本;林千秋
音楽:後藤秀夫

 犬の天文台長チロの死はテレビや新聞の社会面で大きく取り上げられ、ひと頃大きな話題となりました。このラジオ番組もその一つですが、ここで描かれている飼い主である藤井さんは、あまり“いい人”に描かれていません。

【スーパーウェーヴ・ネットワーク〜星空への招待】
放送;1983年8月14日
出演;草加英明、久保田早紀、
音楽;COSMOS

 星空への招待席会場の浄土平よりの生中継番組。ペルセウス座流星群の母天体となっているスイフト・タットル彗星が120年ぶりの回帰ということもあって開かれた『星空への招待』。白河天体観測所の面々が出演。藤井さんのエッセイの登場する人物に会うことができました。ここで大野裕明さんが「8/13を星の日にしました」という発言をして、のちの大論争を巻き起こすことになります(笑)。柳家小ゑんさんなどの出演後、会場は大いに盛り上がりました。
 番組中、『犬の天文台長チロの物語』を俳優の熊倉和生さんの語りで聴くことができます。また、B.G.M.を担当していたのはCOSMOS、ゲストには歌手の久保田早紀が出演。その後、彼女はラジオ短波の『Viva! スカイウォッチング』の初代パーソナリティを務めることになり、しばらくは聴いていました。その次が国立天文台の磯部秀三先生、そして大野裕明に引き継がれました。





【星になったチロ】8095-122012-7764
誠文堂新光社(1984年4月発行)

 天体写真家藤井旭さんの助手であり白河天体観測所の所長でもあったアイヌ犬チロのまとまった活躍を読むことができる待望のエッセイ集。あちこちに散らばっていたエッセイを1984年の出版では一般向けに書き直していますが、藤井さんの文章はあいかわらずの口調で、ファンである私にとっては様々なところで読んでいるエッセイではありますが、新しい口調で読むことがで非常に嬉しかったことを思い出します。
 何よりもチロアルバムから、多くの愛らしい写真が掲載されていて、チロがエッセイだけの主人公ではなく、実際に星空の下、私たちと一緒に星を眺めていたんだなと言うことを気づかせてくれます。
 現在は新装版として2002年に出版された文庫本を手にすることができます。

【星空日記】1044-068401-0961
河出書房新社(1984年5月30日発行)

 聖教新聞に連載していたエッセイをまとめたもの。連載元が宗教であっても、内容は身近な星のお話。森田のおばちゃんがいい味をだしています。『星の手帖』にて出版の告知があり、先着順にサインをしてもらえっるということで電話応募しました。

【チロ天文台の星仲間たち】ISBN4-408-36070-8 C8044
実業之日本社(1986年3月19日発行)

 観測所に訪れた小学生たちとのやり取りの中で、慣れ親しんだエッセイがかいつまんで紹介される異色作。

【チロと星空】ISBN4-591-02419-9 C8095
誠文堂新光社(1987年4月発行)

 1984年に出版された『星になったチロ』の続編とも言うべきエッセイ集で、あちこちの天文書に寄せられた藤井さんの優しい語り口によるチロ物語。こちらは一般の読者を対象としているために、オリジナルとは異なる口調でチロの活躍を描いています。

 

 1983年に立風書房より創刊された『スカイウォッチャー』。どういうわけか、私のところに、それを伝える広告とサンプルが届き(天文ガイドとか星の手帖に投稿していたからでしょうかね)創刊号からしばらくは購入していました。内容的には天文ガイドよりも素人向けの内容でしたが、私にとっての目玉となったのは、藤井さんのエッセイ『チロ物語』が連載されていたことでしょう。 今まで文章になっていなかったエッセイなどが満載でした。連載終了と共に、『スカイウォッチャー』の購入もやめてしまいましたが、藤井さんの文体も、この頃から一般向けの語り口になっていったようです。

 

宇宙大全 / 藤井旭

【宇宙大全】作品社
4-87893-339-9 C0044(2000年7月30日発行)

 『VISIBLE』というタイトルの大書。オールカラーということもあって、ずっしりとした本のため、あちこちに散りばめられた「ふじいワールド」とも言うべきエッセイが挿入されているのに、なかなかページが開けずにいます(とほほ)。
  専門的な話題の中に、藤井さんのエッセイが、というよりも、普段の生活の中に、これほど天文と関わりのある生活をしている藤井さんに、やっぱり憧れの眼差しで眺めてしまいます。とかく難しい話題のつきない天文書の中にあって、かなり異色的な内容。そういえば『天文日記』にもそうした体裁の面白い本を出版してましたね。

 

宮澤賢治 星の図誌 / 斉藤文一、藤井旭
賢治の見た星空 / 藤井旭

【宮澤賢治 星の図誌】平凡社
4-582-36702-X C0091(1988年8月4日発行)
【賢治の見た星空】作品社
4-87893-439-5 C0095(2001年12月25日発行)

 宮澤賢治がテーマの写真、エッセイ集。『星の図誌』は斉藤文一との共著で、藤井さんは主に天体写真を担当して、いつもの美しい星空を再現してくれています。写真の解説と、エッセイ「賢治の星を索めて」を読むことができます。また、その後に出版された『賢治の見た星空』は、その後の『大全』シリーズを準備中の作品社から、オールカラーで賢治の宇宙、星空を語ってくれています。

星座大全 / 藤井旭

【星座大全】作品社
「冬」4-87893-765-3 C0044(2003年1月30日発行)
「春」4-87893-766-1 C0044(2003年5月5日発行)

「夏」4-87893-767-X C0044(2003年8月30日発行)
「秋」4-87893-768-8 C0044(2003年11月10日発行)

 古くは1974年に誠文堂新光社から出版された『星座ガイドブック(春夏編、秋冬編)』を頼りに、何時間も星空の下、懐中電灯を照らしながら星座の姿や、星座にまつわる神話を読みました(実際、ともだちとカセットに録音したりもしました)。
  私と同じように、多くの人が藤井さんの啓蒙的な星空案内に導かれて星空の下に佇んだのではないでしょうか。ギリシア神話の紹介では、ギリシア神話、ローマ神話の呼称が混じっていたりして、今にして思えば不確かな記述が見受けられますが、多くの天文ファンを実際の星空の下へ誘いだした功績は大きいと思います。
 時代は変わり、作品社から出版された『星座大全』は、四季が一冊づつにまとめられ、美しいオールカラーになりました。ガイドブックというよりは、星座の美術書に近い性格をもっています(これを持って星空の下へはちょっと無理…)
 かつての『ガイドブック』では何とも言えない語り口で、私が影響を受けた星空エッセイを読むことができますが、この『星座大全』は、すでに廃刊となってしまっている『スカイウオッチャー』や『星になったチロ』などの物語を書いているときの「語り部」的な文体になっています。個人的には読み手(かつては星マニア向け、今は万人向け)を意識しすぎる嫌いがあるので、昔の文体の方が好きですが。

白河 天体観測所 / 藤井旭

【白河 天体観測所】誠文堂新光社
978-4-416-11537-4 C0044(2015年10月15日発行)

 個の書を手にした時、一つの時代が終わったんだな、とつくづく思いました。2011年の東日本大震災。天文ガイドにも特集記事がありましたが、一つの象徴であった施設の天文台。この半生を綴ったファンにとっては『新星座絵図』同様に星空を楽しむことができます。ページを開くと、いつでも当時の天文台に戻ることができる。星空って、本当に不思議な世界だなと思います。

 

星空の饗宴 / 三田誠広、藤井旭

【すばらしき星空の饗宴】大和書房
0095-030330-4406(1979年11月10日発行)

 星の手帖創刊号に白河天体観測所のレポートとして招待された作家の三田誠広氏(2回目の招待は星新一)との対談をまとめた一冊。『新星座絵図』とはちょっと違った切り口で白河天体観測所の中を体験することができます。

写真月面図 / 草野磐、藤井旭

【写真月面図】野島出版
4-8221-0188-6 C0044(2002年7月14日発行)

 野島出版が私の父の出身地となる三条に構える出版社という縁もあり(笑)、さっそく取り寄せ。
奥付を見ると「非売品」とありました。私がどういう経緯でこの本と巡り会ったかは忘れてしまいましたが、藤井さんが出版に奔走してくれたようです。
  天文ガイド(1976年9月号)や星の手帖(1992年冬号)、『チロの星まつり』に掲載されたこの著書にまつわる記事が転載されています。

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